PlayStation 2で2004年に発売されたレースシミュレーションゲーム『グランツーリスモ4』。50以上のコース、80メーカー700台以上の車種、そして多様なゲームモードとシステムを持つ本作だが、その達成率を100パーセントにするという狂気のタイムアタックが海外で成功した。
この挑戦はタイラー氏、ショーン氏、ジョナ氏、ポール氏の4人の走者が休みなく交代しながらプレイしたもので、4月6日にクリアしたことが報告された。ゴールまでにかかった時間は230時間35分51秒19、丸9日と14時間という計算だ。競技カテゴリは「100% No B-spec」と名付けられており、AIレーサーが運転するB-specモードを利用せず、人間の力だけで達成率100%に到達するまでの時間を競うルールとなっている。
2004年に発売された『グランツーリスモ4』では、プレイヤーが監督としてAIレーサーに指示を出す「B-spec」モードが追加。RPGのようにドライバーは成長していくため、レースゲーム自体は苦手だがレースは好きだという人でも楽しめるようになっていた。自分で運転する「A-spec」モードと自由に切り替えられるため、時間の掛かるレースなどレースはAIレーサーを育てて挑戦するとことも可能だ。
しかし、今回のスピードランではこのB-specは使用しておらず、すべてのレースをプレイヤーで運転する必要がある。Twitchの映像ではつねにプレイしている手元の映像が収録されており、B-specは利用していないことが証明されている。
もちろん、B-specモードが使えないため高難度のレースもプレイヤー自身がクリアする必要があるが、それ以上に問題になってくるのが「24時間耐久レース」に代表される長時間のプレイングが必要なレースだ。
シリーズ初の要素として本作には3種の24時間耐久レースが存在している。通常はB-specモードの3倍速モードを使い8時間でクリアすることが可能だが、今回の競技カテゴリではB-specモードは使用禁止だ。そのため、タイムアタック中は24時間という長時間レースをリアルタイムで3度も走り続ける必要がある。
この長時間レースに関しては、今回のタイムアタックでは挑戦者の4人が交代しながら走ったとのこと。現実の24時間耐久レースも複数のドライバーで交代しながら走るため、ある意味で現実を反映したよりリアルなレースだともいえるだろう。
今回のタイムアタックを始める前には、ゴールまで200時間(約8日)掛かるだろうと予想されていたが、実際にはさらに30時間長い230時間掛かることとなった。100パーセントの達成率で与えられる黒いF1カーが表示されたときは、ドライバーのタイラー氏は声が震えて言葉にならないという状態だった。
スタート前に公開されたFAQでは、このランを行う理由について4人は「馬鹿げているから」、「新型コロナウイルスで3週間隔離されているから」、「誰もやったことがないから」といったものを挙げている。
不屈の精神で230時間の激闘を制した4人のレーサーたち。タイムアタック記録を集積する「Speedrun.com」では、記事執筆時点で記録されているタイムは今回の挑戦のみとなっている。この大記録ははたして破られるのか、今後の『グランツーリスモ4』の「100% No B-spec」シーンに注目したい。
ライター/古嶋誉幸