世界最大規模の格闘ゲームイベント「EVO(Evolution Championship Series)」の共同所有者兼運営会社であるうeスポーツ事業会社RTSが、サウジアラビアで進行中の巨大エンターテインメントプロジェクト「Qiddiya(キディヤ)」に完全買収された。
この買収は、Qiddiyaの最高戦略責任者であるMuhannad Aldawood氏が、日本時間9月2日に自身のLinkedInアカウントへの投稿で明らかにした。

EVOは2025年8月に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)からNODWIN Gamingへの株式売却を経て、新たにNODWIN GamingとRTSによる共同所有体制へと移行したばかりだ。今回の買収により、QiddiyaはRTSを通じてEVOの運営に直接的に深く関与することになる。
Qiddiyaの最高戦略責任者であるMuhannad Aldawood氏は、この買収がeスポーツ事業を強化し、より広範なゲームエコシステムにおいて新たな機会を切り開くものだと述べた。
また、これにより世界最大の格闘ゲームイベントであるEVOの継続的な成長を無限の可能性で促進できるようになり、格闘ゲームコミュニティの期待に応えるべく、EVOの進化を新たな高みへと導く道が開かれたと強調している。
以前の8月に発表された体制変更では、SIEはEVOの株式をNODWIN Gamingに売却した後、2028年までグローバルスポンサーとしてEVOを支援し続けることが明らかにされていた。また当時、QiddiyaはRTSへの投資とEVOとのパートナーシップ延長を発表するに留まっていたが、今回はそのRTSを完全子会社化した形になる。

今回RTSの完全買収を発表した「Qiddiya」は、サウジアラビアの首都リヤド近郊で開発が進められている、国家的な巨大エンターテイメントプロジェクトである。
このプロジェクトは、同国が石油依存経済からの脱却を目指す国家戦略「ビジョン2030」の重要な柱の一つと位置づけられており、サウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」が支援している。完成後は世界有数のエンターテイメント、スポーツ、文化の拠点となり、数十万人の雇用創出と莫大な経済効果が見込まれている。
プロジェクトでは、中心となる都市「キディヤ・シティ」内に、ゲーミングとeスポーツに特化した地区「Qiddiya Gaming」の建設を計画しているほか、世界初の『ドラゴンボール』のテーマパークや、F1規格の新サーキット建設なども発表されており、多岐にわたる分野で世界中から注目を集めている。