フロム・ソフトウェアの代表取締役社長を務める宮崎英高氏が、米タイム誌の定める「世界で最も影響力のある100人のリスト」(タイム 100)に選出された。
宮崎氏は2004年にフロム・ソフトウェアに入社し、『アーマード・コア4』シリーズで初めてディレクターを担当した。その後に『デモンズソウル』や『ダークソウル』、『ブラッドボーン』、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、『エルデンリング』などをディレクターとして手がけ、現在はフロム・ソフトウェアの代表取締役社長を務める。
同氏はこれまでにも日本国内では「日本ゲーム大賞 2022」の経済産業大臣賞、「CEDEC AWARDS 2022」の特別賞を受賞。海外でも「Golden Joystick Awards 2018」にて生涯功労賞(Lifetime Achievement)を受賞するなど、国内外を問わず非常に高い評価を獲得してきたゲームクリエイターだ。
特に同社の最新作である『エルデンリング』は「Golden Joystick Award」、「The Game Awards」、「D.I.C.E. Awards」、「Game Developers Choice Awards」といった主要4大ゲームアワードすべてでゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝く快挙を達成している。
日本国内で“世界で最も影響力のある100人”と呼ばれる「タイム100」は有識者による議論のもと、タイム誌が2004年から毎年発表している人気企画のひとつ。選出された合計100名の人物は「アイコン」「パイオニア」「タイタン」「アーティスト」「リーダー」「イノベーター」の計6カテゴリに分類されており、宮崎氏は今回“革新者”を意味する「イノベーター」カテゴリでの選出となっている。
過去にはこれまで、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏やマイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏、テンセントのCEOである馬化騰氏など、名だたる業界人が選ばれてきた。今回、その一角に宮崎氏も名を連ねた次第である。
選出にあたり、アドベンチャーゲーム『The Last of Us』シリーズで知られるゲームクリエイターのニール・ドラックマン氏は下記のような選評を寄せている。
初めて宮崎英高のゲームを遊んだとき、私は惨めな気持ちになった。
最初の敵で何度も死に続けた。しかし、ゆっくりと、細部に気を配ってプレイしてみた瞬間、なにかがピタリとはまった。その敵を倒し、ゲームを先に進めることができたのだ。
そこで私はたしかに成長を実感し、快感さえ覚えたのだ!
そしてゲームを進めていくうちに、私はより慎重に、より注意を払って世界を探索するようになっていった。その見返りであるかのように、世界は緊張感や美しさ、驚きを私に与えてくれた。これこそ、2022年に大ヒットした彼の『エルデンリング』が、世界にビデオゲームの素晴らしさを──テレビのような受動的なメディアでは決して再現できない、ゲームに固有な感情をプレイヤーに引き起こさせるその魅力を──伝える偉大なアンバサダーとなった理由である。彼の作るゲームをプレイしていると、達成感を感じたり、あたかも自分が賢くなったかのように感じる。そうした感情を得られるのも、すべては宮崎と彼ら開発チームの妥協のないやり方のおかげだ。彼はゲームメカニクスや世界観を決して過剰に説明することはない。なぜなら、彼はプレイヤーを信頼しているからだ。プレイヤー自身が、いつか自らの手で見つけ出すことを、信じているからだ。
宮崎氏は2022年2月発売のアクションRPG『エルデンリング』でディレクターを担当。同作は全世界で累計2000万本を出荷するほどの大ヒットを記録しており、タイム誌編集部は「宮崎氏のゲームはプレイヤーに達成感や賢さを感じさせる。彼はメカニックや伝承を過剰に説明せず、プレイヤー自ら考えて解決する力を信頼している」と評価した。
上記のほか、2023年の「世界で最も影響力のある100人」では、外交・防衛政策に力を入れた岸田文雄首相も「リーダー」カテゴリとして日本から選出。宮崎氏はサッカープロ選手のリオネル・メッシ氏やTwitter社を買収し黒字化を目指している最中のイーロン・マスク氏ら世界的な著名人と並んでの選出となった。