5月23日、同人誌等の印刷を手掛ける有限会社スズトウシャドウ印刷は、令和7年7月25日(金)をもって、同人誌を含む全ての印刷事業を終了することを発表した。
同社によると、令和6年能登半島地震で被災後、約1年間にわたりスタッフ一丸となって営業再開に尽力。しかし、被災直後とは異なる環境の変化に加え、近年の紙媒体の需要減少、相次ぐ材料費の高騰、そして人材不足といった複数の要因が重なり、事業継続が困難と判断しとのこと。
【皆様へ】
— スズトウシャドウ印刷 (@suzutow) May 23, 2025
スズです。
弊社の今後の運用についての重要なお知らせです。
ご一読くださいますようお願い申し上げます。 pic.twitter.com/SwQ0lGr7Ua
有限会社スズトウシャドウ印刷は、「珠洲謄写堂印刷」として昭和28年に創業。昭和61年にスズトウシャドウ印刷を設立して以来、約40年にわたり同人誌印刷に携わってきた。
同社は「これまで多くのお客様にご利用いただいた事、また令和6年能登半島地震被災後には全国からたくさんの応援および多大なご支援をいただいた事心より感謝申し上げます」と謝意を表明。続けて「再建をする事で恩返しが出来ず誠に申し訳ございません。 全ては私個人の力不足によるものです。これまで支えてくれたスタッフには感謝しかありません」と、苦渋の決断であったことをうかがわせた。
【再出発】
— スズトウシャドウ印刷 (@suzutow) April 1, 2024
スズです。
2024.4.1
本日より営業を再開いたします。
昨日の発表よりたくさんの応援コメントいただいております。
あたたかいお言葉に目頭が熱くなります。
皆様のご期待にお応え出来るよう、精一杯がんばります。
ご入稿お待ちしております。#能登半島地震 #珠洲市 pic.twitter.com/SwfKJJbQLp
また、「能登半島の最北端で日本を代表する文化のひとつである同人誌に長年関わらせていただいた事、その他様々な印刷物を全国からご依頼いただいた事は弊社の誇りです。『いつまでも同人誌業界に携わっていたい』、『北陸唯一の同人誌印刷会社を継続したい』、『独自の印刷技術を継承していきたい』という思いがある反面、あらゆる変化を恐れずに前進する事の難しさを感じた1年でした」と、事業継続への強い思いと現実の厳しさとの間で葛藤があったことを明かした。
今後の対応として、最終の入稿締切は2025年7月14日(月)午前8時(7月25日(金)合わせ分、おとく割引適用)とし、該当の予約作品については責任をもって納品する。7月26日(土)合わせ以降ですでに予約済みの作品や預かり在庫については、個別に連絡を取り、可能な限りの対応をするとしている。

なお、同社常設セット内仕様の一部については、長年にわたり取引がある有限会社あかつき印刷(愛知県名古屋市)が引き継ぐことが決定している。詳細については、決定次第スズトウシャドウ印刷のホームページおよびXにて告知される予定だ。
同社は発表の中で最後に「1日も早い能登の復興、今後益々の同人誌文化の発展を願っております。 長い間本当にありがとうございました」と結んでいる。