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ついに『スマブラ』に参戦した「キングクルール」25年の歴史を紹介。「5分で名前を考えた」デザイナーが振り返るコンセプトも

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 8月8日に配信された「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL Direct 2018.8.8」にて、はしゃぐデデデ大王をぶっ飛ばして鮮烈に参戦を宣言したキングクルール。久しぶりに見せる強敵の姿にドンキーコングたちと一緒に目玉を飛び出させて驚いたファンも多いのではないだろうか。
 弊誌でもリアルタイムで配信の様子をお届けしたが、キングクルール参戦のツイートはツイートしてまたたく間に回リツイートされるなど大きな注目を集めた。

 キングクルールは名前だけなら『スーパーマリオ オデッセイ』でも登場し、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』からはずっとフィギュアとしてある意味で参戦してきたが、ゲームの中で力強く動く雄姿を披露するのは2008年にリリースされたWii版『スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール』以来、10年ぶりとなる。
 そんなひさびさに復帰しながらも国内外のファンから祝福されたキングクルールとは、いったいどんなキャラクターなのか?

 これまでの彼の出演作と、デザイナーが公開したコンセプト案から振り返ってみたい。

ついに『スマブラ』に参戦した「キングクルール」25年の歴史を紹介。「5分で名前を考えた」デザイナーが振り返るコンセプトも_001
(画像は【スマブラSP】ライバルたち|Nintendo 公式チャンネル – Youtubeより)

文/ 古嶋 誉幸


初登場は『スーパードンキーコング』

 キングクルールが初登場した作品は、1994年にスーパーファミコンで発売された『スーパードンキーコング』だ。最終ボスとして登場する彼は、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下スマブラSP)とほぼ同じ姿をしている。ゲームではバナナ泥棒団クレムリンを率いてバナナを盗み、ドンキーコングの弟分であるディディーコングを樽に閉じ込めてジャングルに捨てるといった悪行を行った。

 『スマブラSP』のトレイラーでは、『スーパードンキーコング』でも見せた自分の王冠をブーメランのように投げつける攻撃を見ることができる。

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(画像は【スマブラSP】ライバルたち|Nintendo 公式チャンネル – Youtubeより)

 また、キングクルールはある程度攻撃を受けると、死んだふりをしてエンディングと見せかけたウソのスタッフロールを流すメタ的な攻撃まで行ってくるが、トレイラーの最後では同様のユニークなアクションを見ることができる 

続編では海賊として登場  

 1995年に発売された『スーパードンキーコング2』では、キャプテンクルールとして海賊団を率いてドンキーコングを誘拐。身代金としてバナナを要求したことでディディーコングとディクシーコングと敵対することになる。
 『スーパードンキーコング』に引き続き最終ボスとして登場し、戦いが始まる前には宿敵であるドンキーコングにラッパ型の銃で殴ったり撃ったりとした暴行を加えていた。

 『スマブラSP』のトレイラーでは、この時に使用していた銃を使って大玉を打ち出すだけでなく敵を吸い込んで射出するなど、『スーパードンキーコング2』で見せた多彩な攻撃を繰り出している。コスチュームもキャプテンクルールの帽子をかぶった懐かしい姿だ。

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(画像は【スマブラSP】ライバルたち|Nintendo 公式チャンネル – Youtubeより)

 なお『スーパードンキーコング2』では、その後クルールの特殊能力のひとつとして登場する透明化が初披露される。
 『スマブラ』シリーズでも透明化は存在しているので、もしかすれば『スマブラSP』でも同様の能力やアピールを見せてくれるかもしれない。

3度目は姿を隠して暗躍。今度の目標は世界征服

 1996年にスーパーファミコンで発売された『スーパードンキーコング』シリーズ最終作である『スーパードンキーコング3』では、クルールは姿を隠して暗躍している。自ら製作したカオスというロボットを自身の代理として利用した。
 今度はドンキーコングだけでなくディディーコングも誘拐し、さらにバナナクイーンと呼ばれる巨鳥とその子供であるバナナバードたちを封印するなど、前作まで以上に暗躍していることがわかる。カオスが破壊されるとやはり最終ボスとして登場し、今度は白衣を着た姿でバロンクルールを名乗る。

 『スマブラSP』のトレイラーではバロンクルールが背負っていた個人用のヘリコプターで空を飛ぶ姿を見せているが、残念ながら『スーパードンキーコング3』のような白衣は着ていないようだ。

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(画像は【スマブラSP】ライバルたち|Nintendo 公式チャンネル – Youtubeより)

