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考察型ホラーバラエティ番組『リフォームホラーハウス』の舞台となる“魔改造”された一軒家が嫌すぎる。不自然な間取り、不穏なビデオテープ、棺桶に釘を打つ人々…一家全員が死亡・失踪した一軒家に隠された真実を探る ※しかも呪いを解くまで帰れない

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都内近郊にある奇妙な一軒家。近づく者はなぜか不審死を遂げる呪われた家。
あなたはその家に入り、呪いを解く勇気がありますか?

『リフォームホラーハウス』レビュー・評価・感想:魔改造”された一軒家が舞台の考察型ホラーバラエティ番組_001

そんな不穏すぎる口上から始まるバラエティ番組「リフォームホラーハウス」。

8月8日に関西ローカルで放送されたこの番組は、日本を代表するホラークリエイティブカンパニー・闇と、お化け屋敷プロデュースの巨匠・五味弘文がタッグを組み、一軒家を丸ごと“ホラー仕様に魔改築”した前代未聞のホラー×バラエティ番組だ。

ナダル氏と村重杏奈氏が「リフォームホラーハウス」の謎に挑むVTRパートと、考察をするスタジオパートが交互に展開していくので、ホラー番組鑑賞というよりは、ホラーゲーム実況動画を第三者目線で観察している感覚に近い。

本番組が持つのは「お化け屋敷で驚く人を安全圏から観察する」という面白さだけではない。

惨劇の現場となり二階が封鎖された一軒家、至る所で発見される血痕、奇妙な間取り、不穏な日記、外から覗く視線……番組内にちりばめられたホラー要素と数々の謎。舞台となる「リフォームホラーハウス」に隠された謎解きや考察が大きな魅力となっている。

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つまり、「バラエティ番組」だけではなく、視聴者をも巻き込んだゲーム的な楽しみ方もできる番組なのだ。五味氏による隠し部屋までをも駆使したさまざまな仕掛けは、恐怖とともにおもちゃ箱を覗き込んだような多様な楽しさを感じさせてくれる。

……気付いたときには、あなたもリフォームホラーハウスに心を囚われているかもしれない。

※この記事は『リフォームホラーハウス』の魅力をもっと知ってもらいたい株式会社闇さんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。

文/岡井モノ
編集/anymo

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血と呪い渦巻く郊外の一軒家。探索者に降りかかる恐怖ギミックの数々

改めて番組の舞台を紹介しよう。

日本某所に、ひっそりと佇む奇妙な一軒家。かつてその家には両親と一人娘、母方の祖母が四人家族で暮らしていた。

ところが婿養子の父は母と祖母の共依存ともいえる深すぎた愛情に、家の中での居場所を無くして失踪。それと前後して祖母も他界し、高校生の娘と母の二人だけが残されてしまう。

心の均衡を崩した母はその異常な愛情を娘に向け、「お前のためを思ってやっている」と言いながら娘を束縛していく。ある日耐えかねた娘が家からの脱走を図るも、察知した母に捕らえられアキレス腱を鎌で切られてしまう。やがて心身ともに衰弱した娘は監禁された部屋の中で死亡。自責の念に駆られた母は、鎌で自らの命も絶ってしまった

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それ以来、この家では様々な怪奇現象が頻発。不気味に思った村人たちは、特に怨念が強く残ると言われる2階を封鎖してしまう。

それ以来誰も近づかなくなったその家に、足を踏み入れることとなったのはナダル氏と村重杏奈氏。無念の死を遂げた娘を成仏させるため、ふたりは「リフォームホラーハウス」内を奔走し、さまざまなミッションに挑戦することとなる。

娘を成仏させるためには、「凶器である鎌を娘の手元(遺骨)に置いて呪いを解く」必要があるとのこと。まずは鎌を探すところから始まるが、なにせ探索範囲は一軒家丸ごと。そうたやすく発見できるはずもない。

なにか無いかと髪の毛だらけの浴槽に手を突っ込んでさぐる。
突然追ってきた何者かをやりすごすため、棺桶に入り息をひそめる。
食卓に用意されている骨付きチキンのトマトスープ(?)は、生たまごが多数入っていることもあり生理的嫌悪感すら感じる。それでも娘の気持ちの理解に繋がればと口に運んでみる。

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恐怖に耐えながら足を進めていくことで、当時の日記や残されたビデオテープが発見され、断片的であった一家の異様な実態も明らかになっていくのだ。

番組開始からそれほど時間が経たないうちに、“一軒家を丸ごと魔改造した”という本作の本領が発揮される。探索者に向けて襲いかかるのは不気味どころではない、数々の物理的なホラーギミックだ。

仏間に並べられた写真が突然落下するなどは序の口。
浴槽を覗くと明らかに目が合う人影クローゼットの奥から伸びてくる手今にも飛び出しそうになるほど動く壁のシミ(影)など、気のせいでは済まされないギミックが次々と登場する。

さらに、不自然な間取りや隠し部屋の発見など、家のつくり自体の異様さも徐々に明らかになっていく。あからさまに怪しい隠し部屋などの存在は、雨穴氏の『変な家』シリーズを連想したホラー好きの視聴者も多いかもしれない。

探索を進めて「フラグ」を立てていくことで行動範囲が広がり、徐々に物語の全容が明らかになる構成は、ゲーム好きなら馴染みやすいシステムだろう。

笑いが込み上げてくるほどに「最低」なムーブを繰り返すナダル氏

本番組では「怖い!」の気持ちと同等に、「なんなんだ……?」という気持ちを随所で抱く事になる。
それは、スタジオからも言われていたようにコロコロチキチキペッパーズ・ナダル氏による「最低」としかいいようのない言動の数々によるものである。

