科学の力はクトゥルフの異形に打ち勝つことができるのか?ニコラ・テスラとラヴクラフトが壮絶に戦うシューティングゲーム【レビュー:Tesla vs Lovecraft】

 超電磁パワーの父にして狂気のマッドサイエンティスト「ニコラ・テスラ」が、深淵より来たる異形の者どもを呼び出す狂気の小説家「ラヴクラフト」と対立し、クトゥルフの這いよる混沌たちをMADな科学の超電磁砲で一掃していく、全方向スクロールで2スティック制のシューティングゲームのiOS版が公開されています。
 『Tesla vs Lovecraft』です。

 「科学 vs オカルト」だけど「異常 vs 異形」。
 深き者どもを大量に、本当に無数に呼びまくるラヴクラフトは当然ヤバいとして、ニコラ・テスラも量子テレポートでフィールドを飛びまくり、電磁兵器や破壊レーザー、果ては放射能や戦闘ロボまで持ち出す危険人物。
 そのぶっ飛んだ設定で国内外で話題の作品です。

 ゲーム自体は大量に襲いかかってくる敵を銃で撃退しながら、それほど広くないフィールド内を逃げ回る耐久型のシューティングで、スマホにはよくあるタイプ。
 スマホゲーム初期の名作『Minigore』『Solomon’s Boneyard』に似ているので、新作でありながら懐かしく感じる人も多いと思います。

 価格は1080円。買い切りゲームであるため課金・広告・スタミナ等はありません。
 iOSのほか、Steam版も発売されており、Androidにも移植予定。海外ではXbox One、PS4、Nintendo Switch でも公開されています。

 開発はフィンランドのモバイルゲームメーカー10tons。
 同社の全方向スクロールシューティング『Neon Chrome』を作ったチームの最新作とのことです。

 このゲームの大きな魅力は、その世界観。
 特にオープニングが話題なので、それを先にご紹介しておきましょう。

 まず現れるのは、ニコラ・テスラの発明品「テスラコイル」を使った公開放電実験。

エジソンに批判されたテスラは、自らの理論の正しさを主張するため、こうした公開実験を行っていました。某師匠のライブではないです。

 そこに「この狂気の沙汰を止めるんだ!」と叫ぶ謎の男が。
 曰く「お前は決して理解できない力に干渉しようとしている!」

 すぐに男は警備員につかまり、会場から連れ出されます。

 「彼は誰だ?」と尋ねるテスラに、警備員が答えます。

 「彼はただの無害なフィクション作家ですよ」
 「名前は確か……ラヴクラフト

どう見ても有害です……。

 そしてテスラの研究所は、ラヴクラフトが遣わした異形の怪物に襲われます。
 テスラは発明品の奪還と実験の完遂のため、科学を駆使して怪物を撃退して回ることになります。

 冒頭で述べたように2スティック制のシューティングゲームで、画面左の仮想スティックで移動し、画面右のスティックを倒した方向に銃を連射します。
 銃には装弾数がありますが、リロードは自動で行われます。弾切れはありません。

 最初の武器は単発のリボルバーですが、フィールドに現れるショットガンやマシンガンを取ることで武器チェンジできます。
 ゲームが進めばプラズマ砲のテスラガン、電磁加速砲のガウスライフルなども登場。

 また「アビリティ」と呼ばれる特殊武器も出現し、X線ブレードや放電スパーク、爆発するサンダーボルトといった超科学パワーで敵をなぎ払うことができます。

X線ビームブレードで邪神の眷属の皆さんをバッサリ斬っているシーン。テスラの殺人光線、もとい平和光線にかかれば「深きもの」も刺身になるしかない。

 そしてテスラ最大の特技が「テレポート」
 短距離ですが、一瞬で敵や障害物を無視して離れた場所に移動できます。
 しかも3回分チャージできるため、連続で使えば大きく移動可能。

 たとえ敵に追い詰められても、瞬間移動で敵の裏側や柵の向こうにワープして、簡単にピンチを切り抜けられます。
 このテレポートのおかげでゲーム展開もスピーディー。
 再チャージの時間もそんなに長くありません。

 ただ、アビリティ(特殊武器)もテレポートも「スティックをダブルタップして発動する」ことが難点。
 指の置き直しをしたときに暴発したり、1回しか使っていないのに連打と判定され、2回や3回発動してしまうことがあります。

 加えてダブルタップした方向に発生するようになっていて、たとえば右方向にテレポートしたい場合、スティックの右側をダブルタップしなければなりません。
 しかし(タッチパネルだと)物理ボタンではないので位置がズレやすい。

 幸い「設定」の「操作」にある「テレポートボタンを表示」を ON にするとボタンで行えるようになるので、思うように使えない人はこちらを利用しましょう。

テスラといえばテレポート! 敵の群れから瞬時に脱出! 某駆逐艦のような事故は起こらないのでご安心を。ややコントロールしづらいのは……史実通り?
テレポートボタンをONにしていても、スティックをダブルタップしてのテレポートは行えます。でも、そのために暴発が……。

