スコットランドの首都エジンバラに住むゲーム開発者のクリス・エブリー氏は、itch.ioにてサウンドゲーム『Ichi – The Blind Ronin』を無料でリリースした。
『Ichi – The Blind Ronin』は『座頭市』にインスパイアされたサウンドオンリーゲーム。本作は盲目の剣士、市を主役にしたアクション時代劇を、市の視点から体験できるゲームだといえる。
盲目なのでゲームはすべて音声のみ。まったくマップは見えないが、音を頼りにマップを歩き回りながら楽器を探し、その場所で正体不明の剣士と戦う。音楽が大きく聞こえる場所に移動すると敵剣士が登場。音楽の盛り上がりや転調に合わせて攻撃してくるので、プレイヤーは音を頼りに敵の斬撃をはじく。3回成功すれば倒せるようだ。
本作はXbox系コントローラーに対応している。ゲームを始めるとコントロールについての説明が音声のみでされるが、参考のために操作方法も記しておく。
左スティック:前後左右移動
右スティック:左右回転
LB:ダッシュ
RB:剣を振る/パリイ
Dパッド上:剣を抜く
Dパッド下:納刀
Esc:ゲーム退出
音のみを頼りにプレイするゲームといえば、1997年のセガサターン向けソフト『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』を思い起こす方も多いだろう。2013年に亡くなった飯野賢治氏率いるワープの開発した作品で、視覚障害者と視覚障害を持たない人がプレイでき、両者にコミュニケーションが生まれるゲームを作るという目標で作られた。
『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』の続編が作られることはなかったが、障害を持つ人と持たない人が同じが遊ぶゲームという構想、は20年以上経ったいまでもさまざまな形で実現している。
2021年3月に発売された、目隠しをしたまま車を運転させられるという設定のブラックコメディゲーム『Blind Drive』は、ある程度のHUDが表示されるが視覚障害者でもプレイできるようになっている。これも視覚障害者と視覚障害を持たない人とのコミュニケーションを生むゲームといえる。
また、マイクロソフトの「Xbox アクセシビリティ ガイドライン」や「Xbox Adaptive Controller」、PlayStationファーストパーティタイトルの豊富なアクセシビリティオプションなども、障害者と障害を持たない人々とがゲームを通じてコミュニケーションを生むものになっているだろう。