ゲーム配信プラットフォームのTwitch上では、日本時間7月5日午前0時30分から世界最大級のリアルタイムアタック(以下、RTA)イベント「Summer Games Done Quick 2021」が開催中だ。そのようなイベントのなか、イベント2日目に披露されたニンテンドー64用ソフト『マリオストーリー』のRTAが“意味不明すぎて笑える”とTwitter上で話題になっている。
※公認で日本語再配信を実施するTwitchチャンネル「JapaneseRestream」の解説付き映像
2000年8月に発売された『マリオストーリー』は「ペーパーマリオ」シリーズの第一作にあたるRPGなのだが、開始とともに表示された画面は『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のセーブデータ選択画面であった。そのままゲームを開始した走者のJCog氏は、最初のダンジョン「デクの樹」へ向かう途中の道から特殊な手順で調整を踏み“無を取得”。そして、特定の角度に向けて“無”を置くことで“エンドクレジットを呼び出す”命令を「メモリー拡張パック」へ記録していた。
映像には映されていないが、JCog氏はこの後ニンテンドー64の電源を点けたまま『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のカセットを引き抜き、本来「メモリー拡張パック」へ対応していない『マリオストーリー』のカセットに素早く換装している。
すると何事もなかったかのように『マリオストーリー』が起動。その後はエリア移動の判定を継続させることでイベントをスキップする技「Loading Zone Stoage(LZS)」も駆使しながらプロローグを進めていた。
最初のボスである「クリキング」ももちろん倒すのだが、事前に取得したアイテムを砦前の草むらで使うとなぜか2度目のクリキング戦へ突入。倒すことで通常のプレイでは発生しない特殊な状況が生まれている。
特殊な状況のなか、JCog氏は「なかま」のメニューを開いた状態でハンマーを振り続けた。ハンマーの衝撃やジャンプの着地時には本来煙のエフェクトが出るのだが、メニューを開いている間にエフェクトは発生せず、メニューを閉じた際に蓄積された回数分のエフェクトがすべて表示される。
一斉にメモリを使用した『マリオストーリー』の世界は処理が必要なデータであふれ、最終的に異常終了(クラッシュ)を起こす。そして、再起動で処理を破棄したデータには、本来であれば無視される“エンドクレジットを呼び出す”命令だけが残されるわけだ。
今回披露された手法は2021年2月にJCog氏が発見した“Stop ‘n’ Swop”と呼ばれる手法で、名称は1998年発売のアクションゲーム『バンジョーとカズーイの大冒険』に搭載されるはずであった次回作への引き継ぎ要素へ由来しているという。
なお、RTAの記録を集めるデータベースサイトのSpeedrun.comによると、JCog氏は54分22秒の初回記録を達成後も改良を重ね、7月5日に24分13秒の世界新記録を生み出している。
26分12秒2で終了したRTAのあとには、ゲーム内のさまざまなバグによる挙動(グリッチ)を紹介するショーケースも披露されている。興味があればあわせてチェックしてみてほしい。
ライター/ヨシムネ