2017年1月29日(日)、電撃PlayStation編集部によるゲームイベント「電撃PlayStationプレミアムイベント」が都内某所にて開催され、その模様はニコ生で放送された。
このイベントで紹介されたタイトルは『四女神オンライン CYBER DIMENSION NEPTUNE』、『LET IT DIE』、『バイオハザード7 レジデント イービル』の3作品。
ここでは、その中から、『バイオハザード7』のステージの様子を抜粋してお届けする。
『バイオ7』のステージは2部構成で、ステージ1では本作のプロデューサーであるカプコン川田将央氏と、同ディレクター・中西晃史氏、そして本作に出演している声優・樋口あかりさんと山路和弘さんが登壇。まずはDLCの詳細やアフレコ収録の様子など、他ではなかなか聴けないトークをピックアップして紹介しよう。
電撃PlayStationプレミアムイベント2017冬 | ||||
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配信日時 | 2017/1/29 12:00〜 | |||
備考 | タイムシフト視聴終了(2017/2/7現在) |
リアルなキャラづくりのための新手法
ステージでは制作陣の川田氏&中西氏から、ゲームのメイキングに関する濃ゆい話が飛び出した。
パッと見、リアルの人間と見間違えてしまうほどにリアリティのあるキャラクターを作るため、『バイオ7』から使われたのが「3Dフォトスキャン」という手法だ。
アクターにメイクを施し、それを取り込んで動かすことで、リアルな人間をゲーム内に落とし込んでいる。このメイキングに関する話を紹介しておこう。
中西:
「3Dフォトスキャン」というのも『バイオ7』から手を出したってことですね。
川田:
これ、カメラがね、100台近くあったりとかするんですけれども。
西岡:
これはカプコンの社内のやつでしたっけ?
川田:
はい。
西岡:
そうですよね。このスタジオが社内にできてるという。
広橋:
ここにジャックを連れてくるんですか? ジャックをというか、ジャックの素を。
川田:
素を(笑)。
広橋:
元になった方を連れてきて撮影。
川田:
山路さんじゃないですけどね。
広橋:
そうですよね。いま何て言ったらいいんだろうって。でもいらっしゃるんですよね、モデルの方が。
川田:
いますね。
西岡:
まず、そのモデルの方をこの(カメラの)真ん中に置いて撮影をして、そこからキャラクターを作っていくということですよね。
中西:
そうですね。形状もテクスチャもそこで一気に撮っちゃうんですよ。で、もちろんリアルになるだけじゃなくて、いままでの手で作っていくやり方よりも、これ早いんですよね、結果として実は。
広橋:
はぁー、そうなんですか。
中西:
逆にいま、この密度を手で作ろうと思ったら、もっとすごい時間かかってしまうんで……。
広橋:
これって、ジャックの元になった方とジャックってすっごい似てるんですか?
川田:
スクリーンに映されている資料の下のところに、メイキャップをしている姿が見えると思うんですけど。モデルは比較的似ている方、イメージの合う方を今回選ばせてもらったんです。さらにメイキャップを施して、スキャンした後、こちらで手を加えなくてもいい状態にして。
広橋:
そもそも“ナマ”の方もイロイロくっつけたんですね。
中西:
そうです。実は、ジャックの血まみれのやつとかも、血まみれのメイクをしてから撮ったりとかしてるんですよ。
広橋:
この、ルイジアナさん……ルイジアナさんじゃない!
中西:
知らん人出てきましたけど(笑)。
川田:
ルイジアナは地名ですね。この館がある場所です。
中西:
ちょっと順番にいっときますか。上は、建物とか。イロイロ車とか出てきたじゃないですか。あの辺のモノも撮影してるんですよ。実際にスタッフがルイジアナに行って、スキャンしてきた、と。この文面で見るとね、ルイジアナ全体をスキャンしたみたいな感じになってますけど。
川田:
モデルとなったというか、丸々じゃないです。
中西:
丸々同じのはないです。クレストはめたりする家はなかなかないんで。
川田:
(笑)
西岡:
だから、人だけじゃないっていうことですね。スキャンするのは。
川田:
今回、ゲームから入る設計ではなくて、ホントの家の、建築の様式を頭に入れて、計算しながら家の構造の方も作ってましたので、リアルなモノになってるんじゃないかなとは思います。
広橋:
へぇー。
川田:
下のルイジアナさんがメイキャップされてる絵とかも……。
広橋:
すいません(笑)。
中西:
このメイクとかも、すごい時間かけてやってましたよね。
広橋:
かなりこれは特殊メイクに近いものなんですか?
