「そんな装備で大丈夫か?」、「大丈夫だ、問題ない」というセリフで一世を風靡した『エルシャダイ』が、2021年4月28日(水)で10周年を迎えた。
ゲームのディレクター竹安佐和記氏は、10周年の良き日に『エルシャダイ』のSteamストアページをオープン。ルシフェルの「10年か……」というセリフから始まる、高解像度化されたグラフィックが確認できる新トレイラーも公開となった。
《エルシャダイ10周年》
— クリム (@info_crim) April 28, 2021
おかげさまでゲームの発売から
10年を迎える事ができました
いつも応援してくださる皆様に
とても感謝しております
ありがとうございます
今後も楽しんでいただけるよう
努力してまいりますので
なにとぞよろしくお願いいたします#エルシャダイ#エルシャダイ10周年 pic.twitter.com/gyIUSGzFTQ
『エルシャダイ』は、2011年にイグニッション・エンターテインメントが発売したアクションアドベンチャー。「3Dジャンプアクション」、「3Dバトル」、「2Dアクション」、「2Dバトル」をゲームに盛り込み、アクションの面白さの原点を詰め込んだゲームとして開発された。プレイヤーは天界に住む人間の青年イーノックとなり、人類を滅亡の危機から救うべく戦いを繰り広げる。
ゲームでイーノックと人気を二分するのが、黒衣の青年ルシフェルだ。トレイラーでは「そんな装備で大丈夫か?」や「神は言っている。ここで死ぬさだめではないと」など名ゼリフを連発。ゲームでは第四の壁を越える狂言回しの役割も担っており、コラボカフェなど現実の企画でも度々その手腕を発揮した人物だ。
『エルシャダイ』は竹安氏の作る「神話構想」という神話のひとつという位置づけだ。ゲームの物語を補完・拡大する小説や、同じ世界設定をベースにした『ザ・ロストチャイルド』も発売された。
10周年を迎え、Twitterでも「エルシャダイ」がトレンド入り。すでに10周年だと知っていた人、トレンド入りして10周年を知った人などが、思い出話に花を咲かせている。2010年ごろといえばニコニコ動画が大人気。トレイラーの人気により、『エルシャダイ』も無数のファン動画が制作された。それらを思い出す人も少なくないようだ。
さまざまな思い出が語られる中に、かつて『エルシャダイ』の公式アンソロジーコミックスに参加した漫画家の菊野郎氏もいた。“エロ同人メインの店で「一番いいのを頼む」って元気一杯に頼むイーノック”という描写に公式からOKが出たという思い出を自身のTwitterに投稿。公式の懐の深さに驚かされたと振り返っている。菊野郎氏によればイーノックがエロ同人誌を元気に買う漫画も載っている「エルシャダイ アンソロジー 」はすでに絶版のようだが、興味があれば探してみてほしい。
『エルシャダイ』は海外でも熱烈なファンを持つため、「カルト・クラシック」と表現されることが多いように見える。海外メディアCOGconnectedは、『エルシャダイ』を「最高の文化盗用の一例」として良い意味で紹介している。文化の盗用は日本人にとっては少しなじみが薄いが、海外ではたびたび問題になり、その事例が日本でも紹介されている。
同メディアのニコラ・カプロン記者は、本作は異なる文化圏の人(日本人)が旧約聖書やエノク書をインスピレーションの源として制作したが、元となる作品を正確に表現はしていないとしている。しかし、それが失礼な態度であるかという点については、はっきりと否定している。ゲームはたくさんの愛と配慮に満ち、信じられないほど楽しい時間を過ごせたとし、自分たちの文化がゲームのインスピレーションの元となることを歓迎している。
4月28日より開催予定だった「エルシャダイ10周年記念展」は、残念ながら開催が延期となることが発表された。宣言解除後に改めて告知予定としている。また、『エルシャダイ』の物語を補完し拡張する小説『Elshaddaiセタ記』の第6巻が4月28日に発売も明らかにされている。
ライター/古嶋誉幸