ゲーム保存協会がフロッピーディスクの情報を保存する新デバイスを開発。コピープロテクト自体もそのまま保存しつつ、高い利便性を実現

 ゲーム保存協会は、フロッピーディスクの情報を保存する新デバイス「Pauline」発表した。本デバイスはフロッピーディスクの情報をデジタルデータとして保存できるもので、ゲームに限らず、フロッピーディスクの保存に幅広く使える新技術だという。

(画像はゲーム保存協会「フロッピー保存の新時代がはじまります!」より)

 書籍『ゲーム学の新時代』の「ゲーム保存協会の取り組み」における記載によれば、フロッピーディスクは生産時から長くても30年ほどで磁気部分の劣化が進み、通常の方法では読み込めなくなるとされている。
 1980年代から90年代のPCで発売された多くのゲームはフロッピーディスクを採用しているため、こうしたフロッピーディスクの保護と保存は急務といえるだろう。ゲーム保存協会では、フロッピーディスクを採用しているゲームを収集し、カビの除去作業を行い、特殊素材を使った容器で温度・湿度が管理された室内に保管している。

 フロッピーディスクの情報を保存する場合はデバイスだけでなく、ディスクイメージとして保存するのも有効な手段だ。しかし、仮想環境下でソフトウェアを動かす、いわゆるエミュレーターでの使用が前提のディスクイメージでは、コピー防止用の保護プログラムが書き換えられた状態のディスクからイメージファイルが作り出される場合がほとんどである。

 ゲーム保存協会では、後世の人が「ゲームについて研究したい」と考えた際に利用できる学術的資料のアーカイブを目指しているため、コピープロテクトなどの制御情報を含む完全なデータをデジタル保存することを目指している。プロテクトは単純にゲームを遊ぶうえでは必要ないが、研究目的の文化財としてみた場合に不可欠なものだ。

 たとえば、プロテクトに引っかかったときにだけ表示されるテキストあるいはグラフィックがある作品や、プロテクトそのものの研究ができる。プロテクトを突破しようとする当時の一部ゲーマーの行為も、広くとらえればゲーム文化の一翼といえるだろう。

 生のデータのデジタル保存には、世界中で「KryoFlux」と呼ばれるデバイスが使われており、かなりの部分で保存することができた。しかし「KryoFlux」には高価なライセンス料が必要だったり、保存が不可能な情報があったりと課題もあった。

 今回開発された「Pauline」では、ハードウェア費はともかく、ソフトウェアはオープンソースであり、無料で利用できる。ハード面やソフト面はさらにパワーアップしており、必要な機能をカスタムできる利便性もあるという。

 「Pauline」は、ゲーム保存協会とその姉妹団体「ラ・リュドテーク・フランセーズ」、そして膨大な量のゲーム・コレクションを管理する団体「MO5.com」が協力開発して完成させたという。

 ゲーム保存協会は今回の発表を踏まえ、図書館や大学、研究機関などに向けて「フロッピーディスクの保存に手を焼いている人は相談して欲しい」と呼びかけている。思い当たる人がいれば、相談してみてはいかがだろうか。

ライター/福山幸司

ライター
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman
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