ファミ通によるアンケート「平成のゲーム 最高の1本」の投票結果が発表され、7158票のうち230票を集めた『クロノ・トリガー』がランキング1位となった。これを受けて、Twitterでトレンドに入るほど『クロノ・トリガー』の話題が日本のインターネット上を席巻。Twitter上ではファミ通アンケートで「平成のゲーム 最高の1本」に選ばれたことについて、多くのユーザーが賛同を示した。
さらにそれを受けて、さまざまなゲームクリエイターが『クロノ・トリガー』に反応を示している。『クロノ・トリガー』で北瀬佳範氏と共にディレクションを務めた時田貴司氏が現場の貢献を称えたツイートをしている。
時田貴司 「クロノトリガーはドリームチームのプロデュースもさることながら、現場の競作が良かった。軸のストーリー以外も色々仕込んでやろう!という意気込み。」
クロノトリガーはドリームチームのプロデュースもさることながら、現場の競作が良かった。軸のストーリー以外も色々仕込んでやろう!という意気込み。
— Takashi Tokita / 時田貴司 (@Takashi_Tokita) April 22, 2019
『クロノ・トリガー』は 鳥山明氏、堀井雄二氏、坂口博信氏がタッグを組んで1995年に発売した不朽の名作。時間を越えた星の運命を左右する壮大なストーリーは、日本だけではなく海外でも絶大な人気を誇っている。そのシナリオは、鳥山明作品のような世界観をゲームで再現するというコンセプトのもと、堀井雄二氏がプロットを手掛け、加藤正人氏がそれを基調に全体を書き直している。加藤氏はその後、『ラジカル・ドリーマーズ』、『クロノ・クロス』というった後継作、さらには『アナザーエデン』と精神的後継作を発表しており、加藤氏ならではの美しく繊細なストーリーは、『クロノ・トリガー』に大きな恩恵をもたらした。
そしてサブシナリオを手掛けているのが、ディレクターの北瀬氏と時田氏の両氏である。ディレクションに留まらず、それぞれのカラーでサブシナリオを追加して、ゲームに厚みをもたらしている。RPGの醍醐味である自由度を演出するサブシナリオ、印象深いキャラクターシナリオは、『クロノ・トリガー』の完成度をさらに高めたと言えるだろう。
『クロノ・トリガー』は世界観やシナリオだけではなく、サウンドでも絶大な人気がある。奇しくもこのタイミングで、ゲーム映像付きリバイバル版サントラ『Chrono Trigger Original Soundtrack Revival Disc』が7月10日に発売することが発表され、『クロノ・トリガー』の音楽を手掛けた光田康典氏が同作についてツイートをした。
光田康典 「そして先日クロノトリガーのリバイディスクの制作で改めて一から音楽を聞き直したのですがいい意味でも、悪い意味でも「若いなー」と感じました。
ともあれ、全曲スーパーファミコンの音からマスタリングし直したので是非映像とともに聞いてもらえたらと思います。」
そして先日クロノトリガーのリバイディスクの制作で改めて一から音楽を聞き直したのですがいい意味でも、悪い意味でも「若いなー」と感じました。😅
— 光田康典 YasunoriMitsuda (@YasunoriMitsuda) April 22, 2019
ともあれ、全曲スーパーファミコンの音からマスタリングし直したので是非映像とともに聞いてもらえたらと思います。https://t.co/UfcfgVSkVd
そしてこのツイートに反応に示したのが、なんと古代祐三氏だ。ゲーム音楽家である古代氏は当時、『イース』の音楽ですでに高い評価を得ていたが、その評価を不動としたのが『アクトレイザー』だ。この音楽のクオリティは業界内で大変な評判になり、『ファイナルファンタジー』シリーズの植松伸夫氏も衝撃を受けたことは語り草となっている。その古代氏が自信を持って送り出した『アクトレイザー』の後に、衝撃を受けたのが光田氏の『クロノ・トリガー』だったという。
古代祐三 「アクトレイザーを作った時に、「スーファミでこのサウンドを10年は超えられまいフフ(厨ニ)」と思ってた私を4年後に木っ端微塵に打ち砕いたのがこの光田さんの素晴らしい作品です。衝撃でしたね」
アクトレイザーを作った時に、「スーファミでこのサウンドを10年は超えられまいフフ(厨ニ)」と思ってた私を4年後に木っ端微塵に打ち砕いたのがこの光田さんの素晴らしい作品です。衝撃でしたね😁 https://t.co/qTsNfv8B4C
— 古代祐三 Yuzo Koshiro (@yuzokoshiro) April 22, 2019
光田康典 「古代さんにそう言っていただけるなんて嬉しいです。アクトレイザーは本当に衝撃的でした。アルバイトで某ゲームのマニピュレータをしていた時に聞いてこれはどうやってるんだろう?とずっと研究してました。」
古代さんにそう言っていただけるなんて嬉しいです。アクトレイザーは本当に衝撃的でした。アルバイトで某ゲームのマニピュレータをしていた時に聞いてこれはどうやってるんだろう?とずっと研究してました。
— 光田康典 YasunoriMitsuda (@YasunoriMitsuda) April 22, 2019
光田氏も『アクトレイザー』に衝撃を受けたひとりで、その研究をしていたと明かし、お互いを称えあった。その光田氏が『クロノ・トリガー』で作曲に専念するため、縁の下で支えたのがサウンドデザイナーの弘田佳孝氏だ。弘田氏は、光田氏に招聘されてスクウェアに入社。『クロノ・トリガー』で数多くの印象深い効果音を作った。
弘田佳孝 「クロノトリガーは、FFVIで実験して上手く行きそうだった効果音制作の技をふんだんに使ったタイトルでした。やっぱり実験的にロボの声を作って、それを使おう!って採用された時は嬉しかったな。」
クロノトリガーは、FFVIで実験して上手く行きそうだった効果音制作の技をふんだんに使ったタイトルでした。やっぱり実験的にロボの声を作って、それを使おう!って採用された時は嬉しかったな。
— 弘田佳孝 PENNY BLOOD: HELLBOUND (@kulko_yh) April 22, 2019
このように『クロノ・トリガー』はドリームチームを含め、数多くの若き優秀なクリエイターが携わったことで、平成を代表する後世に語り継がれるゲームへと結実した。ほかにも代表的な人物として、現在はモノリスソフト代表で『ゼノサーガ』シリーズを制作している高橋哲哉氏は、『クロノ・トリガー』でグラフィックディレクターを務めている。
なお開発とは関係がないが、『星のカービィ』、『スマッシュブラザーズ』の桜井政博氏も『クロノ・トリガー』についてのツイート。『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にて実装されたステージ作成機能でファンが作った「ドラゴン戦車」のステージを紹介した。
桜井 政博 「TLになんとなく『クロノトリガー』の話題が増えていますが、『スマブラSP』の”みんなの投稿”にあったこのステージが面白かったです。ドラゴン戦車!!」
TLになんとなく『クロノトリガー』の話題が増えていますが、『スマブラSP』の"みんなの投稿"にあったこのステージが面白かったです。
— 桜井 政博 / Masahiro Sakurai (@Sora_Sakurai) April 22, 2019
ドラゴン戦車!! pic.twitter.com/bw5aZhaIvE
ライター/福山幸司