※本記事は『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の“ネタバレ”を含む内容になっております。ストーリーの内容を一切知らずにプレイしたい方はご注意ください。
殺される……。
私は今、『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』(デス・ストランディング2)にハマりすぎて殺されそうになっている(最大級の賛辞です)。
本作は、流通が途絶えた世界で配達人サム(演:ノーマン・リーダス氏)を操作するゲーム『DEATH STRANDING』(デス・ストランディング)の続編だ。
前作の大きな特徴としては「赤ちゃんと一緒に旅をする」という点だろうか。世界規模で発生した怪奇現象により、流通が分断されてしまったアメリカ合衆国の各地を繋ぐため、赤ちゃん(ルー)と遥かなる配達の旅をする……それが『デススト』の流れであった。
その数年後、ふたりは配達業からは離れて、平和な隠居生活を送っていた。これが『デススト2』プレイ開始時の状況だ。
か、かわいすぎる……もう、天使じゃん。(背中に羽根はえてるし)
そりゃ、ノーマン・リーダスさん(俳優)もこの顔になるよねっていうね。
こんなに幸せそうなのに、『デススト2』ではこのサムが大切なものを失い、絶望の底に堕ちるシーンから始まる。
筆者は、精神・肉体ともにズタズタになっていくサムの行く末が気になりすぎて、約40時間ほぼぶっ通しでメインストーリーをクリアするまでプレイを続けてしまった。
意識が飛ぶ限界までプレイして数十分仮眠をとる。休息がすんだらカフェインで覚醒状態に持っていき再びプレイする。それはまるで、自傷行為に等しい愚かな行動。それでも私はやめることができなかった。
死んでも蘇る特殊能力「帰還者」をもつ、サムみたいに……。
くたばっても蘇る。そんな状態をくり返す。
小島監督に人生を管理されたと言っても過言ではない。
まるでゲーム内で配達行為そのものに魅了された(配達依存症)者のように『デススト』依存になっていた。
前作のあらすじについては、「PlayStation Japan」の公式YouTubeチャンネルで振り返り映像が公開されているので、本作プレイ前に復習したい方は、そちらを視聴してみてほしい。
冒頭で説明したように、続編となる『デススト2』では、前作でアメリカ合衆国を繋いだサムが、かつて旅路を共にした赤ん坊のルーと隠居生活をおくる場面から始まる。
今回の舞台は、“メキシコ”と“オーストラリア”のふたつの地域。
新たに出発したサムたちの冒険は、どのような道のりとなるのか。
今回は、メインストーリーをクリアしたうえで、お伝えできる範囲内で、ゲームのプレイ内容をみなさんにお届けしたい。
文/TsushimaHiro
編集/竹中プレジデント
※この記事は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(or SIE)から『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の先行プレイ用コードの提供を受け、執筆しております。
実写と区別がつかねぇ
昔、爆発があった。
世界中で発生した不可思議な爆発は、デス・ストランディングと呼ばれた。
この世へと座礁してくる死者──BT(Beached Things)が生者と対消滅(ヴォイドアウト)を起こす爆発である。
普通の人間にはBTを見ることも察知することもできない
見えない死者におびえた人々は 都市に閉じこもった
そして世界は分断され 人々は孤立し 絶望の淵に立たされた
かつてのアメリカ合衆国を再建するために“ブリッジズ”の配達人サムは
あの世と繋がった特殊な赤ん坊であるBB(ブリッジ・ベイビー)のルーとともに
北米大陸を横断し カイラル通信で都市と人々を繋いだ
