ゲーム収納のために家を建てた男──超大量のゲームやマンガを絶対に捨てないという信念を貫いた、とあるゲーマーの努力と幸運

 新しい年がスタートしてしばらく経ちましたが、皆さんいかがお過ごしですか? 増え続けるゲームを賢く収納してよりよいゲームライフを送るため、ある種の極まった人のお宅の様子や整頓術を披露していただく短期連載、その第2回をお届けします。

 今回ご紹介するのは、その昔にあったオンラインゲーム誌に、“ファイナルファンタジーXI』を10アカウント同時プレイで楽しむ強者コレクター”として登場したKaguraさんです。え? 10アカウント同時!?

 Kaguraさんは、全国展開するビデオやゲームのレンタル・販売ショップの店長を務める39歳。幼少時代に『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』にハマり、以降の関連タイトルは漏らさずチェックしている筋金入りの『DQ』&『FF』ファン。ゲームに加え、アニメやマンガ、フィギュアなどのコレクションが趣味で、日々とにかく増え続ける荷物をいかに捨てずに保管するかを考えた末に、33歳で収納に特化したマイホームを建てたという、誰もが軽く抱く夢を、しっかりと現実にした人なのです。

 過去の取材では独身だったKaguraさんですが、3年前にめでたくご結婚されたということ。……プライベートの時間をすべてオンラインゲームにつぎ込むような彼なのに、結婚してもそんな極まった趣味は維持できるものなのか? 今回は、モノの整頓術だけでなく、そのあたりのこともテーマになりました。

取材・文/奥村キスコ

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10個のコントローラーを数秒ごとに持ち替えながら、マクロと映像セレクターを駆使して『FFXI』を10アカウント同時操作していたころ(2012年)の写真。まだ多くのテレビがブラウン管でした。今回の記事はプレイの様子もさることながら、コレクションの収納や整頓がテーマ。この部屋はいま、どうなっているの?

『FFXI』、『FFXIV』、『DQX』+αを同時プレイする日常

──収納のお話を伺う前提として、まずゲームプレイの状況をお尋ねします。以前の雑誌の取材では、複数アカウントを駆使して『FFXI』をプレイする時間がKaguraさんの生活を大きく占めていましたが、2016年に大きな変化がありましたね。

Kagura氏:
 『FFXI』のプレイステーション2でのサービスが終了しましたからね。当時は「これからどうしたらいいのか?」と絶望しました。でも、いまとなっては『FFXI』が終了している感じがまったくないんですよ。2015年に“メジャーバージョンアップを終了する”と発表されたところで、多くの人がゲームから離れていきましたが、新体制で動き出した後は人が減らないと言いますか。ここまで続けてきた人たちですから、いまも変わらず遊び続けているんですよね。月イチくらいでバージョンアップもされますし、僕も仲間も変わらずプレイし続けています。

──どんな頻度でどうプレイしているんですか?

Kagura氏:
 仲間と週イチくらいで集まって、難度の高いコンテンツに挑戦したりします。それ以外は個人プレイで、ときどき仲間とチャットするような感じですね。全盛期は10アカウント取得して、10キャラを10台のプレイステーション2で同時に操作していたんですが、さすがにPCを10台買い揃えるのがキツくて。それでもこの1年でポツポツと買って、7台までは……。あと、PCからではブラウン管のテレビに出力しづらいので、同じように液晶モニターも買い揃えました。

──ええええ……。

Kagura氏:
 だから、現在は7キャラ同時の操作まではやっています(笑)。まあいまは、『DQX』と『FFXIV』もプレイしていますしね。

──まさか、そのふたつも複数のアカウントで?

Kagura氏:
 『DQX』は3アカウント、『FFXIV』は2アカウントあります。

──けっきょく増えていませんか?(笑) 

Kagura氏:
 12アカウントになっちゃっています。アカウント保護用のセキュリティートークンも4個ありますよ(笑)。

──(笑)。『FFXI』と『DQX』はまだしも、『FFXIV』で2キャラ同時操作は無理だと思うのですが。

Kagura氏:
 できません。とはいえ、メインキャラを白魔道士にして、サブキャラをナイトとして育てています。

──できないのに、なぜ2アカウントも取得したんですか?

