「Folding@home」への参加者が新型コロナウイルスの解析開始後2週間で40万人を超える。タンパク質の構造を解析する市民科学プロジェクト

 2月末より新型コロナウイルスの構造の解析を始めた分散コンピューティングプロジェクト「Folding@home」の開発チームが、約3週間後の3月19日、海外フォーラム「Reddit」に寄せられたユーザーからのさまざまな質問に答えた。

 アメリカのスタンフォード大学を中心に研究が進められている「Folding@home」は、タンパク質のおりたたみ構造を解析することで、がんやアルツハイマー病など、さまざまな病気の治療に役立てることを目的としている。利用するのは世界中のパソコンやスマートフォンで、かつてはPlayStation 3からも参加できた。専用のソフトウェアがインストールされたPCは、処理能力の一部が折りたたみ構造の解析に使われる。

 ウイルスもタンパク質を持ち、人間の免疫能力を抑制したり、自己の複製のために利用している。ウイルスの持つタンパク質がどのように作用するかを解析し、活動を止めるための治療方法を発見するのがこのプロジェクトの狙いだ。

(画像は「Folding@home」新型コロナウイルスページより)

 タンパク質には多くの可動部分があり、実験だけで完全に解析することは難しい。よって、コンピューターでタンパク質の原子がどのように動くかをシミュレーションすることで、実験では見落としている部分を効果的に補うことができる。これが新たな治療法を見つけ出すヒントになるかもしれないのだという。

 海外フォーラムでのやり取りによれば、新型コロナウイルスの解析開始前に3万人ほどの規模だったボランティアは、開始後に40万人規模にまで急増。100ペタフロップスほどだった処理能力も、4倍以上の474ペタフロップスを記録しているという。

 コンピューターによって得意とする処理が異なるので単純に比較はできないが、現在世界最速のスパコン「Summit」の理論性能値での処理速度が200ペタフロップスであることを考えると、分散コンピューティングの威力がわかるだろう。

 パズルゲームを通じて構造解析をする『Foldit』のように、新型コロナウイルス対策へのボランティアはさまざまな形が用意されている。「Folding@home」の場合は一度起動してしまえばユーザーがする事は特にない。

 なお新型コロナウイルスの解析により注目度が増した一方で、これに便乗して悪事を働く人間も現れているようだ。「Folding@home」を名乗り、ソフトウェアのインストールを進めるフィッシングメールが発見されているが、チームはメールでの勧誘を行っていない。もし届いたとしても無視してほしい。

 もしボランティアに参加しようと思うなら、「Folding@home」の公式サイトから専用ソフトをダウンロードしてほしい。新型コロナウイルスの解析に協力する際は、ソフト側で解析のカテゴリー選択を「Any」に設定しておけば参加できる。

ライター/古嶋誉幸

ライター
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros
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