インディーゲーム開発スタジオSteel Arts Softwareは、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』を題材にしたアクション・アドベンチャー『Grey Skies: A War of the Worlds Story』のゲームプレイ映像を初めて発表した。これは本日開催された、インディーゲーム開発者のためのオンラインショーケース「The Escapist Indie Showcase」のなかで公開されたもの。プラットフォームは、PS4、Xbox One、PC。発売日は2020年第3四半期を予定している。
H・G・ウェルズの『宇宙戦争』は、1898年に書かれた小説で、火星人が戦闘機械トライポッドを用いてイングランドを侵略。川は沸騰し家屋が一瞬のうちに破壊される熱線の威力は凄まじく、人類は軍を出動するが、ほとんど為す術もなく一方的に蹂躙される恐怖が描かれている。SF侵略小説の原点といわれている作品だ。
2005年には、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で映画化されたことは記憶に新しい。昨年にはBBCが12億円を投じて、原作の時代に忠実なビクトリア朝が舞台とした『宇宙戦争』のTVドラマを制作している。
実は、ベラルーシを除いて、ヨーロッパでは作者の死後70年後に、その作品はパブリック・ドメインとなるため、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』、『透明人間』、『タイムマシン』などの著作権は失効しており、2017年1月1日からH・G・ウェルズの作品はヨーロッパでは無料で使うことができる。
BBCのドラマ制作もパブリック・ドメインになってから制作されており、今回の『Grey Skies: A War of the Worlds Story』も、そうしたH・G・ウェルズのパブリック・ドメイン化の影響とみてもよさそうだ。
『Grey Skies: A War of the Worlds Story』は、一人の女性の視点からトライポッドの恐怖が描かれるアクション・アドベンチャーで、暗いスリラータッチで描かれるようだ。トライポッドだけではなく、火星人の影響でゾンビになった人間も登場するようだ。
今回発表されたゲームプレイ映像からは、主人公がステルスで敵に気付かれないように動いているシーンが確認できる。モーションやグラフィックなどの粗さは散見できるが、『宇宙戦争』が題材とあって一味違ったユニークな作品となっていそうだ。
本作に限らないが、H・G・ウェルズのパブリック・ドメインの影響がどのようにビデオゲームに影響を及ぼすのか、これから注目といえるだろう。
ライター/福山幸司