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ありもしない“都市伝説”を捏造&見破るボードゲーム『証拠より論』が登場。「都市伝説ダウト」として月刊ムーが監修。なお、陰謀論に逆にハマりやすくなる可能性が実験で示唆されてしまう

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スーパーミステリー・マガジン「ムー」を刊行する株式会社ワン・パブリッシングは11月12日、同社が監修したボードゲーム「都市伝説ダウト『証拠より論』」の詳細を発表した。価格は税込4950円。

11月12日にAmazonで販売開始した本商品は、都市伝説テラーとなった4~6名のプレイヤーが、配られた「都市伝説カード」の内容を披露するゲームだ。

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ただし、特定の界隈で実際に噂される都市伝説だけではなく、お題と豆知識だけが記載された「ナシ伝説カード」も混ざっている。

これを持っている場合は「ありもしない都市伝説」を、その場で捏造して披露しなければならない。噂すらされていない「でっち上げ以上の虚構」を、5分間のシンキングタイムで作り出そう。

カードに記載された豆知識に沿うかはプレイヤーの自由。湧き出る想像力で物語を創作しても良いが、それが「ナシ伝説」として言い当てられた場合は相手に正解点が入ってしまう。

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つまり、本商品は「ナシ伝説で嘘を通す、見破る」が基本的な遊び方なのだが、悪知恵が働くプレイヤーほど「実際は存在するマイナーな都市伝説を“ナシ伝説”として披露できてしまう」というルールの穴に気付けるかもしれない。

これについてはプレイヤー側でネット検索を通した裏取りを行い、実際に特定の界隈で噂になっていると判明した時点で無効にするルールのようだ。

かなり盤外の要素も含まれているが、これには本商品が作られた目的や「証拠より論」という商品名が密接に関係している。

「嘘の都市伝説を考え、披露する」という行為は、嘘を作り出す側の思考法を追体験できる。本商品の狙いとしては、情報の真偽を確かめることも含めて、社会問題化している「陰謀論」にハマらないための耐性をプレイヤーに身につけさせることだ。

一方で本商品で想定される効果は「机上の空論」でしかないため、昭和女子大学人間社会学部心理学科の榊原良太准教授らと共同で、本商品の効果検証が行われた。

具体的には、大学生36名を対象にゲーム実施前後で陰謀論に対する態度や信念の変化を測定する調査を実施したという。当初はゲームをすることでリテラシーが高まる可能性があると期待されていたが…。

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予想を大きく裏切り、本商品によって「陰謀論耐性が高まる」という効果は統計的に確認できなかった。それどころか一部の指標ではゲーム後に陰謀論を信じやすくなる可能性も僅かに示唆されてしまったという。

原因については断定できないものの、このゲーム自体が「実在する都市伝説」「虚構の都市伝説」の双方を取り扱っているため、ゲームを通して「実在する都市伝説=事実」という誤解が一部の被験者で生じてしまったという推測が立っているようだ。

また、多くの「実在する都市伝説」に触れていく過程で「この世の中には思っていた以上に“陰謀”が渦巻いているのかもしれない」と被験者が考えるようになってしまった可能性も指摘されている。

リテラシーを高めるどころか陰謀論にハマりやすくなる逆効果を持つかもしれないという、何とも業の深いゲームになってしまった本商品。

とはいえ、効果検証その物が「論より証拠」の重要性を体現しているほか、この商品を遊ぶと陰謀論対策になるという前提自体が明確な根拠がない陰謀論のようになっているため、商品コンセプトとしては「成功」と捉えられているようだ。

効果検証の詳細な調査結果は具体的なデータも含めて公開されている。本稿(電ファミ)では詳細をあえて掲載していないため、“逆効果”が真実かどうか、真実になるかどうかを自身の力で読解してみよう。都市伝説は自ら調査し解体するものだ。

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


「陰謀論」耐性がつくと思ったらまさかの逆効果⁉「ムー」監修ボードゲーム「都市伝説ダウト『証拠より論』」発売

“都市伝説テラー”となり、豆知識とウソを織り交ぜて【都市伝説めいた話】を作りあげろ!あるいは見破れ!

