『モンスターハンター』15周年。PS2で生まれたオンラインゲームはアクションとコミュニケーションを軸に人気タイトルへと進化した

 人気になったゲームというものは新たなジャンルを打ち立てることがある。『モンスターハンター』シリーズもそのひとつであり、狩りゲー、あるいはハンティングアクションという概念を大きく広めた一作だ。

 現在、『モンスターハンター』シリーズは世界的な人気を得ている。シリーズとして43作品が展開されており、シリーズ累計売り上げは5300万本を超えるほど。最新作となる『モンスターハンター:ワールド』は2019年2月8日、全世界1200万本出荷(ダウンロード版販売実績を含む)を突破し、シリーズ最高出荷本数を記録している。

『モンスターハンター』。
(画像はモンスターハンター公式サイトより)

 そんな本シリーズの第1作が発売されたのは、2004年3月11日のことである。つまり、今からちょうど15年前だ。はたして『モンスターハンター』の原点はどのような作品であったのか、15周年となる今日に改めて振り返ってみよう。

ライター/渡邉卓也


オンラインゲームの波に乗って企画が立てられた『モンスターハンター』

 まず2004年のネット状況について説明しよう。2004年はインターネットの普及が進み、ADSL回線を使う人が増えてきたころだ。つまりiPhoneなんてものはないし、YouTubeもまだサービスが開始されていない。今では当たり前の光回線もそこまで普及していなかった。

 当然ながら、家庭用ゲーム機もインターネット接続が当たり前ではなかった。『モンスターハンター』はプレイステーション2向けタイトルとして登場したが、オンラインゲームを遊ぶには当然ながらプロバイダとの契約も必要だし、場合によっては「PlayStation BB Unit」という周辺機器も用意しなければなかったし、そもそもハードディスクも別売りだった。要するに、インターネット環境がどこの家にも当たり前にあるわけでもなく、ゲーム機もデフォルトでネット接続に対応しているわけでもなく、今と違ってオンラインでゲームを遊ぶのはなかなかハードルが高かったというわけだ。

PlayStationBB Unitとハードディスクを搭載したプレイステーション2。
(画像はAmazon.co.jp | PlayStationBB Unit(EXPANSION BAY タイプ 40GB)より)

 とはいえ、2004年にもなるとオンラインゲームに対する機運は十分に高まっていた。PCではBlizzard EntertainmentからMO RPG『ディアブロII』が2000年に登場し熱狂的なファンが生まれ、2002年には韓国のMMO RPG『ラグナロクオンライン』がガンホー・オンライン・エンターテイメントからサービスインされていた。プレイステーション2でもMMO RPG『ファイナルファンタジーXI』が2002年5月に発売。2003年にはオンラインアダプタを用いて追加料金なしのインターネットプレイが楽しめた『SOCOM: U.S. Navy SEALs』が発売されており、「これからはオンラインゲームの時代だ!」という雰囲気があったのだ。

 こういった状況であったため、カプコンもまたオンラインプロジェクトのひとつとして『モンスターハンター』の企画を進めていったのだろう。カプコンは2002年にオンライン対応のレースゲーム『アウトモデリスタ』を発売していることから、オンラインに先見性があったのがわかる。

最初はファンタジーで、アクション要素も少なかった『モンスターハンター』

カプコンが開発し、アーケードなどで展開された『ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ』。
(画像は『ダンジョンズ&ドラゴンズ −ミスタラ英雄戦記−』公式サイトより)

 『モンスターハンター』の企画は2000年ごろから動いており、そのころからオンライン通信プレイを前提にしたアクションゲームというおおまかな形は完成していた。しかし、そのころはファンタジー要素が強く、しかも『ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズのようなベルトスクロールアクションゲームとして開発が進められていたという。

 このころから「素材を剥ぎ取って武器や防具を作る」あるいは「大型モンスターにみんなで挑む」といった構想はあったものの、アクション要素があまり強くなく、さらにアイデアがうまくまとまっていなかったそうだ。そこで開発から2年ほど経過した時、アートディレクターだった藤岡要氏がディレクターとなり、全体の取りまとめを行うことになった。

藤岡要氏。
(画像は「いまの子どもたちは『モンハン』で怪獣を見ている」──特撮のプロが見た『モンスターハンター:ワールド』【カプコン藤岡要×『ウルトラマンオーブ』田口清隆監督対談】より)

 藤岡氏は「アクションゲームに必要なものは何か?」と考え、あらためてゲームの方向性を考え直すことになる。アクションとしての楽しさを打ち出すため魔法を捨てて大剣は残す。あるいは、音を聴いてモンスターの位置を確認する要素や、プレイヤー間で小型モンスターの同期を取ることをあえてやめた。それもこれも、アクションゲームとしての気持ちよさ最も重視するがゆえの決断だった。

