ソニーは3月19日、「PlayStation 5」の技術者向けプレゼンテーション動画を公開した。
Playstation 5のシステム設計の詳細や、それがゲーム開発者にとってどのような意味があるのかをリードシステムアーキテクトのマーク・サーニー氏が解説。もともとゲーム開発者向けプレスカンファレンス「GDC」にあわせて公開予定だったもので、事前に「より深く」と告知されていたとおりのふさわしい内容となっている。
最初に解説されたのは、新たに搭載されるSSDがゲーム開発者にとってどのような意味を持つのかという点だ。「次世代の鍵」と表現するほど力を入れている、PlayStation 5にとってもっとも重要な要素だ。
PlayStaiton 5に搭載されるのは専用にカスタムされた825GBのSSD。Xbox Series Xに比べて若干記憶容量は少ないが、海外メディアWiredで以前報じられたように、ゲームを複数のブロックとして管理することで、たとえばシングルプレイキャンペーンはインストールせずマルチプレイゲームのみをインストールするなど、ゲームの柔軟な管理が可能となるという。
また、海外メディアEurogamerによれば、NVMe SSDスロットを持ち、USB接続の外付けHDDにも対応する。
さらにPlayStation 5のSSDのロードタイムは1秒間に5GBをターゲットにしていることも明らかにされており、サーニー氏はPlayStation 4のHDDと比べた帯域やシークタイムからロード時間を算出して紹介した。
HDDでは1GBを20秒で読み込んでいたが、PlayStation 5のSSDは2GBをわずか0.27秒で読み込むことができるとしている。『Marvel’s Spider-Man』のように、マップ間移動のロード時間を地下鉄での移動で表現するようなテクニックはもう不要だと語った。
PlayStation 5の後方互換についても情報が明かされた。うれしいことに、多くのPlayStation 4およびPlayStation 4 Proのゲームとの互換性を持つとのこと。
ただしケーニー氏は、一部のゲームについては「PlayStation 5のブーストされた処理速度を一部のゲームコードが処理できない」とし、タイトルごとにテストする必要があると語る。少なくとも現時点では、すべてのPlayStation 4タイトルの完全な互換はまだ確認できていないということだろう。
しかし、プレイタイムを基準にしたPlayStation 4の人気タイトルトップ100のほぼすべてのタイトルがPlayStation 5でも動作したことが明らかにされている。現在も検証は続いており、4000タイトル以上あるPlayStation 4タイトルのほぼすべてがPlayStation 5リリース時に動作するだろうとケーニー氏は予想している。
講演では新たな3Dオーディオエンジン「Tempest Engine」も紹介された。サウンドバーやヘッドフォン、あるいはモニターのピーカーなど、ユーザーがどういったオーディオ機器を使用しているかに関係なく、すべての環境で高品質のオーディオを提供する事が目標だ。
今日のゲームは雨音をひとつのサウンドエフェクトとして表現する。Tempest Engineは地面に落ちる雨粒に3Dオーディオソースを挿入してシミュレートし、まるで本当の雨の中に立っているような感覚を生み出すという。周囲の雨音を雨粒のひとつひとつから再現し、本当の嵐の中にいるようなサウンドを実現するからTempest(嵐)Engineなのだろう。
このほか、日本語での公式発表文と詳細スペックも公開されており、機体スペックは以下のとおりとなっている。
・CPU:「x86-64-AMD Ryzen™ “Zen 2″」(8コア / 16 スレッド、周波数:最大 3.5GHz まで可変)
・GPU:「AMD Radeon™ RDNA 2-based graphics engine」(レイトレーシング アクセラレーション、周波数:最大 2.23GHz まで可変)(10.3 TFLOPS)
・システムメモリ:「GDDR6 16GB」
・バンド幅:448GB/s
・SSD 825GB
・読み込み速度:5.5GB/s(Raw)
・PS5 ゲームディスク:Ultra HD Blu-ray™(100GBまで)
・映像出力:4K 120Hz TV、 8K TV、VRR 対応(HDMI2.1規格による)
・オーディオ:”Tempest” 3Dオーディオ技術
全貌の一部が明らかになったPlayStation 5。今回はGDC向けの発表と言うこともあり、ユーザーとしての利便性や機能の面の詳細は少なかった。今後の発表に期待したい。
ライター/古嶋誉幸