ソニーはEpic Gamesに対して2.5億米ドル(約268億円)の戦略的な出資を行ったと発表した。ソニーの完全子会社を通じて出資されたもので、これによりソニーはEpic Gamesの少数持分(親会社に属さない持分の一部)を取得することになる。
プレスリリースによれば、すでに両者はこれまでも協業の道を進んできたが、本出資によってさらに関係を強固にしていく予定だという。現時点で具体的な協業内容については明らかにされていないが、ソニーのエンタテインメント資産とテクノロジー、Epic Gamesのプラットフォームとエコシステムを跨ぐコラボレーションを拡大する。
以下、リリース内での発表文。
ソニー株式会社(以下、ソニー)とEpic Games, Inc.(以下、Epic)は、ソニーがその完全子会社を通じてEpicに2.5億米ドル(約268億円※)の戦略的な出資を行い、これによりEpicの少数持分を取得することについて合意しました。両社はこれまでもさまざまな協業をしていますが、本出資によりさらに関係を強固にし、最先端のテクノロジー、エンタテインメント、及びオンラインサービスを発展させるという両社共通のミッションを強化していきます。
本出資を契機に、ソニーの優れたポートフォリオであるエンタテインメント資産とテクノロジー、及びEpicのソーシャルエンタテインメントプラットフォームとデジタルエコシステムを跨ぐコラボレーションを拡大し、ユーザーとクリエイターにユニークな体験を提供することをめざします。なお、本出資の完了は関係当局の認可を含む、諸条件を満たすことが条件となります。
ソニー株式会社 会長 兼 社長 CEO 吉田 憲一郎のコメント:
「Epicはグラフィックなどの優れた技術を持ち、“Unreal Engine”をはじめとする数々のイノベーションによりゲームエンジンの進化を牽引しています。また『フォートナイト』ほどに革新的なエンタテインメント体験の例は他にありません。今回の出資を通して、Epicとの協業のさらなる深化を模索し、ゲームの分野に限らず、急速に発展しているデジタルエンタテインメントの領域で、ユーザー、そして業界の皆様に喜んでいただけるような価値を提供していきます。」
Epic Games, Inc. ファウンダー CEO ティム・スウィーニーのコメント:
「ソニーとEpicは両社ともクリエイティビティとテクノロジーが交わる分野でビジネスをしており、ゲーム、映画、音楽を融合させるリアルタイム3Dソーシャルエクスペリエンスに関するビジョンを共有しています。私たちは協力して、すべてのユーザーとコンテンツクリエイターに向けて、よりオープンでアクセスしやすいデジタルエコシステムの構築をめざします。」
※1米ドル=107円として計算
ソニー傘下でゲームビジネスを続ける子会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の名前は今回の発表では出ておらず、あくまでゲームだけでなく映画や音楽も含めたエンターテインメント領域での協業強化であることが発表では強調されている。
ゲームデベロッパーとして1991年に誕生したEpic Gamesは、近年大ヒットを記録したバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』で巨大な若年層のコミュニティを有しており、またゲームエンジン「Unreal Engine」の開発元としても知られる存在。「Unreal Engine」はゲーム業界以外のエンターテイメント分野でも幅広く活用されている。
また近年Epic Gamesは、PCゲームの配信プラットフォーム「Epic Games Store」も立ち上げた。それまではValveの配信プラットフォーム「Steam」の一強時代が続いていたPCゲーム市場だが、『フォートナイト』の巨大なコミュニティや大量のゲーム無料配布などを背景に、Epic Games Storeは急速に存在感を示し始めている。
文/ishigenn