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『三國志 真戦』のトッププレイヤーはYouTubeで600万再生されるヒップホップアーティスト。対人戦ゲームで200名規模の同盟を率いる覚悟を聞いた

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“三国志のゲーム”と聞いて、コーエーテクモゲームスの「三國志」シリーズを真っ先に思い浮かべる人は多いだろう。Qookka Entertainment Limitedがサービス中の『三國志 真戦』(以下、真戦)は、そのコーエーテクモゲームスからの監修を受けて作られた、戦略シミュレーションゲームである。

本作は今年の5月19日をもって、サービス開始から4周年を迎える。これを記念して、真戦のコアプレイヤー2名に直接話を聞く機会を得られたので、インタビュー記事をお届けしよう。

ちなみにこの2人、真戦のコアプレイヤーであるのと同時に、本業は音楽アーティストである。このような2人が、正真正銘の”ガチ”で真戦を楽しんでいるギャップにも着目しつつ読み進めてほしい。

聞き手・文/kawasaki

トッププレイヤーはYouTubeで600万再生されるアーティスト

──唐澤さんは真戦で、”年間個人戦功獲得数”が2年連続で1位の成績を収めています。今回はこれをメインテーマに、真戦について、あれこれと話を聞かせていただければと思います。

唐澤有弥さん(以下、唐澤氏):
真戦のゲーム内では「x唐有x」という名前で活動している、唐澤有弥です。
今日はよろしくお願いします!

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唐澤有弥さん

──念のため確認をさせていただきたいのですが、本業はアーティストなんですよね。代表曲の「BABY DON’T CRY〜memory〜」はYouTubeで608万再生もされていて、「この人にゲームのインタビューを行うの?」と目を疑ってしまいました。

唐澤氏:
ヒップホップアーティストとして活動する傍ら、真戦をずっと続けています。
二足のワラジというか、むしろ今は、真戦が本業になっている説がありますね(笑)

──そんな唐澤さんは、どういったきっかけで真戦をプレイされたのでしょうか?

唐澤氏:
僕は昔から横山光輝のマンガ「三国志」が好きで、そんな三国志を題材にしたゲームが始まると聞いて、気軽に始めました。武将を集めたり、仲間が集まったりするたびに、どんどんハマっていき、気がついたら4年も経ってしまいました。

──分かりました。そして本日登場していただくもうお一方の大西洋平さんは、本作の記念曲「新戦」を歌われているとのことで。

大西洋平さん(以下、大西氏):
シンガーソングライターの大西洋平です。
ご縁があって、真戦の記念曲「新戦」を歌わせてもらったことで、今回お邪魔させていただきました。ちなみに僕も唐澤さんほどではないですが、真戦をずっとプレイしています(笑)。

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大西洋平さん

──それでは、唐澤さんの“年間個人戦功獲得数”の話からうかがっていきます。これは端的に言うと、全プレイヤーでNo.1ということですよね。

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唐澤氏:
結果的にそういう扱いになっていますが、自分ではあまり意識していないというか、そんなに大それたモノじゃないですよ。
そもそもサーバーによって、同じ戦功でも強さの基準が違います。それに、僕一人の力じゃなくて、同盟(※いわゆるギルド)の仲間と一緒にやってきましたから。

──では、ここまでの結果を出せた大きな理由は?

唐澤氏:
当たり前のことですが、コツコツとログインをし続けたことが大きいかなと。
真戦って、ひとつひとつのアクションに、とにかく長時間を要するゲームなんですよ。なので、無駄な時間が生じないようにすることも心がけています。

──真戦には、Pay to Winの戦略シミュレーションゲームには当たり前にある、資源や兵士の販売が存在しませんよね。やり込むほど強くなれる仕様なので、トッププレイヤーがどのように工夫しているのか気になります。

唐澤氏:
僕は進軍や挙兵などが完了する時間に、毎回アラームをセットしています。基本的に、1回のゲームプレイで直接操作する時間はそれほど長くはないのですが、裏では常に、何かしらの指示を与えている感じですね。

ちなみにスマホの機能で各アプリの使用時間を確認できますが、それによると、1日あたり20時間近く真戦をプレイしているみたいです。

大西氏:
寝てるとき以外、ほぼ起動してるんじゃ……(笑)。
僕もけっこうプレイしている方だと思いますが、それでも1日あたり3時間くらいかも。

唐澤氏:
あとは、バトルが発生したときは、1時間ぐらい目を離してしまうと、他の同盟とのパワーバランスがガラリと変わってしまうことも多いんですよ。こういったときは、どうしてもスマホに張り付いてしまいますね。

──そのほかに大きな要因はありますか?

