Coyu.live所属のYouTube柚葉氏は5月15日、東方Projectの二次創作として知られる「ゆっくり茶番劇」の商標権を取得したと発表した。
特許情報プラットフォームのJ-PlatPatによると「登録公報発行日」は2022年の3月4日となっており、商標権の取得をYouTubeおよびTwitterにて発表した日時は取得商標登録の異議申し立ての期限である2ヶ月以上経過している。
「ゆっくり茶番劇」は柚葉氏が商標権を取得する以前から「東方Project」の二次創作として複数のユーザーによって創作され親しまれてきたコンテンツジャンルだ。niconicoの代表を務める栗田穣崇氏によると、ニコニコにおいて「ゆっくり茶番劇」タグがついている動画は5月16日時点で1823件で、現存している中で一番最初に当該タグがつけられたのは2010年8月だという。
ちょっと調べてみましたが、ニコニコにおいて「ゆっくり茶番劇」タグがついている動画は今日時点で1823。現存している中で一番最初に当該タグがつけられたのは2010年8月でした。
— くりたしげたか(帰ってきた)🌰ニコニコ代表の人 (@sigekun) May 16, 2022
いっぽうで、柚葉氏は今後「ゆっくり茶番劇」の商標を使用する際は、商標使用許可申請書の提出と年間で10万円(税別)の使用料が必要になると発表し、ユーザーのあいだで波紋が広がっている。
なお、動画の概要欄に掲載されている「ゆっくり茶番劇」の商標使用に関する要綱、および柚葉企画公式ホームページのリンクは、執筆時点ではアクセスできない状態となっている。
https://twitter.com/Yuzuha_YouTube/status/1525607600250712064?s=20&t=5Eu16xDMgHpMRjJ_964JEA
「ゆっくり茶番劇」はこれまで「東方Project」の二次創作コンテンツにおけるひとつのジャンルとして流通してきた呼称であり、具体的な定義は存在しない。だがその多くは「ゆっくりボイス」や「棒読みちゃん」などの読み上げソフトと、「東方Project」の二次創作イラストを中心としたキャラクターイラストにより、物語を描く形式となっていた。
柚葉氏の今回の商標権の取得に際して、SNSでは「東方Project」およびその二次創作のファンから、「東方Projectの二次創作ガイドラインに反するのではないか」という意見や、以前から存在し流通していたジャンル名を「後発の個人が商標登録すること」を問題視する意見が多数投稿されている。
柚葉氏が所属していたライバーコミュニティ「Coyu.Live」(コーユー・ドットライブ)は5月16日、所属規約および所属契約への違反が認められたため、総合的に判断した結果、本日付にて警告処分としたことを発表した。警告の後、相当の期間を設けたにも関わらず改善の見込みがない場合は、契約は解除されるという。
東方Projecの原作者であるZUN氏は本件を受けて、「法律に詳しい方に確認する」とTwitterにてコメントを投稿した。
また、niconicoの代表を務める栗田穣崇氏は5月15日、「本件がニコニコの投稿者にどのような影響があるのか週明けに法務部に確認し、ニコニコから公式に見解を出す必要があるのか、何かニコニコとしての対応が必要なのかについては法務確認を持って判断す」と投稿し、5月16日には「5月21日(土)までにニコニコとしての公式見解を発表する」とTwitterに投稿した。
栗田穣崇氏はなるべく早く発表したいものの、法律事務所への相談内容とりまとめ、法律事務所とのやりとり、声明の作成、社内調整をするに当たって、
迅速に対応しているが1週間ほど時間を要するという。
ゆっくり茶番劇の話は耳に入りましたよー。
— 博麗神主 (@korindo) May 15, 2022
法律に詳しい方に確認しますね。
「ゆっくり茶番劇」についてドワンゴ法務部とMTGを行いました。万全を期すためにこれから法律事務所にも相談します。5/21(土)までにユーザーのみなさんに安心してニコニコを使っていただけるよう、ニコニコとしての公式見解を出しますので、それまでお待ちいただければ幸いです。
— くりたしげたか(帰ってきた)🌰ニコニコ代表の人 (@sigekun) May 16, 2022
柚葉氏は「ゆっくり茶番劇」商標権の取得に関する批判に対し、商標「ゆっくり茶番劇」は「文字商標」のため文字表記に対して効力が及ぶものであり、ZUN氏の東方Projectと版権キャラクター、他者の商標及びサービスとは一切関係ないと主張している。
くわえて、柚葉氏は同氏や関係者への殺害予告や誹謗中傷を受けて、全ての案件で被害届を出すことを発表している。「ゆっくり茶番劇」の商標権の取得に疑問や批判がある場合も注意されたい。 ZUN氏やニコニコとしての公式見解を待とう。