「……ヨーズ?
なにかしら、
もうおやすみは言ったわ……」
寝床を突き止めて
ゴニヤに会った。
明らかに、警戒。
大丈夫だよ。
『狼』が出るのは、
何もかも見聞きできなくなる
深夜以降。
とかなんとか。
説明めんどうだから、省略。
「けが、見せて。
傷つけたりはしない」
すごく、嫌そうな顔。
でも、見せてくれる。
疑われるのが心外、って感じ。
ゴニヤの態度に、
怪しい感じは正直、ない。
で、傷。
なぜか今も新鮮な、
ざっくり裂けた致命傷。
なのに他は、健康体。
改めて、怪しすぎ。
痛むか?
動かしたら、痛むか?
聞いても首を振るだけ。
問題なし、らしい。
これ、『護符』の魔力で
生かされてる、とかだったら、
明日あたり魔力が切れて、
大出血して、
死ぬんじゃないか。
「今さらだけど、縫っていい?
ロクなものないし、
痛いかも、だけど」
「……思うようにして、ヨーズ。
ゴニヤ、
あなたとは、なかよく……」
弾を一発、ひねってバラす。
こぼれないよう慎重に。
中には蛍光(けいこう)の液体。
何かはよくわからんが、
これで肉をただれさせると、
化膿しない。
弾入れを、ちぎってバラす。
手製の防水かばんだ。
残弾3発だから、不要。
それより糸が要る。
オオジカの腸を干したやつ。
これを蛍光につけといて……
血抜きナイフの鞘を、割る。
こいつはイノシシの太腿の骨。
ナイフには布でも巻いとけ。
何度も何度も、割る。
針ができた。
これも蛍光にくぐらす。
で、糸をつけて……
「……ヨーズ、
へんなにおいがするわ……!?」
「私の手が焼けてるだけ。
大したことない。
さあやるよ。
痛いかも。
でも、この傷よりはマシ。
……縫えてる、縫えてる。
で、なに?
さっき言いかけたの」
「……なんでもないわ」
「そっか。
よっと。
ん、もうちょい……
私と仲良くしろって言ったの、
ウルヴル?」
「────────────ち、
ちがうわ!
ヨーズ、どうして──」
「動かない。
……これでよし。
いいよ、仲良くしよう。
ゴニヤのことは信じる。
だから、私のことも信じて。
明日もがんばろう。
おやすみ」
「……え、ええ、
おやすみなさい……」
用件は済んだ。
私も休もう。
……
これで思った通りなら、
私は嘘つきだし、最低だ。