唐澤氏:
一緒に真戦をプレイする、仲間の存在も大きいです。
僕は盟主(※いわゆるギルドリーダー)をずっと続けていて、メンバーが参加できるDiscordサーバーを立てて、頻繁にコミュニケーションを行っています。

これは謙遜でもなんでもなく、僕一人の力なんて大したことはありません。でも、仲間が一緒いたからこそ、モチベーションを失わずにプレイをし続けて、ここまで強くなれました。

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同盟のメンバーたちがいたからこそ、ここまで来られた

──専用のDiscordも運営されてるとは、本格的なコミュニティなんですね。

唐澤氏:
そんなに大げさなものじゃないですよ。
「日夜ゲームの攻略を研究しています!」とか言えれば格好いいんですけど、ゲーム外での雑談や相談事のほうが多いですし。
むしろ、こういった彼らとのコミュニケーションが楽しくて、真戦を続けているのかもしれません。

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──どういった同盟なのか、軽く紹介をしていただけますか。

唐澤氏:
現在は総勢200人くらいの規模ですね。
大きな特徴といえるのはメンバーの年齢層が幅広いことで、たとえば僕が最初に同盟を設立した頃に参加したときは小学生の子もいました。その子も一緒に真戦を続けて4年近く経って、高校受験を受けるまで成長しています。

大西氏:
え、小学生ですか?

唐澤氏:
はい。最初はわからなかったのですが、一緒にゲームを進めながら雑談をしていたら、「これから中学受験なんです」と言われてビックリしました(笑)

まだ年齢が若いこともあり、ゲーム内課金は行わずにプレイしているのですが、それでも戦術などを駆使して大人と渡り合っていて、個人的にも勉強させられています。もちろん、真戦を楽しむ姿勢は大人となにひとつ変わりませんしね。
たまに、その子のお母さんがチャットに参加してくれることもありますよ。

──そういったメンバーは、唐澤さんにとってもまた自らの子供のような存在なのでしょうか。

唐澤氏:
そうですね。若いメンバーはほかにもいて、僕にとってはみんなの成長過程を見守るゲームというか、Discordも僕が校長先生を務める学校のような雰囲気になってます(笑)。

ほかにも、二十歳になったメンバーがいたのですが、お祝いに一緒にお酒につれていったこともあります。僕は東京生まれの東京育ちなんですが、若い子からは「東京に出て、芸能やタレントとして活動したいです」とか、「こういう夢があるんだけど、どう思います?」といった、人生相談を受けることもありますよ。

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──唐澤さんはヒップホップアーティストとして成功されていて、そのあたりも含め、憧れみたいなものもありそうです。

唐澤氏:
彼らからすると僕はだいぶ年上ですし、ゲームを通じて彼らをどのように楽しませられるかとか、立ち振る舞いには気を付けています。そういった子たちに向けて、何かを教えられるのなら、まだ真戦を続けたいといったモチベーションにもつながっています。

もちろん、その一方で、メンバーのなかには年上の方も多くいます。逆に僕の方が勉強をさせられることもたくさんありますよ。

大西氏:
ゲームであるのと同時に、コミュニケーションツールとしても活用されてるんですね。

唐澤氏:
こういった幅広い年齢層の人達と、コミュニケーションを交えながら、ひとつの目標に向かって進むのは、真戦に触れるまで知らなかった世界でした。ゲームを楽しむ以上に、僕にとってはすごく貴重な体験なんです。

──年齢を重ねると、リアルのしがらみやらなにやらで、純粋な友達を作るのって難しかったりしますよね。

唐澤氏:
本当に、そう思います。
また、盟主として皆を率いるには、僕自身がそれなりの結果を出していないと説得力がありません。なので最前線でバトルに参加して、個人戦功もしっかり獲得していかねばならない。良い意味でのプレッシャーにもなっています。

──同盟全体の戦略などは、どのようにして決定しているのでしょう?

