オーストラリア在住のクリエイターでフォトグラファーのマット・ニューウェル氏が、伏見稲荷大社を再現したウォーキングシミュレーター『Explore Kyoto’s Red Gates』をリリースした。
Itch.ioにて配布され、Windowsのみ対応。基本無料だが好きなだけお金を支払うことができ、4ドル以上支払うことでVRバージョンもダウンロードできる。
『Explore Kyoto’s Red Gates』はおおよそ伏見稲荷大社の本殿から山頂までを再現しているが、現実とは少し異なる構造になっている。フォトジェニックなスポットは完全に再現されており、有名な千本鳥居は右側通行を知らせる横断幕とともに再現されている。
そのほか、少しかたちは違うが十石橋や失せ人探しにご利益があるという新池、京都市街を一望できる四ツ辻近くの絶景ポイントなど、実際の名所が目白押しとなっている。
プレイヤーは隠されたファストトラベルポイントを見つけたり、カメラ片手にゲーム内を歩き回りながら絶景ポイントを探すことができる。なお、ゲーム内で撮影した写真も保存可能。下記の画像は左がゲーム内、右が実際の伏見稲荷の写真だ。
ゲームをはじめてまず最初に驚かされるのは、その場の空気まで再現したかのようなグラフィックだ。ニューウェル氏の制作したゲームでは定番の落ち着いた音楽の背後には、砂利を踏む音、蝉の鳴き声、木の葉が揺れる音や鳥のさえずりといった環境音が、まるで夏の伏見稲荷を歩いているような気分にさせてくれる。
木漏れ日が照らす薄暗がりでは、キラキラと光が舞っている点も見逃せない。現実ではそれはほこりや羽虫が飛び回る姿なのだが、ゲームではハッとさせられるほど美しい光景のひとつとなっている。
こうした環境を忠実に再現できたのは、ひとえにニューウェル氏が実際に伏見稲荷に旅行をしたことが大きいだろう。数年前に旅行したという風景を、周囲の音を含めて鮮やかに再現した本作は、日本人から見ても驚くほど日本の夏を切り取っている。
「プレイヤーが実際の伏見稲荷と同じ種類の雰囲気に浸ることができる」という本作の目標を、高い次元で実現しているといえるだろう。
ニュウェル氏はこれまで、架空の森林を探索する『Explorable Forest Valley』や、ニュージーランドを再現した『New Zealand Recreation』を制作している。RedditでUnreal Engine 4のチュートリアルを1年ほど勉強したこと、『Explore Kyoto’s Red Gates』を4ヶ月かけて制作したことを語っている。
全部で8つのファストトラベルポイントを発見することで、ゲームのエンディングへ続く小道へとアクセスできるようになる。隠れた場所を見つけ出すのは少しむずかしいが、散歩がてら『Explore Kyoto’s Red Gates』で京都に出掛けてみてはいかがだろうか。
ライター/古嶋誉幸