Kagura氏:
 やっぱりオンラインゲームは、複数のアカウントがあると有利なので(笑)。『FFXI』も最初から2アカウントありましたよ。βテストに参加したときに、「これはもう1キャラいたほうが有利だ」と思ったんです。

──プレイしているうちに、だんだん数が増えていったんですね……。

Kagura氏:
 『FFXI』に関しては、拡張コンテンツが発売されたり、大きなバージョンアップがあったときに1アカウントずつ増やしていっていますね。『FFXI』はパーティを6人で組むゲームなので、6アカウントあればいいんですが、ジュノでの情報収集要員が必要なので、いまは7アカウントになっています。……僕はいちおう社会人なので、ゲームにもっと時間をかけられる人には敵わないと思って。キャラクターを増やしてカバーするしかないんです。

──理屈はわかりますが、ふつうはやりませんよ(笑)。仲間はKaguraさんが複数アカウントでプレイしていることは知っているんですか?

Kagura氏:
 もちろん。たまにチャットの続きを違うキャラから発して笑われたりしています(笑)。複数アカウントでのプレイは時間短縮にもつながるので、いいと思うんですけどね。ふつうにアニメのDVDを観ながら、『FFXI』と『DQX』と『FFXIV』のデイリークエストをこなしています。

──どっかで聞いたような話だなあ(遠い目)。

『DQX』で強ボスと戦い、『FFXI』では6人パーティでレベル上げ。『FFXIV』の蛮族デイリークエストを進めつつ、『FFXV』でサブクエを受けてチョコボを走らせる……の図。それにしてもこの部屋、ヤバい。

Kagura氏:
 『FFXI』と『FFXIV』は、マクロを使いこなせばどうとでもなるんです。でも、それぞれのゲームで同時にバトルをするということは、あまりやらないですね。バトル以外のことでできることを同時進行させます。『DQX』は、酒場で借りた優秀なサポート仲間が勝手に敵を倒してくれるので、同時進行で別のことがしやすいですけどね。

──よく操作がごちゃごちゃになりませんね?

Kagura氏:
 たまになりますよ。それぞれのゲームで何をしていたかを忘れるとアウトです(笑)。でも、それよりも、コントローラーを持ち間違えたときに慌てますね。机の上のコントローラーの置き場所を決めてあり、色と配置で瞬間的に手に取れるようにしているんですが、それを間違えると大慌てです。

キーボードをブラインドタッチするが如く、コントローラーをほぼブラインドで持ち替えて各画面の状況に対応する。コントローラーの色が似ていることが、プレイをややこしくする原因のひとつなのだそう。
モニター、キーボードとマウス、サウンドの切り替えなどは、壁面に格納したセレクター群で集中管理。操作キャラの人数分のモニターとコントローラーは必須ですが、キーボードとマウスはワイヤレスのものを使用し、1組ですべてに対応できるようになっています。

──このぶんだと、職場でも効率重視でマルチに働く、デキる男なんでしょうね……。

Kagura氏:
 僕は1秒でも早く家へ帰ってゲームをやりたい一心で、フルスピードで仕事を片付けます。もちろん残業もありますが、できる限り発生しないように就業時間中に最大限の努力をしています。結果として時間内の働きは濃密なので、端から見たら、とても仕事熱心だと思われているかもしれませんね。……こんなことを言うと、職場の人に怒られそうですが。

──図らずも最高の結果じゃないですか(笑)。

Kagura氏:
 そうですね。評価いただいているのか、結果的にエリアでいちばん大きな店舗などを任されています(笑)。

──ふだん職場の皆さんに見せている姿が、職場での評価を決めるものですからね……。それほど一所懸命に打ち込んでいるゲームは、それぞれどのくらいの進度ですか?

Kagura氏:
 『FFXIV』は白魔道士だけアイテムレベルを極めている程度です。『DQX』は全員レベルも特訓もカンストしています。あとはいちおう、レンダーシアに家を持っています(※1軒1億ゴールドの地域)。『FFXI』は……言うまでもありませんよね(笑)。

──なんというブルジョワジー。どれもオンラインゲームなので、生活の中で占める割合がそれぞれ高いと思うのですが……。オンラインゲーム以外にもゲームをするんですよね?