川田:
特殊メイクです。
中西:
実際の映画の特殊メイクとかをやってる人を呼んで、やっていただいたので。
西岡:
特殊メイクをしない人をスキャンするのではなく、特殊メイクを施した人をスキャンする。
川田:
衣装も含めてですね。
広橋:
衣装も!?
中西:
衣装もちゃんとダメージ処理してから撮ってるんですよ。
広橋:
(右手を上げながら)はい! はいって別に手挙げなくてもいいのに(笑)。あの、蝋人形も着てた服は実際に着てたものじゃないですよね?
中西:
あれは似たようなのを再現しています。
川田:
ちなみに、あれも蝋人形じゃないんですけれども。
広橋:
あ、蝋人形じゃない。すいません!
川田:
まあ、すごく精密に作ったマネキン人形なんですが。余談にはなるのですけど、あれもね、ルイジアナさんをモデルにして、ヒゲをイロイロ付けていって、実際に立ってもらって。っていうのを、だいたい5時間ぐらいかかってるんですかね?
中西:
うん。キャラによっては──たぶんジャックなんかは、もうちょっとかかってますね、朝から晩まで。だから子役とか我慢するのシンドそうでしたね。
広橋:
そっか。そうですよね。
中西:
動けないんですよ。
川田:
それでも、今までみたいにポリゴンでイチから起こして、っていうよりは全然早いです。
中西:
ちょっとコレ余談なんですけど、ジャックって、ゲームの中で服を脱いでたりするんです。
広橋:
脱いでました!
中西:
あの体とかも、裸体を撮ってるんですよ。
広橋:
え? パンいちですか。パンもない?
中西:
それはご想像にお任せしますけども。
西岡:
パンないシーン急に出てこないから。パンはあると思う。
中西:
ゲームでは出せないですからね。でも、モデルは用意してる。
広橋:
何を用意してるんですか(笑)。
中西:
パンオフとかは。
広橋:
パンオフも!
中西:
データとしては入ってないですよ、もちろん。
広橋:
そうですか。まだ、ジャックさんとかはまだいいですけどね。けっこう、ドキドキしますよね。何言ってるんだろう。もう流してください。
中西:
ミアとか。女キャラクターですか。
広橋:
そうですそうです。なんか、何とも言えない気持ちになりますよね。
西岡:
撮影は日本だけじゃないですよね。ルイジアナもそうですけど、役者さんの演技をロスでやったり。
中西:
そう。モデルのスキャンは基本的に日本なんですけど、モーションキャプチャーとかは、今回役者さんが全員あちらの人なので、撮影もあちらでやりましたね。
川田:
ボイス収録とかも、英語とかは海外で。
中西:
そうですね。
広橋:
そうなんだ。面白い。
メイキングの話はこれだけには留まらず、VRに全編完全対応にした経緯や、今作でプレイヤーを恐怖に陥れる「ベイカー一家」を作り上げるまでの過程、話題を呼んだ体験版について、プロモーションに関する戦略も語ってくれた。
本編とは違った遊び方ができるDLC「発禁フッテージ」とは?
さらに川田氏&中西氏がDLCについて紹介。「発禁(バンド)フッテージ」と称されるDLCは、本編とは違った遊び方ができるモノとなっているそうだ。そのDLCの1つ、1月31日発売の「ベッドルーム」に関してのトークが盛り上がった。
中西:
ベイカー家のお母さん“マーガレット”というキャラクターがいるんですけども、彼女にフォーカスを当てたパズルのフッテージです。シチュエーションとしては、本編の前の時間軸に、主人公みたいに捕まっていたキャラクターがいるんですね。それが主人公になって、マーガレットに閉じ込められているところからスタートになります。
西岡:
監禁されている感じなんですか?