アメリカがUCA(United Cities America)として再建された日
彼はルーと二人で姿を消した
UCA政府は捜索を試みたが
彼らの行方はいまも不明のままである。
オープニング冒頭のあらすじを簡単に説明すると、こうだ。
1.世界中に目に見えない怪異BTが発生
2.生きてる人間がBTに捕まるとクレーターができるほどの大爆発が発生する
3.怖すぎて世界中の流通が死ぬ
4.死後の世界と繋がっている“赤ちゃん”を使ってBTを認識できるようになる
5.配達人のサムは赤ちゃんと一緒に流通が死んだアメリカをほぼ徒歩で縦断。アメリカを復活させることに成功
6.サムと赤ちゃんは行方不明に
BTとは「Beached Thing(座礁物)」の略称で、いわゆる生者の世界を彷徨う死者の魂つまり亡霊的な存在だ。一般人の目には見えず、捕まると死者の世界に引きずり込まれ、大爆発が発生してしまうめちゃくちゃ厄介な存在。
そんな世界だから、人間は都市内に引きこもって流通が終わっちゃったので、サムのような死んでも蘇る能力を持つ配達人が必須となってしまっていたわけだ。サムは分断されまくっていたアメリカ大陸を繋ぎ、文字どおり伝説的存在となる。
それから、11か月後……
ここ数十年で、ゲーム機のグラフィックというものは飛躍的に進化した。
筆者は、そういった最新技術をふんだんに使用したゲームをプレイしてきた。そして、何度もこう思ってきた。「ほぼ実写だ」と。
だが、今回『デススト2』をプレイして得た感想は、また別のものであった。それは……
「実写と区別がつかねぇ……」
思わず口をついて、そう呟いていた。
サムが座っている姿を「撮影した写真です」と言われて手渡されても、ゲームだと気づかないだろう。「へぇ~綺麗だなぁ〜」と言ってしまいそうだ。
それくらい、迫力があった。ぜひ、大画面で見て欲しいシーンだ。
赤ちゃん(ルー)との幸せな生活
オープニングでは、行方不明となっているサムが、ルー(赤ちゃん)とともに隠居している自宅に帰るまでの道のりが描かれる。
前作プレイ済みの筆者としては、まず何をおいてもしなければいけないことがあった。
何をするかって……そりゃ「たかいたかい」だ。
『デススト』では、足場の悪いところを歩いたり、体勢を崩したり、敵に攻撃されたりすると、赤ちゃんんの機嫌が悪くなる仕様があるのだ。最悪“ギャン泣き”する。
怪異BTは人間の呼吸などに反応するため、泣かれたら人生の危険度がマシマシになる。赤の泣き声、ばかにできない。
前作では、容器の中に入っていた赤ちゃんだが、容器の外側でも生きているようでひと安心だ。
自宅に帰宅後、黒キャップを被って料理を作りつつ、ルーに離乳食を食べさせるサム。
この場面を見て改めて感じたのは、このゲームを作った小島監督のノーマン・リーダス愛だ。
最初に思った印象は「あ、これInstagramのノーマン・リーダスだ」である。
本作の主演サムのモデルであるノーマン・リーダス氏は、海外のゾンビもの『ウォーキング・デッド』のドラマ版にて、オリジナルキャラクターのダリル役を演じたことで広く知られている俳優さんだ。
ダリルは寡黙ながら生存能力が抜群に高く、情にもあついというキャラ設定もあって国内外問わず大人気に。筆者的には、リーダス氏は映画『処刑人』で大暴れしていた姿が今でも印象深い。
ノーマン・リーダス氏は、Instagramでプライベートな写真を多数投稿している。
過去を遡って見てみると、黒帽子をかぶっている写真が多々見られることがわかる。
そして、似合っている。
ナイフとボウガン、羽根が描かれたジャケット。そして黒キャップが似合う男、ノーマン・リーダス。
そんな男が『デススト』でも黒キャップを被りながら、自宅で調理しつつ赤ちゃんにメシ食わせてるわけだ。いきなりプライベイティなノーマンっぽさが全開で、いちファンとしてはニヤニヤしてしまう。
ちなみに、サムの日本語音声は大人気声優の津田健次郎さん。