Kagura氏:
 「していました」と、過去形になるのかな……。僕の生活スケジュールは、オンラインゲームのバージョンアップ合わせで決まりますから。バージョンアップの時期を避けてオフラインのゲームを遊ぶようにしないと、プレイの途中で続かなくなってしまうんです。極力そういうムダがないように計画を立てています。

──オンラインゲーム、オフラインゲームのプレイ計画を立ててプレイしていると。すると、買ったままの、いわゆる積みゲーは基本的にないんですね。

Kagura氏:
 いや、積んでしまいます。だから最近は、厳選してゲームを買うようになりました。

“オンラインゲームをしながら、いかにそのほかのことを快適に管理するか”を叶える家

 Kaguraさんのお宅は築6年の注文住宅。昔から“家は3軒建てると理想の家になる”と言われることもあり、親族が建てた家を参考にしたり、設計士さんと密に話したりしながら、Kaguraさんの要望をすべて呑んでくれる建築業者を探したそうです。ここでは、地上2.5階建てで、ガレージや花壇を備えた三角屋根の立派なお宅を、隅から隅までご案内いただきました。

スッキリとした玄関。家のあちこちにスピーカーが仕込まれていて、どこにいてもお気に入りの音楽を聴くことができるのだとか。
いたるところにディスプレイされたゲームグッズを見つけては、いちいち話し込んでしまうので、サッと部屋にたどり着けません(笑)。

Kagura氏:
 いつもオンラインゲームをプレイしているのが、1階にあるこの書斎です。ゲーム用とは別に仕事用のPCもあって、隣りがダイニングキッチン。(写真には写っていませんが)シングルベッドも置いあるので、独身時代はこの2部屋だけで生活していたようなものですね。

絶えずオンラインゲームが起動し続ける書斎。作り付けの頑丈な棚は、ハードが増えることを想定して可動式に。なお、液晶モニターが並ぶメタルラックは特注品。

──あたらめて拝見すると、以前の記事のタイミングより洗練されていると言いますか。やっぱり圧倒されます。

Kagura氏:
 設計した当初のコンセプトは、プロジェクターや7.1chのサラウンドスピーカーを置く部屋だったので、それに備えた仕掛けや、騒音対策がなされています。部屋の隅が三角コーナーになっているのは、ブラウン管のテレビを置くことを想定していたからです。

──側面には歴代のハードがぎっしりと並んでいますね。

Kagura氏:
 本当は、どのハードもすぐに遊べるようにモニターにつなげておきたいんですけどね。でも、実際には、古いハードではそう遊ぶものでもありませんから。棚に収めてはいますが、いつでもスタンバイ状態です。

新しいハードが出ると、基本的に3台購入するのだそうです。また、『FF』については限定版ハードも集めていたそうですが、プレイステーション3全盛期のころから控えるようになったのだとか。

Kagura氏:
 書斎の脇には小部屋があって、周辺機器やケーブル類を収納しています。プレイステーション2群を整理したときには、S端子ケーブルだけで何百本あったことか(笑)。

ラベルを貼られ、カテゴリー分けされた引き出し群。やっぱりラベリングはゲーム整頓術の基本なんですね。

──(笑)。でも、やっぱりきちんとしていますね!

Kagura氏:
 いやー。この家も年月が重なるにつれて、モノが想定量を超過してきました。ここまで詰め込むつもりはなかったんですが、スペースがあるとつい(笑)。それから、書斎のゲームの配線はというと……。

──あれ、家の外へ出るんですか?