 また、『モンスターハンター』はたくさんのアイデアがぶつかり合い、次第に形になっていった。初期はファンタジーということで誰もがドラゴンを作りたがったが、そこから脱却するためあえてメインモンスターはワイバーンにするということもあったという。あるいはアイルーの役割を担うのはゴブリンだったものの、偉い人の鶴の一声で猫型のキャラクターになった、なんてエピソードもあるという。そうして洗練されていった結果、『モンスターハンター』が完成したのである。

『モンスターハンター』の核は、アクションとコミュニケーションを両立させること

(画像はYouTube | 【MH10周年】オープニング&プロモーションムービー集より)

 当然だが、いまと比べると初代『モンスターハンター』はとてもシンプルな要素で構成されている。武器は「片手剣」、「大剣」、「ハンマー」、「ランス」、「ライトボウガン」、「ヘビィボウガン」の6種類しかなかったし、モンスターは「イャンクック」、「リオレウス」、「ラオシャンロン」など全15種類。もちろんG級クエストという概念もなかった。

 しかし、この段階ですでに『モンスターハンター』シリーズの基礎はきちんとできていた。モンスターを相手にした緊張感のあるアクションゲームであるということはもちろん、オンラインゲームにすることによって仲間と協力して遊べるコミュニケーションツールとしての側面を持たせることもできていただろう。あるいは、肉焼きの「上手に焼けました〜」も忘れてはならないインパクトのある要素で、そういったキャッチーな側面もまた人気の要因のひとつと言える。

(画像はYouTube | 【MH10周年】オープニング&プロモーションムービー集より)

 現在と比べれば小規模なタイトルといえる『モンスターハンター』だが、それでもゲーマーの心を掴むことに成功した。初日にはサーバーがパンクしそうなほどユーザーが殺到し、多くの人がまだ慣れぬ狩りを楽しんだという。

 そして、『モンスターハンター』シリーズは歴史と共に進歩を続けていく。2005年12月には、プレイステーション・ポータブルで『モンスターハンター ポータブル』が発売され130万本のヒットを記録。初代『モンスターハンター』は前述のようにネット環境を整えることのハードルが高かったが、携帯ゲーム機ならば集まって気軽に協力プレイが楽しめるわけで、作品の魅力がより伝わりやすくなったのだろう。

 その後の『モンスターハンター』シリーズは据え置き機と携帯ゲーム機に分けて展開を行っていくことになるが、次第に携帯ゲーム機向けのタイトルが多くなる。2013年9月にニンテンドー3DSで発売された『モンスターハンター4』では、携帯機としては初のオンラインプレイに対応。このころから海外でもじわじわと人気が出始め、『モンスターハンター4G』は欧米地域でもシリーズ100万本販売を達成することになる。

『モンスターハンター:ワールド』

 さらに進歩は続き、最新作となる『モンスターハンター:ワールド』は再び据え置き機に帰ってきた。エリアマップはシームレスになり、グラフィックも進化、よりモンスターたちが生き生きと表現されるようになったのだ。世界的な人気を獲得し、レビュー集積サイト「Metacritic」ではPS4・Xbox One版で90点、PC版で88点とかなりの高スコアを記録している。ついに『モンスターハンター』は、世界でも大きく花開いたと言えるだろう。

 オンラインゲーム黎明期に登場した『モンスターハンター』は、狩りゲーというジャンルを生み出し世界で認められる大作となっていった。本作が生まれてから15年間のことを考えると、このゲームが成し遂げたことのすごさがより感じられることだろう。

◆参考文献、サイト
・徳間書店 『モンスターハンター 発想の法則 -メインモンスター誕生秘話-』 2014年
・株式会社カプコン | vol.01 藤岡 要(開発者インタビュー2014)
・CAPCOM:モンスターハンターシリーズ10周年記念サイト

関連記事:

「いまの子どもたちは『モンハン』で怪獣を見ている」──特撮のプロが見た『モンスターハンター:ワールド』【カプコン藤岡要×『ウルトラマンオーブ』田口清隆監督対談】

「数十万頭のモンスターを狩りました」──『モンスターハンターポータブル2nd G』を10年以上プレイし続ければ全モンスターの討伐数はカンストするのか?

ライター
渡邉卓也
「マリオの乳で育った男」と自称するフリー・ゲームライター。いくつかのメディアでゲームニュース、レビュー、コラムなどを担当。自分が書いた記事で気に入っているのは「なぜこのゲームが「モンハン」の次に売れるのか…? 『Ice Station Z』から見る3DSという市場の特殊性とゲームの評価の難しさ」。好きなキャラクターは「しずえ」と「カービィ」。
Twitter:@SSSSSDM
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
電ファミのDiscordでこの記事について語ろう!

関連記事

SNSで話題の記事

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

関連サイト

その他

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE 公認攻略Wiki
若ゲのいたり
榎本俊二の現代ゲーム用語大全

カテゴリーピックアップ