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Unityの料金システム『Runtime Fee』が廃止。インストール数に応じた支払いを求める制度で、多くの批判を浴びていた。今後は従来のシートベースのサブスクリプションモデルに戻るが、有償プランは料金引き上げも

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ゲームエンジン「Unity」を提供するUnity Technologiesは、大きな批判を浴びていた料金システム「Runtime Fee」を廃止することを発表した。

「Runtime Fee」は2023年9月に発表された「Unity」利用に関する新たな料金体系で、累計のインストール数と年間の収益で一定の基準を超えた作品を対象に、インストール数などに応じて支払いを求めるものだ。

当初デベロッパーなどへの周知がなされていなかったことや、ダウンロード数の集計方法が不透明であったことなどから批判が殺到し、大きな混乱が発生。その後には、指摘されていた問題点に対応する形での修正ポリシーが発表されるなどしていた。

今回の発表では、「Runtime Fee」を即座に廃止し、料金体系を従来のシートベースのサブスクリプションモデルに戻すことが伝えられている。この料金体系については、年内のリリースが予定されている最新の「Unity 6」についても含まれるという。

「Unity Personal」はこれまで通り無料で使用することができ、さらにこれまで設定されていた総収益と調達金額の上限を現在の10万米ドルから倍の20 万米ドルに引き上げることも発表されている。

一方で、年間の総収益および調達金額がしきい値を超える場合の有償プラン「Unity Pro」は8%の価格引き上げ、「Unity Enterprise」については25%の価格引き上げが適用されるとの旨も合わせて伝えられている。

CEOのMatt Bromberg氏による声明は、以下の通り。

日頃より Unity をご利用いただき、誠にありがとうございます。このたび、Unity のコミュニティやお客様、およびパートナーと数か月にもわたり協議を重ねた結果、ゲーム領域向け Runtime Fee を撤回することを決定いたしました。この決定は、本発表をもって直ちに適用されます。なお、ゲーム業界以外のお客様におきましては、変更による影響はございません。

過去 20 年にわたり、Unity はデザイナー、開発者、アーティストやエンジニア、パブリッシャーおよびプラットフォームの皆様と、誰もが、あらゆるユーザーのために素晴らしいゲームを作れる世界を築いてまいりました。私たちはこれを「ゲーム開発の民主化」と呼んでおり、それは今日においても Unity のコアミッションであり続けています。

しかし、お客様と対立する形をとってまでそのミッションを追求するべきではなく、信頼に基づいたパートナーシップこそが、本来の優先事項であるからです。この 3 か月、多くのユーザーから強い Unity であってほしいという声や、価格の引き上げはゲームの発展を促進するために必要だ、などのご意見をたびたび頂戴しました。しかし、こうした価格の引き上げは物議を醸すような奇抜な形で実施されるべきものではありません。Unity は、適正な価格と正しい方法で価値を提供することで、今後も皆様に安心して製品をご利用いただけるパートナーであり続け、皆様の長期的なビジネス構築をお手伝いしていきたいと考えております。また、皆様との良好なパートナーシップを維持し、今後も優れたソフトウェアとサービスを提供していくことにより、皆様と共に達成できる成果は、これまでにも増して大きなものになっていくと確信しています。

このような理由から、ゲームのお客様の料金体系を従来のシートベースのサブスクリプションモデルに戻すことを決定いたしました。この変更の対象は、高いパフォーマンスと安定性を備えた Unity 6(年内リリース予定)ユーザーも含まれます。

変更内容は以下のとおりです。

Unity Personal:昨年発表したとおり、Unity Personalは引き続き無料でご利用いただけます。これまで設定されていた総収益および調達金額の上限を現在の 10 万米ドルから倍の 20 万米ドルに引き上げます。これにより、より多くの方に Unity を無料でご利用いただけるようになります。また、年内に予定されている Unity 6 のリリースをもって、Unity Personal で開発されたゲームでの「Made with Unity」スプラッシュスクリーンの使用は任意となります。

Unity Pro および Unity Enterprise:2025 年 1 月 1 日より、サブスクリプション価格、年間の総収益および調達金額のしきい値が変更されます。これらの変更は、2025 年 1 月 1 日以降に新規、または既存の Unity Pro および Unity Enterprise のお客様が、サブスクリプションを購入・アップグレード・更新した際に適用されます。

Unity Pro:Unity Pro ライセンスは、8% の価格引き上げが適用され、シートあたり年間 2,200 米ドルとなります。※ 年間の総収益および調達金額が 20 万米ドルを超えるお客様につきましては、Unity Pro のご利用が必須となります。

Unity Enterprise:Unity Enterprise ライセンスは、25% の価格引き上げが適用されます。※米ドル価格の場合。年間の総収益および調達金額が 2,500 万米ドルを超えるお客様につきましては、Unity Enterprise のご利用が必須となります。また、サブスクリプションの最低購入数が適用される場合がございます。このライセンスは最も多くのお客様にご利用いただいていますが、各お客様が独自のニーズをお持ちで、Unity の製品やサービスを多数ご利用いただいているため、今後すべてのお客様にご連絡をし、カスタマイズされたパッケージについてご相談させていただく予定です。

今後 Unity は、より慣習的なサイクルで、年に一度の価格改定の可能性を検討をしていきたいと考えます。今後、エディターソフトウェアの利用条件の変更に対し、お客様からのご同意をいただけない場合は、ご利用中の Unity バージョンとその利用規約を継続してご利用いただけます。この利用規約は昨年、Unity の GitHub リポジトリおよび unity.com/legal で公表されています。2025 年の価格改定の詳細については、こちらからご覧いただけます。

ゲーム領域向けの Runtime Fee を撤回し、今回の価格改定を実施することにより、お客様のゲーム開発を向上させるための投資を続け、そして皆様のより良いパートナーであり続けたいと考えます。皆様の信頼と継続的なサポートに感謝いたします。これからも、皆様と共に素晴らしいゲームを作っていけることを楽しみにしております。

– Matt

ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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