エジプト観光考古省(Ministry of Tourism and Antiquities)は、新型コロナウイルスの感染拡大による自宅待機者のため、家から安全にエジプトを観光できる無料の3Dバーチャルツアーサービスを開始した。
公開されているのは「メレスアンク3世の墓」、「メンナの墓」、「ベン・エズラ・シナゴーグ」、「赤修道院」、「スルタン・バルクークのモスク・マドラサ」、「ギザ動物園博物館」、「コプト博物館」の8箇所だ。公式Facebookページでは新しい3Dバーチャルツアーの情報が随時更新されているので、今後もちょくちょく覗いてみると新しい施設のツアーが公開されるかもしれない。
主要な見所には英語ではあるが解説もされている。Google Chromeで見れば直接Google翻訳で日本語化ができる。画像もかなり高精細なので、実物ほどではないもののかなり細部までズームアップして見ることも可能だ。
海外メディアThe Guardianによると、このツアーの製作にはハーバード大学が協力しているという。現在は新型コロナウイルスの影響で休業中の施設も多いが、バーチャルツアーであれば無料で、他の観光客を気にする必要も無く自由に施設を見て回れる。また、メンナの墓では通常では入れない場所にも入ることができ、罪の軽重を死者の心臓で量っている壁画などを見ることが可能だ。
どうやらこの3Dツアーは、エジプトに存在するさまざまな宗教の関連施設をピックアップして展示しているようだ。「ベン・エズラ・シナゴーグ」はユダヤ教の集会場、「スルタン・バルクークのモスク・マドラサ」はイスラム教の学校と礼拝場、「コプト博物館」や「赤修道院」はエジプトにおけるキリスト教であるコプト教の施設だ。「メレスアンク3世の墓」や「メンナの墓」は古代エジプトの宗教観を今に伝えている。
現在のエジプトは人口の90%がイスラム教スンニ派だというが、長い歴史の中でさまざまな宗教がエジプトにやってきていたことがわかるだろう。
自宅で待機していて、旅行が恋しくなったときはこの3Dツアーはかなりおすすめだ。解説を交えて見て回るツアーの満足度は高い。もしどこかに行きたくなったら、ブラウザからエジプトにアクセスしてみて欲しい。
ライター/古嶋誉幸