インドネシアのゲームデベロッパーKhayalan Artsは、深海を舞台にしたアドベンチャーゲーム『SAMUDRA』の無料の体験版の新バージョンを公開した。
これまで無料で公開されてきた体験版のアップデートはこれで終了となり、製品版に向けたベータ版の開発へと移行する。ベータ版はSteamでのリリースを予定しており、数週間後にはリリースするそうだ。
『SAMUDRA』は暗い海の底に沈んでしまったとある少年が主人公だ。汚染され、危険でいっぱいの海の底から地上へと脱出を目指す。ダイアログがないので英語が苦手でもプレイ可能。操作も簡単で、左右に移動しながら男の子が反応した場所で決定ボタンを押すとさまざまなアクションを行う、ポイントアンドクリックアドベンチャーゲームとなっている。
タイトルのSAMUDRAとは、サンスクリット語で水のあつまりという意味。海や大洋、あるいは合流といった意味で使われる。
ほのぼのとしたタッチのグラフィックが目を引くが、それ以上に家電製品からジュースの紙コップまで、ありとあらゆるゴミが堆積した深海の描写に驚かされる。ゲームに登場する海の中といえばもっと爽やかな場所を想像したくなるが、本作の海は汚れている。
開発者にインドネシアの海洋汚染と戦うNGOに所属していた経験を持つ方がいるそうで、その経験が生かされているのだという。itch.ioの本作のページの最後には「たった一本のストローじゃないか、と80億人が言う」と書かれている。
深海にはさまざまな生物が住み着いている。巨大なチョウチンアンコウや見たこともないような生物のほか、男の子を連れ去ろうとする正体不明のビジネスマン風の人間も登場する。深海といっても男の子が生きていられるように、深海魚以外も住んでいるようだ。
体験版ではゴミが積み上がった海底や、何かを作っている工場が登場。工場はビジネスマン風の敵や監視ロボットがうろついており、彼らに見つかるとゲームオーバーとなる。謎解き自体はそう難しくないが、いわゆる初見殺しのようなトラップが多数登場する。見た目のほんわかした雰囲気に反して難易度は少し高めだ。
製品版には死んだ珊瑚礁やかつて文明があったことを匂わせる人面岩のある洞窟、巨大な腕が見える赤い土地など、さまざまなロケーションが登場するようだ。
ゴミが山積し、美しいだけではない深海の雰囲気は素晴らしく、なぜ少年が深海まで来たのか、敵対する人々は何者なのか、さまざまな謎は先に進みたくなる原動力になる。
不思議な深海を舞台にしたアドベンチャーゲーム『SAMUDRA』の無料体験版はitch.ioからダウンロードできる。今後数週間以内にSteamでベータ版がリリースされるということなので、ゲームに興味がある方はSteamのウィッシュリストに入れてゲームの発売を待って欲しい。
ライター/古嶋誉幸