唐澤氏:
各メンバーのアクティブ率を参考にして決めることが多いですね。
真戦って、アクティブ率の高いメンバーがどれだけいるかで、戦局が大きく違ってくるんですよ。極端な話、メンバーがログインしてくれなければ、攻撃はできないわけで。

なのでチャットで盛り上げるなど、いかにメンバーを楽しませて、ゲームに参加しやすくするための環境作りは盟主の大きな役割だと感じています。みんなの力が合わされば、私一人の戦力なんて大したことないですし。
そのうえで、たとえ勝っても負けても、ゲームとして最後まで楽しめたら最高ですね。

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同盟が負けてるときこそ面白い

──唐澤さんがそこまでの記録を出しているということは、同盟も常勝無敗だったりするんですか?

唐澤氏:
いや、それが案外そうでもなくて、勝ったり負けたりの繰り返しですよ。真戦のバトルは多人数が参加するので、1人や2人の戦力で戦局を変えられることは少ないんです。

でも、このゲームですごく面白いなと思っていることのひとつが、同盟が負けてるときです。色々なことが見えてきて、個人的にすごく興味深いですね。

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──詳しく聞かせてください。

唐澤氏:
誰だって勝つのは気持ちがいいですよね。だから、同盟が攻勢を見せているときは、多くのメンバーがログインして、流れに沿って勝ち進めることが多いんです。

けれども負けてるときは、まったく逆です。メンバーのログイン率が落ちたり、盟主や誰かのせいにしたりして、同盟内のムードも険悪になりがちです。

──大規模人数による対人戦ゲームだと、そういった面もありますよね。

唐澤氏:
これって、リアルに通じる部分があると思うんですよ。
うまくいってないときこそ、人間性が如実に表れやすい。そういったときの人間模様や、どうやって挽回するのかを考えるのが面白いんですよ。

──敗色が濃厚なとき、唐澤さんはどのように対応してるんですか?

唐澤氏:
常に勝ち続けることはできません。また、どうあがいても挽回できないような局面もたくさんあります。
でも、そういったときに、負けを教訓として受け入れて、同じ轍を踏まないように反省すれば、次は一歩強くなれるんです。これを繰り返せれば、長期的に見るとすごく大きな差になります。

そのためにも、敗色が濃厚なときに、いかにメンバーを前向きにさせられるかが、盟主の大事な仕事のひとつだと考えています。

──確かに、リアルにも通じそうなお話です。

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唐澤氏:
それに真戦では、3か月ごとに”シーズン”という区切りが設けられています。勝っても負けても、3か月が経てば、まっさらの状態で次のシーズンを迎えて、心機一転でリスタートできるんです。なので目先の勝ち負けよりも、長期的な視点でプラスになることを考えるようにしていますね。

──現在はどれくらいまでシーズンが進んでいるんですか?

唐澤氏:
僕の同盟は現在、シーズン19ですね。
面白いことに、ここまで続けてもマンネリにならず、何が起こるか分からないんです。どのシーズンも色々な思い出がありすぎて、対人戦って本当に奥が深いなと思います。

対人戦ゲームにおける”炎上”への考え方について

──真戦は対人戦がメインコンテンツのゲームなので、トップ同盟のコミュニティは、スパルタな雰囲気なのかな? と想像していました。他の同盟もこんな雰囲気なのでしょうか?