株式会社ワン・パブリッシング(東京都港区/取締役社長:松井謙介)が刊行するスーパーミステリー・マガジン「ムー」は、あらゆるネガティヴ要素「ない」からコンテンツの企画・制作を行う「ない株式会社」(所在地:大阪市淀川区、代表:岡シャニカマ)が11月12日にAmazonで発売するボードゲーム「都市伝説ダウト『証拠より論』」を監修しました。

同商品では、ありもしない都市伝説をでっちあげたり、それを見破ったりする体験を通して、社会問題化している「陰謀論」にハマらないための耐性を身につけることを狙いとしています。ただその思いとは裏腹に、驚きの検証結果があらわに……。

都市伝説ダウト「証拠より論」Amazon販売ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FZLNL37Y

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■都市伝説ダウト『証拠より論』内容紹介

プレイヤーは“都市伝説テラー”として、配られた「都市伝説カード」の内容を披露していきます。ただし、カードの内容は特定の界隈で実際に噂される「都市伝説」を記したものだけではありません。カードの中には、お題と豆知識だけが記載された「ナシ伝説カード」があります。これを持っている場合は、噂すらされていない、でっちあげ以上に虚構の“都市伝説めいた作り話”をその場で披露しなければなりません。カードに記載された豆知識にそっても良いですし、湧き出る想像力で物語を創作して、もっともらしく語り尽くすのも良いでしょう。もちろん、それが即席だとはバレないように。

おわかりいただけたでしょうか。テラーはナシ伝説がバレないように話し、聞き手はそれを見破ることが、このゲームの基本的な遊び方です。

【遊び方】

「都市伝説カード」と「ナシ伝説カード」が混ざったカードの束からランダムに2枚配られたあと、5分間のシンキングタイムを設け、各自がエピソードの準備を行います。「ナシ伝説カード」にはお題にそった豆知識が記されており、プレイヤーはこれをヒントにして、ありもしない都市伝説を創作します。良質な嘘ほど事実を巧みに織り交ぜているため、聞き手は惑わされやすくなります。

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*エピソードは手持ちの2枚から1枚を選んで披露する
*全員が話すのを2回繰り返して終了となる

またナシ伝説を語っていても、それが実際に存在する都市伝説と重なる可能性があります。その疑いがある場合はネット検索で裏取りを行い、実際に特定の界隈で噂になっていたら、ナシ伝説の披露としては失敗になります。この検索体験そのものが「本当のところはどうなのか」と疑う姿勢を育み、陰謀論への耐性を強化すると考えています。

■商品情報

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商品名  :都市伝説ダウト「証拠より論」
価格   :4,950円(税込)
発売日  :2025年11月12日
内容   :都市伝説カード・ナシ伝説カード(60枚)、説明書(1枚)
プレイ時間:約20分
プレイ人数:4〜6名
監修   :ムー編集部
販売サイト:Amazon(https://www.amazon.co.jp/dp/B0FZLNL37Y
*2025年11月23日の「文学フリマ東京41」(東京ビッグサイト南1-4ホール)の「ムー」出展ブース(A-07〜08/南1-2ホール)でも少数、販売します

■陰謀論にハマらない人の特徴「熟慮性」を高めるために開発

陰謀論とは、科学的な根拠や証拠に乏しい主張であり、特定の組織や人物が社会を裏で操っているといった根拠不明の説や信念を指します。新型コロナの流行期には「ワクチンにICチップが入っている」といった噂がSNSで拡散し、社会の分断や混乱を招いたことは記憶に新しい事例です。国内外で陰謀論は今もなお社会問題化しており、情報リテラシー教育の必要性が高まっています。

こうした状況を背景に、昭和女子大学の榊原良太准教授らが共同で行った研究では、陰謀論にハマりにくくするには熟慮性(立ち止まってよく考える力)を高めることが重要だと示唆されました。この研究結果を踏まえ、本商品は「都市伝説」という【不確かだけど魅力的なストーリーを疑いながら聞く体験】を通して、熟慮性が向上するという仮説のもと企画されました。