VTRの冒頭、薄暗い茂みから「どこやここ?」と現れるその姿に、スタジオの森田氏が「これ(登場シーン)だけみたら水曜日のダウンタウン」とツッコんでいたが、まさにその通りだ。絵面は完全にドッキリのそれである。

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そして近隣住民(?)のおばあちゃんから「惨劇が起きた一軒家で呪いを解かなければ帰れない」と言い渡される。唐突に。

メタ的な話をしてしまうと舞台設定を理解させるための登場人物・演出だと思われるが、実際知らない人にいきなり「お前は呪われた」と宣言をされたら普通に不安になるし、めっちゃ怖いと思う。番組を通して、視聴者側も「人としてどうなの」、「でもこんなところで探索するのは怖いよな」、「いやでもさすがに」と極限状態の人間の言動について批判と同情が同時に逡巡する。

ナダル氏は呪いを解くためにも仕方なく探索を開始。……するものの、かなり序盤から「もうイヤやこの仕事」と音を上げだす。早速、明らかに怪しい謎の肉や血痕の付いた歯と爪髪の毛だらけの浴槽など、もうそれだけで不穏で不快なアイテムがテンポよく発見されまくっているので無理もない。ホラーアイテムがすし詰め状態だ。

ホラーハウスには、後から村重杏奈氏も合流。探索を共に進めていくこととなる。

仲間が加わった安堵感からだろうか、ここからナダル氏の本領が発揮される。いや、されてしまう。

以降探索はふたりで行うことになるのだが、基本的に村重氏を先に行かせる。いくら男女平等とはいえ、この一軒家を先に調査している身である年長者としていかがなものか。

さらに、探索上触らなければならないアイテムを先に触らせたり、階段を覗き込んでの状況確認もやらせる。その際「ごめんな村重ちゃん」などと言うのだが、この“一応気をつかう姿勢をみせてるだろ”的なふるまいが、余計に視聴者の居心地を悪くさせて、笑ってしまう。

そしてさらに、何かに驚くと一人で我先にと逃げる。それも一度や二度ではない。

何度も繰り返すうち、さすがに村重氏も懇々とナダル氏を詰めるものの、「自分は先輩だから言うことを聞け」と逆ギレしていた。もう、この男が一番怖いまである。

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途中、村重氏が棺桶に閉じ込められるシーンは、本番組のハイライトのひとつだろう。

もちろん(?)、ナダル氏は村重氏を放置してひとりで逃げる

村重氏も村重氏で「閉じ込められる前に抵抗して脱出を図れなかったのか」と安全圏から視聴している自分は思ったが、正体不明の人物に外から釘で打ち付けられているわけだ。たしかに、怖くて声も出せないかもしれない。だからこそ、状況が理解できるナダル氏が助けるべきではないかと思うが、やはり一目散に逃げていた。

数分前に「ふたりで協力しよう」と妙にいい声で言っていた男の背中は、小さい。そしてそれを責められると「仲間割れしている場合じゃない、協力しよう」と正論っぽいことを吐いて煙に巻こうとする。

本当に恐ろしいのは、極限状態の生きている人間ということだろうか。

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まさかのバッドエンド?考察要素が数多く残された結末

探索も終盤、いよいよ核心に迫るのかと思ったそのとき、ふたりの探索は呪いを解けないままにとんでもない展開が起きる。

焦りと恐怖、そして大きな謎が残されたこの演出は是非実際に視聴して確かめてほしい。初見では視聴者としても何が起こっているか、すぐには理解できないだろう。

本番組ではこの結末を踏まえ、「どう行動すれば呪いは解けたのか」を視聴者に考えさせる考察要素がセットになっている。

ある家族の惨劇という陰惨な話を土台としながらも、各部屋に手がかりがあり全容が明らかになっていく構成。スタジオパートはバラエティ番組的な雰囲気でありつつも、それぞれが考察を述べるなど、謎を考察することが目的とされている。

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また番組ではSNSを活用した考察を推奨している。スタジオの3人のように「自分の推理はこうだ」、「あそこにヒントが映ってた」と視聴者同士でも協力しながら謎解きに挑むと多くの視点が集まって捗りそうである。もちろん、単純にあの場面めっちゃ怖かったねと共感しあうのも楽しそうだ。

ナダル・村重コンビが見落としてしまった部分からも、あなたなら重要なヒントが発見できるかもしれない。

リアル“強くてニューゲーム”体験、「2周目」で考察をもっと楽しもう

とはいえ番組はもう終わっているし、結局答えはわからないのでは?そんな風に思ったあなたも安心してほしい。

この番組、実は2周目のやりこみ対応仕様。具体的に言うと8月15日に解説付きの特別編集版『リフォームホラーハウス 完全版』が放送されるのだ。なお、放送後にTVerでも配信されるので、どこでも視聴可能だ。

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本編の流れはほぼそのまま放送されるので、完全版からでも本番組を楽しめる。隅々まで考察したいという人は、初放送版から視聴するのがおすすめだ。

初プレイ時に取り逃したアイテムを回収するように「こうすればよかったのか」、「言われてみればここにヒントがあった」など、心地よい腹落ちを味わえるかもしれない。鋭い人ならば、自分の考察が当たっていた達成感があるかもしれない。

『リフォームホラーハウス 完全版』放送は8月15日 深夜0:43~1:43。関西圏の方はテレビで、それ以外の方はTVerで配信を楽しもう。


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ライター
寿司屋に擬態したライター編集者。幼少期におばあちゃんと対戦した『プロ野球ファミリースタジアム'88』でコールド負けを喫したくやしさからゲーマーとしての才能が開花。半年の猛特訓を経て再戦した際には5分でコールド負けをしたほどの実力を持つ。
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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