ガラガラとシャッターを開けると……。

Kagura氏:
 この部屋の窓は灯り取りではなく、モニターやゲーム機の配線を外からいじるためにつけたものなんです。

──斬新すぎる! そしてすごい量のケーブル!! じゃあこの足もとのステップは……。

Kagura氏:
 高いところの配線をいじるためのものです。配線がぐちゃぐちゃともつれていますが、これでもずいぶんスッキリしたんですよ。

──音声と映像が別系統ではなく、HDMIケーブルが主流になったからですね。それにしても屋外からメンテするとは、目からウロコが落ちました。

Kagura氏:
 実家で暮らしていたときは僕の部屋が2階にあって、屋根に上って外からいじらなくちゃいけなかったので。そのときのアイデアが活かされています。

──命がけだったんですね……。この書斎、電源はどうなっているんですか?

Kagura氏:
 まず、書斎だけでブレーカーを独立させて、キッチンなどのブレーカーが落ちても影響が出ないようにしています。そのうえで書斎のブレーカーを4つに分け、ひとつが落ちても、ほかのPCには影響が行かないようにしました。

件のブレーカー。当然のごとく、ひと部屋あたりのコンセントの口数もかなり豊富です。

Kagura氏:
 実家暮らしのときに、家族がエアコンや電子レンジを使ったためにブレーカーが落ち、僕のプレイが中断されるのがどんなにイヤだったことか!

──わかります、わかりますっ。

Kagura氏:
 もちろん、電気のアンペア数も上げていますしね。

── 一般家庭の平均は30~40アンペア程度ですが、いくつなんですか?

Kagura氏:
 120アンペアです。ありえないでしょ?(笑)

──うわー、それは基本料金も高そうです!

Kagura氏:
 そうなんです。でも、そこでケチってプレイが中断されるよりずっといい。

──保険みたいなものですね。

Kagura氏:
 火事の心配を少なくするために、オール電化にもしましたから。それに、高い家財保険にも入っています。

──ホントにどこまでも万全ですね。答えづらい質問かもしれませんが、ひと月の電気代っておいくらなんでしょう?

Kagura氏:
 結婚してから少し増えて、だいたい20000円を超える感じでしょうか。これだけ機械がひしめいているせいで、冬はほとんど暖房が要らないんですが、夏場は24000円くらいになります。でも、エアコンを使っても使わなくても料金はそれほど変わらないから、間違いなく大半は……。

──“ゲームの電気代”ですね。

Kagura氏:
 そういうことです(笑)。

Kagura家クエスト ~そして趣味の領域へ~

職業の経験を活かして、ショップの陳列方法を踏襲。作品シリーズや作家買いしたものはまとめて収納し、ほかは出版社ごとなどで区分。こういうインデックスを自宅で使っている人は、なかなかいないのでは?

Kagura氏:
 最新刊や未読の本は、先ほどの書斎の本棚に入れていますが、ある程度の時間が経つと、この書庫に移動させます。ここはあらかじめ書庫として設計してもらったので、棚のサイズにいっさいムダがないんですよ。

──それにしても……集めましたね。最初に集め始めたものって、何だったんでしょう?

Kagura氏:
 やっぱりゲームが入り口でした。10歳くらいのときに買ったCDが、『DQ』のオーケストラのサントラでしたので。それからゲーム関連の本も買うようになって、もちろんマンガも……。いまも本は月に2~30000円分は買っています。 

──本の重さで床が抜けたりしませんか(笑)。

Kagura氏:
 実家暮らしのときは階下に両親の寝室があったので、確かに床が抜けたらどうしようかと不安でした。だから、この家では床を補強して、どれだけ本を詰め込んでもいいようにしてもらっているんです。あとはゲームやCD、DVDなどもここに収納していますよ。ファミコンやスーパーファミコンなどカートリッジのゲームは、パッケージだけここに保管して、中身は別の部屋の引き出しにまとめています。

奥さんは電子書籍派だそうですが、Kaguraさんはゲームも書籍もパッケージ派。つねに集め続け、決して売ったり、箱などを含めて捨てたりしない主義。

──こんなにたくさんあると、何を持っているか把握しきれないんじゃないですか?

