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実験的で創造的なインディーゲームを発掘する「センス・オブ・ワンダーナイト2023」で『タイニードライブ』が最優秀賞である『Audience Award Grand Prix』を受賞

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 「センス・オブ・ワンダーナイト2023(以下、SOWN2023)」は、“見た瞬間、コンセプトを聞いた瞬間に、誰もがはっと、自分の世界が何か変わるような感覚”を与えるゲームのアイデアを発掘する企画だ。

 80以上のタイトルから8作品のインディーゲームが選出され、開発者自ら作品のプレゼンテーションを行い、いくつかの賞を決定する。
 「SOWN2023」は今回で16回目の開催となる。

 SOWNの目的と、選出されるインディーゲームの選考基準

 ●実験的で、創造的な、ゲームデザインやアイデアを含んだゲームを紹介すること。
 ●ゲームにおける「センス・オブ・ワンダー」の重要性を紹介し、ゲーム産業の活性化を図ること。
 ●実験的で、創造的なゲームを開発している人たちに、将来へのチャンスの場を提供すること。
 ●ゲームデザインに新しい領域を作り出していくこと。

 1 新感覚 これまで見たことないような新しい体験を形作っているゲーム
 自然言語処理、物理演算、画像認識、ジェスチャーコントロールなど、これまで利用されてこなかった技術をうまくゲームに応用した新しい種類の体験を提供するゲーム

 2 新常識 ゲームという常識を揺さぶってしまうようなゲーム
 ゲームの体験を通じて、プレイ後には、世界がちょっと変わって見えてしまうようなゲームそのものの新しい表現方法を模索しているようなゲーム

 3 創発性 創発的な要素を持っているようなゲーム
 AIの相互作用や、ツール的な要素や、ソーシャル性といった要素を持たせることによってユーザーの活動自体をゲームが巻き込んでしまうようなゲーム

 4 意欲刺激 多くの人が今すぐプレイしたいという感銘を与えられるゲーム
 新しい体験を誰もが自分自身も体験したいと考え、そのために手元にとどめておきたいと思わず感じさせてしまうようなゲーム

 5 驚き とにかくなんだか訳が分からないけれど、すごいもの
 とにかく観た瞬間に「これはスゴイ・・・」と感銘を与えられるゲーム

センス・オブ・ワンダー ナイト 2023公式紹介ページより引用)


 今年度は、株式会社Portalgraph CTOが送る『タイニードライブ』が最優秀賞である「Audience Award Grand Prix」を受賞した。

 『タイニードライブ』とは、目線を遮ることなく卓上や壁にホログラム映像を映し出す最新技術「Portalgraph(以下、ポータルグラフ)」を用いて3DCGを生成し、「(現代の)ゲーマーが生まれる前」に作られたエレメカみたいなドライブゲームが遊べるという物だ。

 360度どの角度からでも覗き込める映像体験と、ノスタルジックなアーケードゲームのような本編とのギャップが特徴となっている。

「センス・オブ・ワンダーナイト」『タイニードライブ』が最優秀賞である『Audience Award Grand Prix』を受賞_003
(画像はSOWN2023公式放送より)

 本作のプレゼンテーションを行なった株式会社Portalgraph CTOの山浦俊司氏によると、子供の頃にデパートの屋上でベルトコンベア付きの車型遊具で遊んだ時の楽しさと、最新技術である「ポータルグラフ」を組み合わせた作品であるという。

 プレイヤーは「ポータルグラフ」を装着して卓上などにホログラムを映し出し、ステアリングにこだわったと言う本格的なハンドル型のコントローラーで車を運転する。

 障害物をよけながらお菓子などのアイテムを獲得しつつ、ゴールを目指すゲームだ。

「センス・オブ・ワンダーナイト」『タイニードライブ』が最優秀賞である『Audience Award Grand Prix』を受賞_004
(画像はSOWN2023公式放送より)

 この「ポータルグラフ」は帽子式トラッカー、ヘッドホン式トラッカー、手持ち式トラッカーの3種類が開発されており、専用の眼鏡を装着することで使うことができる。

 冒頭でも説明したように、卓上や壁、スクリーンなどにホログラム映像を投影することができる最新技術を用いたツールである。

「センス・オブ・ワンダーナイト」『タイニードライブ』が最優秀賞である『Audience Award Grand Prix』を受賞_007
(画像はSOWN2023公式放送より)

 それぞれ3Dプロジェクター、3Dテレビ、赤青眼鏡+モニターなどさまざまな3D方式に対応しており、複数のスクリーンを繋げてVR空間を映し出すこともできるという。
 また、箱の中にVR空間をいれて見ることもでき、卓上に小さい人を映し出すような遊び方も可能となっている。

 山浦俊司氏は“1980年代”に「とある有名なゲーム」で登場した無敵アイテムを『タイニードライブ』に導入したことを「1980年代の最新のゲーム性」と称し会場の笑いを誘っていた。

 このプレゼンをするためだけに「とある有名なゲーム」の画像を作るのに大変苦労したということを強調し、拡大した画像も披露していた。

 観客からの笑顔マークの投票数が多い方が最優秀賞を受賞するという判定のもと『タイニードライブ』が見事「Audience Award Grand Prix」受賞し、山浦俊司氏に優勝賞金である3000ドルが贈呈された。

「センス・オブ・ワンダーナイト」『タイニードライブ』が最優秀賞である『Audience Award Grand Prix』を受賞_010
(画像はSOWN2023公式放送より)

 制作した株式会社Portalgraph CTOの山浦俊司氏は「僕のポータルグラフは凄い良い技術だから、絶対広めたいと思って、応募して良かったです。本当に、凄い嬉しいです」と、感無量の様子であった。

 『タイニードライブ』は、東京ゲームショウSelected Indie 80 A55ブースにて24日まで出展中。

「Best Technological Game Award」受賞
『タイニードライブ』

「Best Arts Award」受賞
『ODDADA』

「Best Experimental Game Award」受賞
『紙がない!』

「Best Game Design Award」受賞
『It’s a Wrap!』

「Best Presentation Award」受賞
『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』

 ※画像はSOWN2023の公式配信より引用

ライター
MOTHER2でひらがなを覚えてゲームと共に育つ。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。 Divinity: Original Sin 2の有志翻訳に参加。 ゴーストオブツシマの舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23

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