コミカルなだけではない。4度目の登場は復讐の鬼として残忍な面も見せる

 番外編や移植版を除き、キングクルールが『ドンキーコング』シリーズの最終ボスとして登場するのは、1999年にNINTENDO64で発売された『ドンキーコング64』が最後となる。
 これまで煮え湯を飲まされ続けたコングファミリーに復讐するべく、船に搭載された新兵器「ブラストマティック」で彼らの住むDKアイランドを破壊することをもくろむ。しかし操作ミスにより新兵器は故障。修理の時間を稼ぐためにコングファミリーを捕らえ、さらにはゴールデンバナナを盗み出すことにも成功する。

 キングクルール自身はやはり最終ボスとして、今度は5匹のコングたちとボクシングリングで1対1の戦いに挑む。トレイラーで見られたボクシングスタイルの戦闘は同作から来ているのだろう。

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(画像は【スマブラSP】ライバルたち|Nintendo 公式チャンネル – Youtubeより)

 『スマブラSP』のトレイラーでは『ドンキーコング64』で見せたヘビー級のパンチを披露しているほか、最後の切り札として「ブラストマティック」が発射したビームがDKアイランドを貫く姿を見ることができる。

 こちらは『ドンキーコング64』のゲームオーバー時に再生される「ブラストマティック」発射直前までを描いたムービーの続きのような形になっている。1999年に復讐を誓ってから、ほぼ20年ぶりに悲願を達成する迫力の姿といったところだろうか。

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(画像は【スマブラSP】ライバルたち|Nintendo 公式チャンネル – Youtubeより)

4度の敗北を経て長い雌伏の時代へ

 その後しばらくキングクルールは2007年の『ドンキーコング たるジェットレース』や同年の『ドンキーコング ジャングルクライマー』といった番外編に出演したり、冒頭でも触れた『スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール』でドンキーコングやほかの作品のキャラクターたちと野球をしたりしていた。
 しかし、11年ぶりの正当続編として2010年に発売された『ドンキーコング リターンズ』からは、敵の変更にともないついにクレムリン軍団もろとも出演しなくなってしまう。
 『ドンキーコング』シリーズはそのあとも続いているが、2010年代に入ってからは表舞台からほとんど姿を消してしまっていた。

 その後は『スマブラ』シリーズでは2001年に発売された『大乱闘スマッシュブラザーズDX』からフィギュアとして出演し続け、2014年の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』ではMiiファイターのコスプレ衣装として見た目だけ登場。
 よくてカメオ出演程度という、彼の国内外での人気に比べると少々かわいそうな扱いを受けている。それだけに『スマブラSP』での満を持しての帰還には、SNSやYouTubeなどの動画サイトにて大きな賑わいを見せたわけだ。

 また、約25年前に『ドンキーコング』シリーズのデザイナーとしてドンキーコングやキングクルールのデザインを行ったGregg Mayles‏氏自身のTwitterアカウントで、今や『ドンキーコング』シリーズを飛び出して活躍するキングクルールの名前を「こんなことになるなら5分ちょっとで決めてしまうべきではなかった」と少し自虐的にキングクルールの『スマブラSP』参戦を祝福している。

 Gregg Mayles‏氏はそのあともキングクルールのデザインについての昔話をツイートしている。

 たとえば、キングクルール(King K. Rool)は初期案ではコマンダークルール(KOMMANDER K.ROOL)と呼ばれていたり、今よりも精悍な顔つきに見えるキングクルールの初期デザイン案が紹介されている。初期デザイン案でキングクルールはクラッド(KRUDD)と名づけられていたようだ。

 また、『ドンキーコング』でのキングクルールの攻撃パターンの設定画も紹介されている。

 ステージに登場した後王冠を投げ、ある程度ダメージを受けると押し潰し攻撃をするという懐かしのパターンが確認できる。

 キングクルールはドンキーコングたちの敵対者として何度も立ちはだかり、ボスとしての役目が終わると番外編でモグラたたきのモグラとして使われたこともあった。
 徐々に影が薄くなっていった彼は『ドンキーコング』シリーズ正当続編ではついにゲームから姿を消すことになった。しかし、ファンの人気と比べて扱いがあまりにも小さかった時代がようやく終わりを告げようとしている。

 待望のキングクルールを含む71名が参戦し、900曲28時間分のサウンドトラックも収録したシリーズ史上最大規模の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』はNintendo Switchで2018年12月7日発売予定だ。

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