中西:
そうですね。「ベッドルーム」というだけあって、ベッドに固定されて……。このお母さんが時折、ご飯を持ってきてくれたりするんですけど、そのいない隙を狙って、脱出方法を探していくという、スリリングなゲームです。
川田:
なんか今コメントにもありましたけど、マーガレットとの恋愛攻略ゲームなんですね。
広橋:
そんな(笑)。
中西:
マーガレットは開発チーム内でも、けっこう人気あるキャラクターなんですね。イロんな意味で。本編ではできなかったんですけど、マーガレットと会話することができるんですよ。選択肢付き会話で。
西岡:
まんまじゃないですか(笑)。
広橋:
そんな楽しみもあるんですか。まさかの……。
川田:
まさかの……。
広橋:
でも、そこから逃げようとしてるんですね。
川田:
逃げたいですよね。我々としては。
出演声優による、アフレコ時のウラ話
この「ベッドルーム」の他、ウェーブ制サバイバルや、脱出パズル、死にゲーアクションなど、本編とはまったく違ったDLCの内容についてひとしきり盛り上がったところで、声優のお2人が登場する。樋口さんと山路さんはそれぞれ、『バイオハザード7』でミア役とジャック役を担当している。
「声優よもやまトーク」と題して、アフレコ収録の様子やエピソードについてのトークが繰り広げられた。『バイオハザード7』では、主人公を追い詰めるベイカー家の父を演じている山路さんだが、自身は『バイオハザード』のようなビックリするゲームはあまり得意ではないと語っており、意外な一面を見せてくれた。その様子を一部抜粋して紹介しよう。
広橋:
まず1つ目のトークテーマにまいりましょう。『バイオハザード7』の出演オファーが来たときに抱いた最初の印象は?
川田:
ぜひ、我々が聞きたいぐらいですね。
広橋:
そうですよね。どんな感じだったのでしょうか。樋口さん。
樋口:
私は『バイオハザード』シリーズが大好きで。お話をいただいたときに、信じられなくて。ディレクターさんからお話を振っていただいたんですけど、送られてきたメールに『バイオハザード』って書いてあって、「えっ、『バイオハザード』?」。もう1回見て「えっ、『バイオ』。マジですか!?」ってホントにびっくりして。私、ここでしゃべってますけど、まだ出演したのが嘘じゃないかってぐらい嬉しかったですね。
広橋:
ずっと自分がやってきたゲームですもんね。その世界に入っちゃうなんて。感動ですね。山路さんいかがでしたでしょうか?
山路:
ボクは以前、『バイオハザード』をプレイしたときに、即アウトでお手上げになっちゃって。ボク、ビビりなもんですから、ダメなんですよね、ワッとくるのが。で、このお話をいただいたときに、逆の意味で「マジか?」という感じになりました。リハーサルしようと映像を見ていても、やっぱり「ほら見たことか! こういうの出てきたじゃないか!」と怖くて、とても辛かった気持ちがありました(笑)。
広橋:
なるほどー。ちょっと収録のお話が出てきたところで、次のトークテーマいきましょう。「収録現場はどんな雰囲気でしたか」。山路さんは、ちょっとビビりなところもあって……みたいなお話もありましたけど?
川田:
基本的に、ゲームの収録なので、お1人ずつ個別で収録させてもらっているんですけど。そういったトコロで、皆さんそれぞれ印象が違ってくるんじゃないかなと思ってるんですが……?
広橋:
そうですね。山路さんいかがでしたか?
山路:
1人ずつ収録する前のリハーサルするときにね、これも1人ずつやるわけですが、それがなんか不思議な地下室の、ね。
樋口:
制作会社さんに地下室がありまして、何重にも扉があって。3重ぐらいありましたっけ? で、エレベーターで上に行ったり下に行ったりして。
山路:
豆電球1つで。
樋口:
そう。地下なのか上なのかもわからないぐらいのところで。トイレ行くにも電話で人を呼んで、ちょっと来てもらうような。
山路:
そんな状況に置かれるっていうね。あれはすごい演出ですよね。
川田:
一応、ゲームのために言っておきますけど、「それはカプコンのせいじゃないですから」ね(笑)。
樋口:
そうですよね。
山路:
らしいです。
広橋:
収録現場にたどり着くまでもゲームしてるみたいで。
樋口:
そうですね。
広橋:
お1人ずつ収録ということなんですけれども、やっぱり読んでて怖い台詞とか、ドキドキしたりとか、演じる中でありました?
樋口:
なんか、別の意味でドキドキするというか、アドレナリンが。
広橋:
アドレナリンが!?