唐澤氏:
いやぁ、同盟によって千差万別だと思いますよ。
僕のような比較的穏便な盟主もいれば、粗暴な人も珍しくないです。それどころかSNSでは不平不満を出す人も見かけますし、そういったストレスで心が折れて、ゲームから引退する人も実際にいます。

大西氏:
全チャ(※全員が参加できるチャット)でキレてる人はたまに見かけますね……。

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──そのあたりに対する、唐澤さんの考え方について聞かせてください。

唐澤氏:
真戦のゲーム内では何百人、何千人、あるいはそれ以上の膨大な人達と、敵味方として接するわけです。
これだけの数がいれば、さまざまな価値観の人がいますし、自分と合う人もいれば、そうでない人もいて当たり前ですよね。まずは、そういった多種多様な考え方があることを受け入れる必要があると思います。

──盟主は目立つ存在なので、いわゆる炎上や、第三者からのさまざまな攻撃にも直面することが多そうです。

唐澤氏:
僕個人としては、そういったことで腹を立てることはめったにありません。そもそも僕が行っていることが常に100%正しいわけはなく、考えを押しつけるつもりも無いです。僕のことが気に入らなくて攻撃してくる人のことを否定もしません。

でも、それと同時に、たとえ他の人に何を言われたところで、盟主としての僕がやるべきことは変わらない。そこの部分は混同しないように気を付けています。

──昔のMMORPGなんかだと、敗退した敵対勢力のギルドリーダーが引退するまで追い詰めたり、全チャで謝罪をさせたりといったケースも見かけました。良くも悪くも対人戦コンテンツって、それだけアツくさせてしまうんでしょうね。

唐澤氏:
人間同士が欲望をむき出しにして戦うゲームですからね。リアルの人間同士で起こりうることは、ゲーム内でも同様だと思います。トラブルも然りです。

でも僕の同盟では、そういったことは許容しません。もし、そういった考えのメンバーがいたら、同じ価値観の仲間を探して一緒に遊んでもらう方が、お互いのためでしょう。

大西氏:
すごい大人な対応だなあ。

唐澤氏:
真戦は、誰と一緒に遊ぶかがすごく大きいゲームだと思うんですよ。
もし、自分のスタイルにあった仲間を見つけられれば、ゲームとしてはめちゃくちゃ楽しくなるでしょう。でも、誰と同じ同盟になるかっていうのは、実は運も大きい。なので、もし同盟内の人間関係で気に病むようなことがあれば、フィーリングが合う同盟を探すのが建設的だと思いますよ。

──唐澤さんのような考えの人が盟主だと、メンバーも安心しそうです。

唐澤氏:
メンバーに対して、「楽しみたいからゲームをやってるんだよね?」って、よく言ってます。
単なる娯楽だから、リアルとごちゃまぜにしないほうがいいし、マイナスな感情やストレスを抱え込んでも、誰も楽しくないじゃないですか。

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──対人戦があるという理由で、真戦に対して尻込みする未経験者もいるかもしれませんが、これに関してはどう思いますか?

唐澤氏:
そこに関してはシビアに考えなくてもいいんじゃないかな。
そもそも一人で戦うゲームじゃないし。

大西氏:
僕は真戦に触れるまで対人戦のゲームを知らなかったんですが、とくに問題なく楽しめてますよ。
対人戦で敗退すると、武将が捕虜になってしまうことがあるんですが、同盟のみんなが助けに来てくれると、すごく嬉しいんですよ。

──どちらかというと、仲間との協力プレイの先に対人戦がある感じでしょうか。

大西氏:
唐澤さんも言ってましたけど、シーズンごとに頭を切り替えられるのは大きいですね。
僕は、とあるシーズンで戦ったプレイヤーさんと、その次のシーズンで同じ同盟になったことがあります。実際に話してみて、「あ、こういう人だったんだ」って意気投合もしました(笑)。

──昨日の敵は今日の友、ですか。

大西氏:
真戦って、対人戦を行った際、相手のデータが見られる仕様になっています。たとえば各武将がどういった”戦法”を装備していて、それが要因で勝利できた、といったことも分かる。場合によっては、それを見て真似することもできる。

だからたとえ敗退しても、やられたことに対するストレスよりも、自分がどうやって強くなるのかを知りたいといった欲求の方が強いですよ。

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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