Epic Gamesは4月6日(水)、ゲームエンジン「Unreal Engine 5」を正式リリースした。
Unreal Engine 5.0 をリリースしました。
— アンリアルエンジン (@UnrealEngineJP) April 5, 2022
これより全ての開発者が #UE5 を利用できるようになります! pic.twitter.com/tT7D3atzWl
「Unreal Engine 5」は長らくゲーム業界にて使用されてきた「Unreal Engine 4」の後継にあたり、2021年5月に早期アクセス版を、2022年2月にはプレビューリリース版をそれぞれ公開してきた。
おもな新機能として、高い忠実度のディテールでリアルタイムに変動する世界をレンダリングするための「Lumen」と「Nanite」が挙げられる。
「Lumen」は、周囲の環境に応じて自然な間接光を実現する機能だ。時間の変化に従って太陽光の角度を変化させたり、懐中電灯を点灯させたり、屋外のドアを開いたり、といった動的なアプローチに対してリアルタイムに変化を再現する。Lumenを使用することで、ライトマップの作成などの手間が不要になるという。
「Nanite」は、これまでには映画に使われていたような緻密な3Dモデルをゲーム内で利用可能にする。基本的には高品質なモデルを多数用いると処理が重くなり、フレームレートの低下などに繋がってしまう。しかし、Naniteは遠景のオブジェクトのディテールを落とすなどの調整を自動で行い、プレイヤーが得られる映像体験を損なうことなくフレームレートを維持するとのことである。
Epic Gamesが示す目標のひとつとして、「オープンワールドの作成を高速に、簡単に、どのような規模のチームにとっても共同作業が行いやすいものにする」ことが挙げられている。これを実現するため、Unreal Engine 5ではワールド全体を自動的にグリッドに分割し、必要な部分のみを自動で読み込む「World Partition」が実装された。
くわえて「One File Per Actor」システムによって、複数のチームメンバーがひとつの領域にて同時に作業することができるようになり、「Data Layers」機能では日中や夜など、複数のバリエーションをレイヤーとして作成することが可能となっている。
また、内部で倍精度値を使用する「Large World Coordinates」の初期サポートにより、広大なワールドを作成するための特別なテクニックは必要なくなった。
さらに、ほかの制作ツールと行き来することなく、エンジン上でアニメーションやモデリングを編集できる機能も強化されている。
アニメーション作成については「Unreal Editor」内にて直接作業が可能に。より進歩した実制作対応のコントロール リグを使用してリグをすばやく作成し、それを複数のキャラクターで共有したり、ポーズを保存、適用することができるという。
このほか、メッシュ作成やUV編集、ベイクやメッシュ属性といった分野のツールセットが大幅に拡張。オーディオ面でも「MetaSounds」によるプロシージャルなコンテンツ作成が可能となった。
そして「Unreal Engine 4.27」にて導入された「パス トレーサー」は暗転性やパフォーマンス、機能の完全性が向上。ヘア プリミティブや目のシェーダーモデルのサポートなど、さまざまな改良を経て息をのむほどに美しいピクセルイメージを、わずかな時間で生成できるとのことだ。
また、サンプルとしてシューター作品風の「Lyra Starter Game」、および『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』の都市シーンを元にした「City サンプル」が公開されている。「Unreal Engine 5」の詳細については、公式のリリースノートなども参照されたい。