海外ゲームの日本語ローカライズや販売などの事業を手がけるH2インタラクティブは、eスポーツのデータ分析サービスである「ESPORTS CHARTS」にて、新型コロナウイルスがアジア地域のストリーミングに及ぼした影響をまとめた調査レポートを公開した。
「ESPORTS CHARTS」は、eスポーツ分野に特化したITソリューションを提供するウクライナのESM-GROUPが運営するデータ分析サービス。全世界の配信プラットフォームからeスポーツの配信分析を行っており、15万以上のストリーミングや数百万の視聴者、数千のトーナメントを毎日アクティブに網羅。
「Team Liquid」や「Fnatic」などの世界的に有名なeSportsチームともパートナーシップを結び、分析データを提供している。
H2インタラクティブはESM-GROUPと事業提携しており、分析データの情報を日本と韓国に向けて公式サイトや公式Twitterアカウントから発信している。今回公開されたレポートでは日本をはじめとするアジア地域にフォーカスし、ゲーム配信プラットフォームのTwitchへ与えた影響の説明を試みている。
日本は新型コロナウイルスに対して「迅速な検査」と「感染者の隔離」で対策を図った一方で、公共の場所は国民の良識に任せて閉鎖せず、海外と比較して緩やかな自粛生活を維持するアプローチとなった。その結果、3月の2週間ほどは配信カテゴリーの伸びが最低かつマイナスの状態を記録。3月の最終的な視聴時間の伸びは2.4%にとどまった。
3月の配信時間についても月末時点で第1週と比べて6.7%下落し、同様に配信者数も13.4%下がった。同月はTwitch Japanの公式チャンネルにて3月8日に配信された招待制のオンライン大会「Twitch Streamer Battle: UNO」が5万3000人の最高同時視聴者数を記録した。
なお、比較対象としては5月4日に配信された『リーグ・オブ・レジェンド』の国内プロリーグである「LJL Spring 2020」のファイナルでは6万7792人を記録しており、最高同時視聴者数に生まれた1万人以上の差が配信カテゴリーの低い伸び率と関連付けられている。
4月は不要不急の外出を控えるように求める緊急事態宣言が発令されたが、欧州のように強制力がある発令ではなかったことから、4月第2週の視聴時間の伸びは4月初週比でマイナス3.2%。ただし、配信時間と配信者数は11%伸び、最終的な初週比の伸び率は視聴時間が18.9%、配信時間と配信者数はそれぞれ26.6%と23.1%の増加に転じた。
4月は『リーグ・オブ・レジェンド』の韓国1部プロリーグの「LCK Spring 2020」や『Apex Legends』のグローバルオンライントーナメントである「Apex Legends Global Series(ALGS)」が多くの視聴者数を獲得するとともに、Riot Games初のFPS作品である『Varolant』の招待制大会が多くのゲーマーコミュニティから注目を集めた。
調査レポートには韓国、タイ、ベトナム、インドネシアの4ヶ国における視聴時間・配信時間・配信者数の推移が確認できるほか、各国で5月に人気のあったストリーマーのトップ10などの情報が掲載されている。興味があれば欧米エリアにフォーカスを当てたものやTwitch全体の統計もチェックしてみてほしい。
ライター/ヨシムネ