サイケデリックな対戦型の一人称視点シューティング(FPS)ゲーム『Spaceflux』のクラウドファンディングがKickstarterにてスタートした。最近カナダのトロント大学を卒業したというカリン・アルデリアン氏が手掛ける本作は、「フラクタル世界」、「無限ループ」、「破壊可能なマップ」などの特徴をもつ……と言葉にしてもいまいちピンとこないが、公開されたトレイラーを見ればめまいや吐き気とともに理解できるだろう。
ほかのシューターで見たことがないような世界のため、3D酔いに弱いという方などは見ない方が良いかもしれない。
上記のトレイラーを見て分かるとおり、『Spaceflux』は言葉では言い表すことが難しい世界で戦う対戦FPSだ。プレイヤーは多彩な能力を持っており、構造物の建築やマップの破壊といった近年のマルチプレイFPSでよく見る人気スキルに加え、重力を反転したり、おとりを使役したり、さらにはキューブに変装することもできる。
プレイヤーの能力だけでも混乱しそうだが、戦いの舞台となるマップはさらにプレイヤーを混乱させること請け合いだ。本作ではマップの外側から中心に向かって歩くと、いつの間にか歩き始めたスタート地点へと戻ってくる、無限ループ仕様となっている。
敵と戦いながら世界とも戦わなければならないということで、大いに混乱することは間違いない。下記の動画を見れば、無限ループだけでも複数の種類が紹介されているので確認してみてほしい。
しかも、アルデリアン氏はこれだけでは満足していない。早期アクセスを通じてさらに「双曲空間」、「ポータルによる接続」、「全方向重力」、「時間経過で変化するマップ」、「画面分割による360度視点」、「反物質モード」など、実際に映像を見ないとピンと来ない10種類以上の機能を追加しようとしている。
「双曲空間」とは、Wikipediaによると”負の曲率を持つ曲がった空間”とされている。なにを言っているのかやはりよく分からないが、どうやら自分から遠ければ遠いほど空間がゆがんでいるという状態を示すようだ。双曲空間はただゆがんでいるだけでなく、同じサイズの空間でも我々の住むユークリッド空間より遙かに広い空間が表現できるという。
「反物質モード」は、プレイヤー1の世界にあるものはプレイヤー2の世界にはなく、逆もまたしかりというモードだ。プレイヤー1の世界にあるものを破壊すると、それと同じものが今度はプレイヤー2の世界に現れる。対になった世界で戦うそうだが、具体的にどのようなルールでどうやって戦うのかは見当も付かない。
「画面分割による360度視点」のパノラマモードは比較的わかりやすい部類かもしれない。前方後方で画面を分割し、その方向の風景を180度分描画するものだ。下記の画像を見れば一発で分かるだろうが、なぜこれを実装するのかは全く分からない。アルデリアン氏は、三半規管になにかひどい目に遭わされた過去があるのかもしれない。
『Spaceflux』はNintendo Switchを含めたコンソール移植、さらにはありがた迷惑にもVRへの対応も予定されている。こんな恐ろしい世界をVRで体験すれば、現実の認識が大きく揺さぶられそうだ。少なくとも嘔吐は避けられないだろう。
変わり種にもほどがある『Spaceflux』は、現在Kickstarterで開発資金の支援を募集している。普通のFPSに飽きたという方は支援してみてはいかがだろうか。35カナダドル(約2850円)の支援からゲームの早期アクセス権が配布される。すでに3年近くゲームの開発が進められており、早期アクセスはSteamにてカナダ現地時間の9月30日より開始予定だ。
ライター/古嶋誉幸