チャリティーのためのゲームバンドルを長年リリースし続けてきたHumble Bundleは、バンドル購入時に支払うお金をHumble Bundle、販売者、チャリティーへ分配する割合を決められるスライダーの復活を発表した。
Humble Bundleは、10年以上ゲームファンとゲーム企業、チャリティー団体をつなぐ役目を「Pay What You Want」(望むだけ支払う)形式で実行してきた。同社はさまざまなゲームを詰めたバンドルパックを販売。ユーザーは望む額を支払い、支払額を企業、チャリティー団体、Humble Bundleへ自由に分配できるサービスを提供していた。そのため、ユーザーがやろうと思えば支払額すべてをチャリティー団体に支払ったり、企業へ支払ったりすることもできる。
4月23日、Humble Bundleは10年以上続けてきたこの仕組みの撤廃を発表。チャリティー団体に支払額の5%、あるいは15%を支払う選択肢だけを残した。しかし、「Pay What You Want」のシステムは残されている。そのため、寄付のために多くのお金を払った人が、余剰分をすべてチャリティーに寄付する、といったこともできなくなる変更だった。
長年チャリティー色の強いサービスを行ってきており、4月24日に投稿された変更を告げるツイートには無数のリプライが寄せられた。多くは抗議であり、定期購読サービスHumble Choiceやメーリングリストを解約したなど、失望によってほかの提供サービスから脱退したという声も少なくない。2017年に同社はIGNに買収されており、その結果変わってしまったという声もある。
この新システムは5月から本格的に始動する予定だったが、スライダーを元に戻し、変更はいったん棚上げとなった形だ。これについてHumble Bundleは「皆さまのご意見をしんしに受け止め、このような変更を行ったことをおわび申し上げます」と謝罪。今後も何らかの変更を模索するというが、事前に計画をユーザーに報告し、フィードバックを求めることを約束している。
Humble Bundleスタート時は、チャリティー活動に賛同した多くのインディーゲーム開発者がゲームを提供することで成り立っていた。しかし、活動が大規模化するにつれてHumble StoreやHumble Choiceなど、大手企業と協力してゲームを販売する機会も増えていった。各団体への支払額の固定化は、ゲームを提供する企業にとっても利益にはなっただろう。
多くのユーザーの声によって、サービス開始当初から続くストア最大の特徴であるスライダーは復活。今後はユーザーの声を聞きながら、ストアの今後を模索していくことになるだろう。
ライター/古嶋誉幸