樋口:
うん。自分が怖がる方じゃなくて、自分がやる方だから。
広橋:
やる方だから(笑)。
山路:
好きなんだ、そういうの。
樋口:
そういう“怖い”というよりも、なんと言うんでしょうね。テンション上がる感じが。
広橋:
集中してテンション上げて。
樋口:
ええ。
西岡:
樋口さんが演じたミアは、二面性がある役ですよね。
樋口:
まともなときが少なかったなというのが。
中西:
そうですよね。
樋口:
後から見てみれば。
山路:
ということは、最初の一面が短いってこと? 普通のときが。
樋口:
最初のときが、ちょこっとしゃべって……。
中西:
皆さんの印象も、普通じゃないときの方が強いと思うんですよ。
広橋:
収録ってどなたかが先に? ミアさんならジャックさんが先に録ったモノを、ジャックさんならミアさんが先に録ったモノを聴いたりとかできたんですか?
山路:
順番で先に録った人の声が聴こえることはあるんですけど、基本的には「自分の役と向かう」という感じですよね。
樋口:
ミアが一番最初だったかな? と記憶してるんですけど。
西岡:
収録のときって、ゲームの映像は用意されてるんですか?
樋口:
ありました。
山路:
ありましたけれども、やっぱりまだある程度で、そんな細かいモノではないですよね。それでもボクは気持ち悪かったですね(笑)。
中西:
ジャックなんかはね、「インゲーム」と言うんですけど、ゲームの中の戦闘とかの台詞も多かったですもんね。場所が決まってないようなやつですね。
広橋:
汎用性のある。
中西:
はい。すごくイッパイ録ってもらいました。
広橋:
イロんなバージョンで。
山路:
それこそ怖い台詞ばっかですよね。
中西:
怖がらせる方ですもんね。
プレミアム生アフレコ開催!
せっかく声優さんにお越しいただいたということで、「プレミアム生アフレコ」が開催された。山路さんの渋い演技に、ニコ生視聴者も大コーフンだった様子。
ゲーム中の台詞だけでなく、このイベントのために、中西氏が特別に用意したオリジナルシチュエーションの生アフレコもしてくれた。ゲーム本編では、ミアとジャックが絡むシーンはないので、ここでしか聴けない、特別なシチュエーションになっている。その内容がこちら。
ジャック:
「ほら……お前はここで大人しくしてろ!」
ミア:
(せき込む)
ジャック:
「今から、お前の旦那に我が家のとっておきのディナーをご馳走してくるからな。」
ミア:
「やめて。イーサンを巻き込まないで! 彼は関係ないでしょう!」
ジャック:
「はぁ、関係ない? 何を言ってる? あいつも俺やお前と同じ家族になるのさ」
ミア:
「馬鹿言わないで。私はそんな、ウッ、頭が痛い…………フッ、フッフッ。アーッハッハ。あんな男、死んでしまえばいいんだ!」
ジャック:
「はぁ……憐れな女だ。それじゃあな。おい!」
DLCの1つ「ナイトメア」をプレイ!
プロの迫力ある演技によってオリジナルのシナリオを再現した「プレミアム生アフレコ」に、会場も思わず聞き入ってしまったほど。
続けて、ウェーブ制の発禁フッテージ「ナイトメア」を、開発者でもある中西氏が実際にプレイしながら紹介した。
スクラップを集めながら、装備やアイテムを作成し、湧き出る敵を倒して生き延びることが目的となるモードだ。その内容を説明しながらプレイしていく中西氏だったが、色々な要素を見せようとするあまり、上手くプレイできずにハラハラさせる場面がちらほら。
ホラーが苦手そうな広橋さんや山路さんが、怖がりながらその様子を見守っているのも面白かったが、ウェーブ2のボスとして登場したジャックを、山路さんが見るという構図もまた面白い。
ここでは、ジャックがズボンのみを着用した状態で登場するが、一見すると全裸に見えてしまい、あわや放送事故かと思わせるなど、イロんな意味でドキドキの展開だった。
“すべては、リアルな恐怖体験への追求から生まれたモノ”であるということが伝わってくる情報が満載だったこのステージ。まだゲームをプレイしていない人も、すでにプレイした人も楽しめる濃厚な内容であった。
『バイオハザード7』に少なからず興味を持っている人は、一度は見ておいて損はないだろう。