また、自分自身が“でっちあげの都市伝説”を作り他者を騙す役割を担うことで、自分も同じように騙されているかもしれないという逆説的な気づきも得られます。こうした健全な懐疑心の育成こそが、陰謀論耐性を強化する鍵だと考え、本プロダクトの開発がスタートしました。

■「陰謀論」の研究者と行った効果検証で“逆効果”が測定

2025年6月、榊原准教授らと共同で効果検証を行いました。大学生36名を対象に、ゲーム実施前後で陰謀論に対する態度や信念の変化を測定する調査を実施。単に繰り返し態度や信念に回答してもらう「統制群」と比較することで、ゲーム実施の効果を分析しました。

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その結果は予想を大きく裏切るものでした。なんと本商品によって「陰謀論耐性が高まる」という効果は統計的に確認できませんでした。逆に一部の指標では、ゲーム後に陰謀論を信じやすくなる傾向が弱いながらも見られました。

この現象は“実在する都市伝説にはダウト(嘘)を宣言しない”というゲームの特性上、「都市伝説=本当」と受け取ってしまう構造に起因している可能性が考えられます。本商品のコンセプトと実際の効果測定の結果には矛盾が生じたため、「この商品を遊ぶと陰謀論対策になる」という前提自体が、証拠を欠いた一種の“陰謀論”になっているとも言えます。この結果そのものが「論より証拠」の重要性を体現しているのではないでしょうか。

▼詳細な調査結果はこちら
https://note.com/firm_crocus3834/n/na30b4e7db339

■関係者メッセージ

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都市伝説や陰謀論の危うさが話題となる中、あえてそれをゲームにする発想に驚きと面白さを感じました。実験参加者たちも、慣れないタスクに最初は少し戸惑っていたものの、徐々にゲームにのめりこんでいき、終わるころには立派な都市伝説テラーになっていました。実験結果はまさかの“逆効果”の可能性も…?この“逆効果”が真実になるかならないかは、あなた次第かもしれません。思いっきりゲームを楽しみつつ、疑いの目を持つこと、根拠を確かめることの大切さに、ときどき思いを向けてみてください。
効果検証調査:昭和女子大学人間社会学部心理学科榊原良太准教授

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AIハルシネーションのような、もっともらしい理屈で関連や推測を促すように語ることの体験。これは罪深いゲームです。そして、ここでナシ伝説として語られたことが数年後に都市伝説になることもありえなくもないというややこしさ。ともあれ、こういった仮説や異説を唱える際、語り手の世界観、社会観が反映されます。虚実に入り混じる願望の心地よさと後ろめたさを忘れずに、都市伝説のあやしさに溺れてください。
監修:webムー編集長・望月哲史

■ない株式会社

会社名   :ない株式会社
所在地   :大阪府大阪市淀川区十三本町1-16-19
設立    :2023年7月
資本金   :4,710,000円
代表取締役 :岡シャニカマ
事業内容  :「ない」から考えられたコンテンツ企画・制作
ホームページ: https://71inc.jp/
問い合わせ :info@71inc.jp

■「ムー」とは

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1979年10月に創刊した「ムー」は、「世界の謎と不思議に挑戦する」をテーマに刊行を重ねて昨年で45周年を迎えたスーパーミステリー・マガジン。UFO、未確認動物、古代文明、超科学、スピリチュアルなど「怪しいこと」全般を対象に、独自の目線と仮説を提唱しており、全世界の超常現象ファンから愛され続けています。

・webムー(https://web-mu.jp/
・ムー公式X(@mu_gakken
・ムー公式Instagram(@gekkan_mu
・ムー公式通販  https://shop.web-mu.jp/

株式会社ワン・パブリッシング
所在地:〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目23番1号 3東洋海事ビル
設立:2020年7月
取締役社長:松井謙介
事業内容:雑誌・書籍の出版・販売、Web・映像・イベントなどの企画・制作、その他関連事業

ライター
小学生の頃は「一太郎スマイル」のタイピングゲームでランキングを席巻することでしか己を証明できませんでした。現在は「広く深く」をモットーに好きなこと・できることを拡大中。積みゲーが多い中、ポケモンだけは万劫末代まで入れ込み続けると思います。

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