チーター許すまじ。ゲームを台無しにするチーターの存在を塵ほども許さない正体不明ハッカーが、「チーターだけを殺すAI Bot」を製作した。対戦FPS『Team Fortress 2』にて、そんなチーターだけを駆除するチートAI Bot「The Extermination Bot Services」(Bot駆除サービス)が出現していることを、Eurogamerなどの海外メディアが報じている。
この「チートを殺すBot」の制作者を名乗る人物は、Redditにてさまざまな質問に答えている。このBotに利用されているのは、ある有名な『Team Fortress 2』のチートツールだ。チートを使ってチーターを殺す、まるで仮面ライダーがショッカーの技術で人類のために戦う姿を彷彿とさせるやり方だ。
とはいえ、やはりチートを使ってチーターと戦うBotというのは信頼されないものだ。そういった質問に対し、上記のYouTubeの動画を紹介してチーターだけを殺していると主張。確かにたくさんの一般プレイヤーには目もくれず、チーターと思われる特定のプレイヤーだけを瞬殺しているように見える。
このボット駆除サービスはコミュニティに受け入れられつつあるようだが、その一方で、「ボット駆除サービス」を名乗る偽物も出てきているという。このサービスが単純に駆除サービスを模倣して同じことをやっているのか、あるいはそう名乗りながらほかの善良なプレイヤーの損になるような不正行為を働いているかは不明だ。サーバーから排除されないよう、プレイヤーに利するアンチチートボットを名乗るチーターという報告もある。
また、ボット駆除サービスはあくまでもひとりのプレイヤーとして参加するので、サーバーのスロットをひとつ占有することも問題視されている。
there is a new type of bots on tf2 "the extermination bot services", they're cheaters but scripted specially to kill other cheaters in any game, they won't kill you, if you see one of them don't kick him, they're friendly with true players, they will help you. pic.twitter.com/M3FSuM4GBu
— Quattro (@MrQuattro39) September 3, 2020
『Team Fortress 2』のコミュニティは、コミュニティとしてチーターと戦っている。「TF2hackerSWAT」というチート対策情報を共有するサブレディットを製作したり、自動でBotを検出する「TF2 Bot Detector」を開発したりと、さまざまな方法でチートと戦っている。
2019年には、ゲームの開発元であるValveがすでに『Team Fortress 2』の開発にほとんど人員を割いていないことが噂となった。しかし、ゲーム内で人種差別的な文言をチャットに流し続けるBotが登場したときは、いち早く対処したことも報じられている。
Valveが今なお問題となっているチーターに対してどの程度動いているかは不明だが、だからこそコミュニティが団結して問題に対処せざるをえない。
このアンチチートBotが『Team Fortress 2』のチート問題の完全な解決にはならないだろう。Bot駆除サービス作者を名乗る人物も「火をおこすためのマッチになりたい」と、自身の行動がボット対策を考えるためのきっかけに過ぎないことを認めている。
マルチプレイゲームにプレイヤーがいる限り終わることはないチート対策。単純にチーターをBANするだけでなく、チーター同士をマッチングさせて戦わせるたり、機械学習を利用したりと、興味深いチート対策も報告されている。2007年に発売された『Team Fortress 2』であっても、チーターとの戦いは終わらない。