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『ピクミン』のデザインは「シリアスで大人な、不思議な世界を描いてみたい」という想いから生まれた。初代『ピクミン』の開発秘話も読める『ピクミン4』公式インタビューが公開中

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 任天堂は7月18日(火)、インタビュー企画「開発者に訊きました:ピクミン4」のチャプター1「ピクミン 1作目 vs. 2作目論争」を公開した。こちらでは任天堂の代表取締役 フェロー・宮本茂氏をはじめ、企画制作部の神門有史氏、日野重文氏、阿部将道氏、森井淳司氏が集まり、『ピクミン』シリーズのはじまりや、その遊びづくりについてを語っている。

 インタビューによると、初代『ピクミン』の企画の検討がはじまったのはスーパーファミコンからNINTENDO 64へプラットフォームが移行した時期で、キャラクターを数多く表示できるようになったことに憧れがあった、と日野氏は振り返る。当初から「大量のキャラクターをAIで動かすゲーム」というコンセプトはありつつも、最初期はアクションゲームではなかったとのこと。

 キャラクターのデザインも完成版の『ピクミン』とは大きく異なるものだったが、後にデザイナーとして合流した森井氏のスケッチの中から満場一致でデザインが決定。『マリオ』『ゼルダ』など明るく元気なデザインのイメージが任天堂全体で強いなか、あえてシリアスで不思議な世界を描いてみたい、といった想いもあったという。

「開発者に訊きました:ピクミン4」公開中1
(画像は「開発者に訊きました:ピクミン4」より)

 「シリアスにつくる」という意図はゲーム部分にも結びついており、ピクミンが敵に食べられるシーンには悲鳴のサウンドや幽霊のようなエフェクトも付け、生々しく描かれている。倒した獲物を持って帰ることで増えていく、という仕様にはさすがの宮本氏も「やっぱり死体で増えるって、どうやろか」と躊躇していたそうだ。

 その後、チームがゲームのサイクルの決定に苦労するなか、宮本氏が自らディレクターとして参加してゲームフロー図を制作。神門氏はその図案を見て「ゲームとして成立させられそうだと確信しました」と当時を振り返る。その約2か月後、ギリギリのタイミングで仕上がった発表映像をE3で公開したのである。

「開発者に訊きました:ピクミン4」公開中2
(画像は「開発者に訊きました:ピクミン4」より)

 チャプター1のタイトルにもふくまれる「1作目 vs. 2作目論争」とは、時間的な制約がある初代『ピクミン』と、時間制限のない代わりにピクミンやオタカラの種類が増えた『ピクミン2』のゲーム性の違いに焦点をあてたもの。この2作品の相違点を踏まえ、『ピクミン3』制作時にはどのような方向性でいくべきか、何度も議論を重ねたという。

 結果として『ピクミン3』は初代の路線に戻し、さらに本編とは別にテクニックを磨ける「ミッションモード」を収録。こうした遊び方を表現するのに「ダンドリ」というワードを使い始めたのもこのころからで、神門氏はタスクマネージメントゲームが「ゲームをしない人にもわかる気持ち良さがある」と気づいたと話している。

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(画像は「開発者に訊きました:ピクミン4」より)

 そうした経緯を経て検討を重ねた結果、神門氏は『ピクミン4』を「いろんな好みの人を温かく迎え入れられるようなゲームにした」と語る。果たして「1作目 vs. 2作目論争」は終焉を迎えるのか、今は7月21日(金)に控えた『ピクミン4』の発売を楽しみに待ちたいところだ。

 なお「開発者に訊きました:ピクミン4」のチャプター2は7月19日(水)の公開を予定している。ゲームの発売が待ち遠しい方は、こちらも欠かさずチェックしておこう。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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