ロサンゼルスで開催中のE3 2019、Xboxブリーフィングにて、映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』シリーズをゲーム化した『The Blair Witch』が発表された。
開発は『Layers of Fear』のBloober Team。プラットフォームはXbox OneとPC。価格は不明。発売は8月30日となる。すでにSteamのストアページが開設されており、日本語にも対応するようだ。
公開されたトレイラーでは、懐中電灯で手に持つ主人公が森のあばら家に逃げ込むところから始まる。映画と同じくビデオカメラを手に、森に住む伝説の魔女や超常現象を撮影する要素があるようだ。
ビデオカメラを持ったまま進むホラーゲームというと『Outlast』を彷彿とさせるが、本作の場合、ビデオカメラを構えることができるようで、ビデオカメラの視点と主人公の主観視点がつねに一致しているわけではなく、撮影することに何かゲーム的な意味がありそうだ。
Steamのストアページの紹介によると、本作の舞台は1996年。物語はメリーランド州バーキッツビル近郊にあるブラックヒルズの森で起きた少年の失踪事件に、元警官のエリスが少年の探索に加わるところから始まるようである。エリスは忠犬のバレットと共に、森の奥地へと分け入っていくが、この場所は古くから魔女が住んでいるという噂もある、呪われた森だ。
本作の原作となった映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は1999年のホラー映画。低予算のインデペンデント映画でありながら、当時、本国アメリカや日本でもブームを巻き起こし大ヒットを記録した。
1994年、昔から噂されている魔女ブレア・ウィッチが住むという森で、映画学科の学生たちが魔女に迫るドキュメンタリー映画を制作しようとした。しかし学生たちは森に入ったまま、消息不明に。1年後、森から見つかったフィルムには学生たちに何が起こったのか、生々しく記録されていた。この『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』という作品は、学生たちの遺族の了承のもと、そのフィルムを編集して映画として公開した作品だ。
……というところまでが”設定”。実際はそういった設定がある擬似ドキュメンタリー映画である。だが、宣伝方法はまるで学生たちが現実に消息不明になった事件が存在したかのような手法を取られた。映画の公式サイトとは別に、インターネットで事件の考察サイトを仕込んでおいたり、警察や関係者の証言、遺族が依頼した民間の調査員の報告書を収録した書籍を発売をしたり、映画そのものはシンプルな作りだが、メディアミックスの手法でさまざまな裏設定を匂わせ、口コミ的に観客の注意を引くことに成功した。
さらに映画本編も、手持ちカメラで撮影していく鬼気迫る生々しさがあり、主観視点のまま貫徹するPOV(ポイント・オブ・ビュー)というジャンルを生み出した。この手法や宣伝方法を応用した作品としては『クローバーフィールド』シリーズや、『REC』などがある。
ゲームの舞台は1996年ということで、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の2年後のようだ。これまでの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』シリーズの設定と、どのように繋がっていくのかも注目点だろう。
実は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のゲーム化は本作が初めてではない。2000年には『ブレア・ウィッチ・プロジェクト VOLUME.1 RUSTIN PARR』を始まりとして、3篇のシリーズものとしてゲーム化されている。『サイレント・ヒル』を彷彿とさせる三人称のアクション・アドベンチャーで、光のグラフィックスの評価が高く、なかなかの良作だ。
今回は、『Layers of Fear』のBloober Teamが開発ということで、三人称視点ではなく、一人称視点の恐怖をどのように使いこなすのが気になるところ。どのようにビデオ撮影と、魔女の呪いがゲームで主観視点として表現されるのか。ゲームが発売するまでに映画や関連書籍を復習しておくのもいいのかもしれない。
ライター/福山幸司