Running With Scissorsは、不謹慎アクションゲーム最新作『POSTAL 4: No Regerts』(以下、Postal 4)の早期アクセス販売をスタートした。プラットフォームはPC(Steam)。価格は2050円。10月22日まで10%オフの1845円となる。
『Postal』シリーズは、銃を持った危険人物が街の中で虐殺を行うゲームだ。初代は斜め見下ろし視点シューターとして始まったが、2003年に発売された『Postal 2』でFPSにジャンルを変更。「ミルクを買いに行く」や「銀行で小切手を換金する」といった日常的なお使いを主軸に、そこで起きる小さな怒りが大きな虐殺を誘発する唯一無二なゲームシステム、下品で不謹慎なユーモアが大きな話題となった。『Postal 2』は同社最大の成功となり、本編のその後を描く『Apocalypse Weekend』や、デベロッパーを変更した拡張版『Eternal Damnation』がリリースされた。
だが2012年には、開発会社をロシアのスタジオAkellaに変更した『Postal III』がリリースされ、シリーズにとどめを刺すような出来の作品として酷評されてしまう。しかし、Running With Scissorsは転んでもただでは起きなかった。『Postal 2』の拡張版『Paradise Lost』をRunning With Scissors』が開発され、2015年にリリース。『Postal III』で起きた出来事をまるごと「悪夢の中で起きたこと」と夢にしてゲーム自体をユーモアと化した。
本作も『The Real POSTAL 3』や『POSTAL 2×2』とうタイトルにするという案もあったというが、わかりやすさを重視して現在の素直なタイトルとなった。
『Postal 4』はつまり、『Postal III』ではなく『Paradise Lost』の続編ということになる。FPSである点も『Postal III』ではなく『Postal 2』を踏襲している。
核兵器で滅んだ『Postal 2』の舞台となったパラダイスシティを捨て、愛犬チャンプと共にトレーラーハウスで生活していた主人公ポスタル・デュード。ゲームの冒頭でトレーラーハウスを盗まれ、職を得るためにEdensinと呼ばれる街に到着するところからゲームは始まる。
多くの点で『Postal 2』を踏襲しているが、大きな違いは主人公の声優だ。これまでのリック・ハンター氏からデュークニューケムの声優を務めるジョン・セント・ジョン氏に交代となった。
フルバージョンでは月曜日から金曜日までの5日間を描くが、早期アクセス版は第1日目の月曜日が収録されている。仕事を探し、看守や下水道の作業員など与えられた3つの仕事をこなせばクリアだ。製品版では日を追うごとにEdensinで行ける場所が増えていく。月曜日はマップ全体の1/4ほどにアクセスできるという。
「Janky Alpha Build」と自己申告している通り、記事執筆時点で『Postal 4』は完成とはほど遠いできになっている。コンテンツ量だけでなく、描画がうまく行われていない部分やパフォーマンスの悪さなどはプレイしてすぐ分かる。
しかし、早期アクセスだけに悪い点はいくらでも見えてくるが、『Postal』の新作として見ると走り出しは順調に見える。ガソリンやマチェーテのようなシリーズおなじみの武器や、新たに追加された水鉄砲、鳩を召喚するピジョンマインを使い、おしっこをまき散らしながら暴れ回るのは暗い楽しさがある。
今後の開発ロードマップはTrelloで公開されている。現在はバグフィックスやパフォーマンスの改善など、コンテンツよりも安定性を重視した改善が予定されている。今後は『Postal 2』のような指名手配システム、サイドクエスト、非殺傷武器を含む武器、アイテムを買うショップシステムなどが搭載予定とされている。また、協力プレイも念頭に置いて開発が進められているという。
ユーモアにももちろん力が入れられ、これまでを凌駕するものを表現すると宣言されている。ゲームリリースに合わせて最新のユーモアやパロディを導入するため、早期アクセス版では比較的抑えられているようだ。抑えているといっても、すでに我慢できずにきわどいネタが披露されている。特にゲームセンターでは、どう見ても知っているネタが多数展示されている。気になる方は是非実際にプレイして確かめてみて欲しい。
突如としてリリースされたカルトFPSの最新作となる『Postal 4』。「暴力的ゲーム」最右翼として挙げられ下品でモラルに欠けた行動を大いに楽しめるが、実は多くの場面で暴力に頼らずに解決出来る点もゲームの特徴だ。
まだまだラフな仕上がりであり、そのためかゲームのタイトルも本来ならRegretsとするところをRegertsとミスタイプしている。完成と共に「No Regrets」(後悔なし)になるかにも注目したい。
ライター/古嶋誉幸