2019年5月31日から6月2日にかけて、アメリカのウィスコンシン州を会場にeスポーツイベント『Smash’N’Splash 5』が開催された。
『Smash’N’Splash 5』は『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズを中心にさまざまなタイトルで競うイベントで、日本からはプロゲーマーとして活躍しているaMSa氏やしゃとう氏も出場している。
スピードランのイベントを数多く開催している『Global Speedrun Association』が協賛ということもあり、eスポーツイベントとしては珍しく、競技種目としてゲームのスピードランが採用されていることも特徴。
スピードランのスケジュールサイトHoraroによると、『マリオカート ダブルダッシュ!!』ではオンライン予選で勝ち抜いた上位4名によるリーグ戦が、『スーパーマリオ64』(以下、マリオ64)ではオンライン予選で優秀な成績を収めた上位2名によるさまざまルールなスピードランが行われた。
そのほかにもデモンストレーションとして多くのゲームのスピードランが披露されたもようだ。
特筆すべきは、マリオ64の競技に日本人プレイヤーが招待されて出場していることだ。招待されたのはマリオ64のスピードランにおいて好成績を収めているアッキー氏。彼は現役高校生であり、学業とゲームを両立して今回の大会に臨んでいる。
本イベントで行われたスピードランのルールにはさまざまなものがあるが、アッキー氏が今回マリオ64で挑んだルールは各ステージに隠されたパワースターを16枚集めた上で最速でクリアを目指す「16 Star」というもの。
対戦相手はパワースターをすべて集めてクリアするルールで最速記録を持っており、自身の持つ世界記録に懸賞金までかけられているcheese氏だ。何度か対戦を行い、ふたりは先に3本先取したほうが勝利というルールで戦うことになる。
この対決に勝利したのはcheese氏だ。1戦目は15分48秒という好成績でアッキー氏が先取したものの、その後の試合をcheese氏に奪われてしまい、セットカウント3-1での決着となった。
今回行われたのは16枚のパワースターを集めてクリアするというルールの競技だが、マリオ64ではそもそも最終ステージに入るために必要なパワースターが70枚となっている。
そのため、本来必要な枚数より少ないパワースターでクリアするためには通常プレイでは通ることができないわずかな隙間に侵入する、オブジェクトの当たり判定をすり抜けるほどマリオ自身を加速させて通れない扉を通る、といった緻密な操作が必要となってくる。
移動やジャンプなどの基礎動作も重要だが、どれだけ速く、そのような大技を成功させることができるのかというところが勝負の分かれ目だったと感じる試合であった。
ゲームのスピードランイベントをチャリティイベントとすることが、海外では定番となりつつあるほか、最近ではPACEというスピードランのみを集めて選手同士でタイムを競い合うイベントも開催されるなど、今日のスピードラン界は、にわかに熱を帯びてきている状況といえるだろう。
多くのeスポーツタイトルと同様に、ゲームのスピードランもeスポーツとして肩を並べる日が来るのかもしれない。
ライター/もか