 そして武器や特技の強さは、レベルアップ時に習得する「ボーナス」に大きく影響されます。

 敵を倒していると経験値ゲージが増えていき、最大になるとレベルアップボタンが出現。これを押すとボーナスがランダムにふたつ提示され、どちらかを獲得できます。
 ボーナスには攻撃力アップや速射力アップ、HPアップなどの一般的なもののほかに、銃弾貫通、発射数増加、跳弾、周囲に放射能ダメージ、テレポート時に爆発などの変わった効果もあります。

 多くのボーナスを獲得すれば大量の弾をバリバリ連射できるようになり、同じ武器でも強さは大きく変わります。
 武器とボーナスの組合わせによっては、もはや無双状態に。
 武器やボーナスはランダムに出てくるので、常に思い通りになるとは限りませんが。

ボーナスは二者択一。このタイプのゲームによくあるシステム。ボーナスの種類はゲームの進行により増えていきます。ごく稀に激レア(エピック)のボーナスが出ることも……。

 フィールドには銃以外のアイテムも現れます。
 回復薬やシールド、時間の流れを遅くするタイムワープ、そして……「核」
 さすがマッドサイエンティスト、時間も核反応も自由自在。

 さらにロボパーツも現れ、これを6つ集めると超電磁ロボ「テスラメカ」が出撃!
 二門のミニガンを超連射して、古き者どもをその辺のゴブリンのように蜂の巣にします。

 ただ、このテスラメカは無敵ですが、短時間しか使用できません。
 “『Minigore』のモンスター化のようなもの”といえば、わかる人もいるでしょうか。

究極科学兵器「核」でクトゥルフをぶっ飛ばす! 画面は驚きの白さに。なお、実際のテスラは原爆開発にはかかわっていません。念のため。
テスラメカ出撃! 無敵ですが、ダメージを受けると利用時間が減るので、敵に突っ込むのはやめましょう。
搭乗中にテレポートすると、混沌の皆さんを踏みつぶす「メカダッシュ」になります。
実際のテスラはこんな戦闘ロボは作っていませんが、無線操縦装置のテロートマトンといった、ロボットに繋がる研究はしています。

 ボス戦などの特殊ステージを除き、すべての敵を殲滅すればステージクリア。
 エンドレスモードもありますが、そちらはメインではありません。

 敵の量はステージによって違い、早い場合は1分で終わりますが、延々湧き出てきて5分以上かかるステージも。
 とにかく敵がいなくなるまで生き残らなければなりません。
 ただ、やられても特にペナルティはなく、すぐにリトライできます。

 そして敵を倒した数が加算されていき、一定量になると「クリスタル」を得られ、これで「発明」と呼ばれるパワーアップを得られます。
 補助的なものですが、長期的な強化はこの「発明」のみ。
 レベルはステージが始まるたびに1からで、基本的には育成ではなくテクニックで勝負するゲーム。

 しかし進行によって新しい銃やアビリティ、ボーナスがアンロックされていくため、武器となるものはどんどん増えていき、強くなっていくのを実感できるでしょう。

ステージマップ。いくつかのステージにはボスもいます。当面は簡単ですが、終盤に入ると難関のステージも。
青白く光っているステージはクリスタル報酬が倍になっています。
「発明」の取得画面。1周目はあまりクリスタルを得られないので、本格的に活用できるのは2周目から。早めに欲しいのはテレポートの回数を増やす「コンダクター」。
敵を一定数倒すごとに「モンスタートロフィーレベル」が上がり、クリスタルを得られると同時に、そのモンスターに与えるダメージが10%ずつ上昇していきます。
どちらかというと発明より、こちらのダメージアップの方が重要。難関ステージで行き詰まっても、トロフィーレベルを上げていけば、いずれ対抗できるようになるはず。

 大量の敵を一掃していく爽快感があり、演出も派手で、思わず夢中になってしまう作品。
 ステージは34で、テンポよく進むため3時間ほどで1周できますが、難易度の上がった2周目や3周目があり、ストーリーも1周では完結しません。
 相応に長く楽しめるゲームです。

 なによりテーマが秀逸。
 テスラとラヴクラフトの対決なんて興味が沸かざるを得ないし、クトゥルフの深き者どもが無双シリーズのザコ兵士以下でしかなく、テスラの科学兵器の方が破天荒というのもハチャメチャ感があって良いです。

 全方向スクロールシューティングの新たな定番になりそうなゲームですね。

Tesla vs Lovecraft

超科学兵器でクトゥルフを殲滅する全方向シューティング

・全方向スクロールシューティング
・10tons(フィンランド)
・1080円(iOS版)

文/カムライターオ

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著者
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
 iPhone アプリのレビューサイトを経て電ファミニコゲーマーのお世話に。 
 シューティングとシミュレーションが特に好き。
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