アニメでは『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の海馬瀬人、『ゴールデンカムイ』の尾形百之助、『呪術廻戦』の七海建人役などを演じており、最近だとドラマ『西園寺さんは家事をしない』で主演のひとりとして登場。ほか、映画や連続テレビ小説など幅広く活躍している。
ノーマン・リーダス成分の供給が良すぎて脱線したので、話を戻そう。
危険な外では胴体に装着されていたルーだが、室内では“つかまり立ち”まで披露してくれる。はぁ~かわいい。すくすくと成長してる。よく眠り、よく育つ。とても赤ちゃんだ。
そんな時、カモフラージュされているはずのこの住処に、何者かが訪れる。
念のためか、鉄砲も隠し持っていたサムだが……。
この世界では人を死なせてしまうと48時間以内に遺体が消滅し、BTと化してしまうおそろしい現象が発生する。
そのため、容易に人をぶっ殺せない。こんなところで大爆発はゴメンだ。
苦肉の策として、サムはその場にあったフライパンをおもむろに掴みとり、「誰なんだ?」とすごむ。
フライパンがメインウェポンという状況を観たのは、アニメ映画『塔の上のラプンツェル』以来だ。ほっこり。
序章から絶望のどん底へ
そこに訪れたのは、前作でもオープニングシーンから協力してくれたフラジャイル(日本語音声:水樹奈々さん)。彼女のモデルは、フランスの女優レア・セドゥ氏。
映画『美女と野獣』でヒロインのベル役も演じている大人気の女優さんである。サム役のノーマン・リーダス氏もそうだが、本作の登場人物は実在する俳優さんを多数起用している点も特徴だ。

さて、フラジャイルはサムに「やっとみつけたわ」と言葉を投げかける。
アメリカはサムが繋げたおかげか、AIで自動的に流通が機能するようになっており、ほぼ人間の手が必要なくなっている。しかし、メキシコ地方では各地で災害や地震が発生。BTの出現も危ぶまれる前兆が見えるという。
フラジャイルからの依頼はこうだ。
1.アメリカと同じようにメキシコ各地を繋げてほしい
2.何かしらの研究をしているデッドマンという人物に会って、何をしているのか確かめてほしい
フラジャイルからの依頼を受けるサム。危険な道のりとなるので、その間はルーは彼女に預かってもらうことになった。
「荷物を背負って、目的地まで移動する」
本作のゲーム内容はシンプルに言うとそれだけなのだが、不思議なことにちゃんとゲームとして成立している。
豪雨、地震、地すべり、川の氾濫など、前作と比較しても環境の変化は著しくなっている。
詳細は後述するが、「目的地に向かう」だけでも、事故らず目的地に到着するためには、しっかり頭をひねる必要があるのが本作の特徴のひとつだ。
旅の道中、ひと息ついてゲーム内のSNS的な存在「SSS」を開き、フラジャイルから送られてきたルーの写真を見る。
なんだこの微笑みは……バブみがマックス。
レア・セドゥさんが完全に母親の表情を見せてくれている。
これを見ると、「お父さんがんばってくるからね、待っててね」という気持ちにさせてくれる。ルーがいないと、胴体が涼しすぎるのだ。
しかし、帰路につこうとした瞬間、おそるべき事態が発生する。
謎の赤い装束の者たちが、サムの不在を狙ってフラジャイルを襲撃。
フラジャイルはルーを連れて逃走しようとするも……
なんと、ルーが死んでしまう……。
赤ちゃん死ぬとか禁忌すぎだろ……。
フラジャイルは必死に逃れようとしたが、意識を失ってしまい、ルーも見失う事態に。
あまりにもショックすぎて、色彩すら白くなってしまうサム。俺も白髪になりそうだった。何度死んでも蘇る特殊能力を持つ「帰還者」のサムは、“拳銃で自殺”という自滅的な自傷行為を弾切れするまでくり返す。
……そこへ、フラジャイルが再び訪れる。
ルーを守れなかったことに責任を感じているのか、「償いきれないことはわかっている」としつつも、フラジャイルはサムに「あらたな仕事を依頼したい」と、話を持ちかける。