Kagura氏:
 ほぼ覚えています。ただ、片付けた場所を探すことはありますね。友だちに貸したまま返ってきていないものもありますし。

──やっぱりありますか……。

Kagura氏:
 一時期は管理リストを作っていたこともあったんですけど、手書きでしたし、追い付かなくて最終的にやめました(笑)。僕は家に人を呼ぶのが好きなので、中学、高校、大学時代の友だちなんかはいまでもしょっちゅう遊びに来ます。とくに大学時代の友だちとは、年に3回は麻雀大会をしたりしますよ。

──こんなお宅なら、友だちもいっそう楽しいでしょうね。

Kagura氏:
 7~8人くらいのメンツなので、麻雀に参加していない人は、ダイニングキッチンに置いてあるWiiで遊んでいたりします。そのうちの誰かは書庫から出てこないとか、そんな感じですね。友だちが集まるタイミングで奥さんが家を片付けてくれるので、つねにキレイに保てると言いますか。もちろん、僕も片付けますけど。

──誰か遊びに来るとなると、慌てて片付けますもんね(笑)。

Kagura氏:
 周辺機器を収納する小部屋もそうですが、この書庫もこんなに早く満杯になりそうなのは想定外でした。そのうち、雑誌類を2.5階の屋根裏部屋に移そうかなと考えています。

Kagura氏:
 ここはご覧のとおりのフィギュア部屋です。当初の構想になかった部屋だったので、「空いているならフィギュアでも飾ろうか」という。子どものころ、プラモ部屋を作りたかったのが叶いました。

──なんともうらやましい(笑)。フィギュアもいろいろなプライズも、こんなふうにいい居場所があって幸せそうです。

Kagura氏:
 (笑)。

──もろもろケースに入れられていませんが、ホコリ対策はしていますか?

Kagura氏:
 ここはそんなに出入りする部屋でもありませんから、ホコリで悩むことはないですね。実家暮らしのときは、部屋にフィギュアも布団もあったので、ホコリまみれになりましたけど。

──奥のキャビネットにもフィギュアが入っているんですか?

Kagura氏:
 あ、ここにゲームソフトを収納しています。

「カセットテープの引き出しなら、ファミコンのカセットがピッタリ収まるんですよ」。開けられた引き出しには、タイトルをラベリングされたソフトがみっちり。ここでもゲーム整頓術の基本を見ました。

Kagura氏:
 最後がいわゆる屋根裏部屋ですが……。ここがわりとカオスになりがちで。

──わあ、秘密基地っぽい!

30畳ほどの広さがありますが、大人は腰をかがめないと入れません。モノの最終的な置き場所になるため、もちろんここも床を補強済。

Kagura氏:
 以前はここに使わなくなったブラウン管のテレビを10台ほど無造作に置いていました。さすがに電気屋さんに持って行って、処分してもらいましたけど。

──やっとふつうの家のモノ置きっぽいところを見た気がします。とはいえ、ここも整頓されていますけど(笑)。

Kagura氏:
 なぜこの家が2.5階で、天井の低い屋根裏部屋を作っているかというと、3階建てだと建設費用がかかるし、支払う税金も高くなるからなんです。

──注文住宅だからこそ、そういうオーダーができたんですね。

Kagura氏:
 ここも荷物で満杯になったときのことを考えて、天井の梁にも荷物が置けるように、そこへの扉をつけてあるんですよ。

──梁にまで置くつもりですか!

Kagura氏:
 じつはこれも実家暮らしのときの経験で、梁と梁のあいだにスノコを渡して本を置いていましたから。本当に最終的な手段ですね(笑)。

──Kaguraさんは間違いなく整頓好きですよね? それとも、必要に迫られて整頓しているんですか?

Kagura氏:
 どちらかというと前者ですね。片付いていないと、ゲームをしていても落ち着きませんので。

──視界に入る雑然としたモノを正して、存分にゲームに打ち込む、と。いったいどんな子どもだったんでしょう?

