ニコニコ動画における最古の投稿「新・豪血寺一族 -煩悩解放 – レッツゴー!陰陽師」が、本日2020年3月6日で13周年となり、「真・豪血寺一族」が日を跨ぐころにTwitterのトレンド入りを果たした。
動画には13周年を祝うユーザーのコメントに溢れ、「悪霊退散」、「どーまんせーまん」、「遺影!」といった空耳弾幕に溢れた。記事執筆時点では、1881万5000再生を突破している
もともとこの動画は、奇抜な設定で知られるアトラスの2D格闘ゲーム『豪血寺一族』シリーズ第6作『新豪血寺一族 -煩悩解放-』(2006)に収録されているプロモーションビデオのひとつ。ビデオ中に使われている楽曲「レッツゴー!陰陽師」はステージBGMにも使われており、ゲーム音楽家の田中敬一氏が作詞・作曲を務めている。
動画に登場する陰陽師「矢部野彦麿(やべのひこまろ)」は、ゲーム中のステージの背景に登場するモブキャラクターであり、操作が可能なキャラクターではない。巫女の「琴姫」、3人の僧侶「坊主ダンサーズ」とともに矢部野彦麿が歌って踊るのが特徴だ。このビデオを出すためにはゲームを何度もプレイしてポイントを溜めて、ミッションモードの課題をこなさくてはいけない。いわゆる特典隠し映像となる。
このビデオを投稿したのは、ニコニコ動画の開発に携わった中野真氏。ユーザーからは「運営長」という愛称で親しまれた人物だ。このビデオは正式にニコニコ動画がローンチする前の「ニコニコ動画(β)」時代の2007年3月6日に投稿されたもので、そのため「sm9」という現存しているのなかでももっとも古い動画IDを持つ。
まだニコニコ最古の動画ながら、シュールな歌と3Dポリゴンの踊りがユーザーに爆発的に受け入れられ、しばらくは全動画再生数1位を誇るほどの大人気に。いわゆるニコニコ動画の「弾幕」の確立に一役買ったともいわれている。「重要ニコニコ文化財」のタグがつけられ、「おっくせんまん」、「組曲『ニコニコ動画』」、「M.C.ドナルド」、「エアーマンが倒せない」などと同じく、ニコニコ動画の熱気を象徴する動画のひとつとなっている。
なお後日、正式に著作権の契約を結び、2008年に「CDで聞いてみて。 〜ニコニコ動画せれくちょん〜」として、コンピレーション・アルバムに収録。堂々の1曲目に配置されている(2曲目は「エアーマンが倒せない」)。
カオスともいえるほど熱気があった2007年、2008年のインターネット。あれから長い年月が流れたが、久々に『新・豪血寺一族 -煩悩解放 – レッツゴー!陰陽師』を視聴して13周年を祝いながら、あの頃を思い出してみるのもたまにはいいのかもしれない。
ライター/福山幸司