Kagura氏:
 身の回りのモノが多すぎて、まったく整頓できない子どもでした。モノは多いけど、捨てたくはない。でも、場所はあるから整頓しようと。それでカラーボックスを買ってきて、キレイに収納して。そうすると、人に褒められたリ、驚かれたりするんですよね(笑)。それが気持ちよくて、だんだん人に見せられる収納をするようになりました。

──いい流れですね。あっ、この引き出し、キン消しでいっぱいだ! 本当にモノを捨てないんですね……。

Kagura氏:
 趣味のモノは絶対に捨てません。だから、僕と奥さんで、捨てる捨てないの戦争は日常的に勃発していますよ(笑)。

──そういえば、ここまで奥さんの荷物を見なかったんですが……。

Kagura氏:
 彼女の部屋は別にありますし、最低限のモノしか持たないミニマリストなので。

ゲーム本位のはずが、けっきょく仕事や結婚生活もいい結果に……

──ご結婚されてどのくらいですか?

Kagura氏:
 3年になります。

──オンラインゲームで知り合ったとかですか?

Kagura氏:
 職場結婚です。僕の部下でした。といっても、店長どうしでしたが。

──奥さんはかなりゲームやコレクションに寛容ですね。

Kagura氏:
 「自分の生活を何ひとつ変えずに結婚したな」と、よく言われます(笑)。

──最大の謎なんですよねー。結婚って、いわば他人との共同生活ですから、大変革を迫られたりはしませんでしたか?

Kagura氏:
 奥さんもオタク趣味な人なので(笑)。でも、かまってちゃんなので、そこはしっかりかまいます。かまいながらでもテレビを見たり、ゲームができるような環境作りをしていますしね。

──いったいどんな生活リズムなんでしょう?

Kagura氏:
 仕事のある日は、平均4~5時間ゲームをしますが、食事や入浴、奥さんと過ごす時間によって左右されます。だから、家に帰って奥さんが先に寝ていると、「しめしめ」となります(笑)。自分の睡眠は、しっかり7時間です。『FFXI』の仲間と集まる日曜の夜は、「絶対にジャマしないでね」と奥さんに口を酸っぱくして言っています。休みの日は、前もって計画を立てて奥さんと出掛けたりしたりします。ここでちゃんとケアしておけば、平日にあれこれ言われずに済みますから(笑)。

──奥さんに対してずいぶん強めですけど、記事にして大丈夫かな……。

Kagura氏:
 大丈夫です。よく理解してくれているので、読まれても平気です(笑)。ちなみに、奥さんはクルマを運転するのが好きなので、僕はその移動時間もゲームに充てたりします。

──筋金入りですね(笑)。

Kagura氏:
 “オンラインゲームをしながら、いかにそのほかのことを快適に管理するか”が僕の主軸なので。仕事は趣味を円滑にするためのもので、生きがいはオンラインゲームです。そこをおろそかにしてまで、仕事で出世するつもりはありません。

──でも、結果的に仕事もきっちりやって、評価されていますよね? 

Kagura氏:
 会社からは「店長より上の職を目指しなさい」と言われますが、それには転勤が必須なんです。この家でない家に住みながら仕事をするなんて、僕にとっては考えられないことなので、そういう話が現実味を帯びてきたら、給料がガクッと下がってもいいから転勤のないポジションに回してもらうつもりです。

──それは奥さんも心得ていることですか?

Kagura氏:
 もちろんです。

──それだけいまの生活が理想的なんですね……。

Kagura氏:
 僕は大学時代にアニメショップでバイトをしていました。それがすごく楽しかったので、経営者になりたいと思ったんです。だから、卒業後に2年間専門学校へ通って経営の勉強をしました。店を建てたり、起業するにはお金がいるから、いまの会社に入ってからもお金を貯め続けました。「早いうちに脱サラして起業できたらいいな」と思っていたんですが、入社とほぼ同時に『FFXI』と出会って……。

──どハマリしてしまった!

Kagura氏:
 (笑)。それからは、「このままサラリーマンを続けながら『FFXI』をやっていたい」と思うようになって。バイト時代も合わせて15年ほどして、貯金が貯まりに貯まったころ、「そうだ、家を建てよう!」と思いついて、いまに至ります。

──店長さんですし、たくさんお給料ももらっていそう……。

Kagura氏:
 年齢相応だと思いますよ。それよりも、切り詰めるところはぐっと切り詰めて、出費を抑えた結果でしょうか。

──具体的にはどんな努力ですか?

Kagura氏:
 まず、僕はコンビニや自動販売機を利用しません。せいぜい少年ジャンプを買うくらいです(笑)。だって、同じジュース1本でも、スーパーのほうが安く買えますよね? 水筒にお茶を入れて仕事に行きますし、夕飯の残りを詰めた弁当も持っていきますから。

──なるほど……。

Kagura氏:
 キッチンには冷蔵庫がふたつあるんですが、これは食材が安いときにたくさん買い込んでおくためなんですね。本はたくさん買いますが、僕はオンラインゲームができれば幸せなので、あまりひとりで出かけたりもしません。

──オンラインゲームと本以外にはお金を使わないんですね。

Kagura氏:
 お酒やタバコものまないし、ギャンブルもしません。食べることは好きなので、たまに外食することもありますが、いちばん大事にしている趣味以外の出費ですから、できる限り抑えます。これはこの家を建てて、ローンを支払うようになったときから心がけていることです。

──すごいなあ。自分の人生で大事なことを見つけて、そのための努力をして。さらに、二重三重の備えをして……。それでも収納があふれたらどうするんでしょう?

Kagura氏:
 結論から言うと、なんとか置きます(笑)。廊下やトイレ、あらゆる壁と空間に収納棚を作って。ドアの上がデッドスペースだと気づいたので、将来的にはそこに棚をつけます。

──ご家族の理解があって、それが許される環境ですからね。賃貸住宅だとできません(笑)。

Kagura氏:
 賃貸住宅で家賃を払い続けていくのだったら、僕はローンを組んででも持ち家を手に入れたほうがいいと思っています。もちろん、最終的に住む場所が決まればの話ですけれども。

書斎の引き戸の上には、プロジェクターを置く目的で作られた棚があります。これが収納を拡張するヒントになったとのこと。

──では最後に、いまいちばん楽しいことと、いちばん恐れていることを教えてください。

Kagura氏:
 いちばん恐れているのは、子どもができたときのことかな。それでもいまの生活は続けていけるのかな? って。いちばん楽しいことは、もちろん仲間とオンラインゲームをプレイしているときですね。……こんな話を締めくくりにすると、いったい何のために結婚したのか不思議に思われますよね(笑)。僕は結婚しなくても楽しく生きていける性分だと思うんですが、たまたますごく趣味が合って、理解のある奥さんを見つけることができたので……。

──どうしたらそんなステキな奥さんが見つけられるのでしょう?

Kagura氏:
 僕に限っての話ですが、“そういう人しか捜していなかった”んですね。それでも結婚したら、趣味の時間が減るんじゃないかとか、大事に集めてきたモノを黙って捨てられたりしないかと恐れていたんです。でも、いざ結婚したらぜんぜん大丈夫でした。僕がロトの剣を買ってこようものなら、奥さんもいっしょになって「さあ、どこへ飾ろうか」ってノッてくれますから(笑)。

──ご縁があったんですねぇ。

Kagura氏:
 まあ、趣味のモノ以外はガンガン捨てられますけど(笑)。職場の人たちは、正直僕が結婚できると思ってなかったみたいです。だからみんな大騒ぎでしたよ。「結婚する気あったんだ!?」って(笑)。

Kaguraさん&コレクションの行く末が気になるので、また数年経ったら遊びに行かせてくださいね。

 自分の生きがいを最優先させる環境づくりも、時間やお金を捻出する努力も、マクロを駆使して複数キャラを同時に操作するプレイスタイルも、そこに至る工夫を楽しんでいるからこそ成せるもの。「面倒なことがキライなので、いかに楽するかだけ」と笑うKaguraさんは、言っていることとやっていることが矛盾しているなあと思ったりもしましたが、信念を貫くために必要なことだから、面倒でも苦労でもないのだと腑に落ちた取材でした。

 Kaguraさんのゲームライフは、努力があって、そのうえで数々のラッキーを引き寄せた、稀有な例だと思います。ただ言えるのは、“先を見通して動ける人は強い”ということ。なんだかもう、いろいろ明確なのです。私も自分の信念を持ち、先を見据えて突き進もうと思いました。年の初めですしね。

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