──講堂が開いた。
狂った長老が指さして、
群衆たちは巫女Cこと
シンディに襲い掛かった。
『……やっぱり、こうなった。
言葉通りにしかとれない者に
我らが神は早すぎるもの』
群衆の怒りと悪意が、
石炭をあかあかと燃え滾らせ、
涼し気に微笑む少女の
顔面へと注がれた……
「残念!
正解はAちゃんでした。
一見、証言からの推理は
無理そうですが、
信心深いのに『神などいない』
と言えるからには、
教義は『嘘をつくこと』に
違いありません。
つまり各証言の真意は……」
「巫女A『自分はやってない』
→やった
巫女B『自分とCがやった』
→やってない
巫女C『神などいない』
→いる
嘘を強いる邪神の巫女3人が、
神の復活のため異教の司祭を
殺した、ってこと」
「え、結局これは
何だったのか、ですって?
もちろんただの『例』です。
あなたがたの意思の総和が
時空を超えて、ある一つの
運命を終わらせた、一例。
本編とはいっさい関係
ありませんよ。もちろんね」
「さあ、あいさつは済みました。
例示も済みました。
よってわたしは、
失礼しますね。
どうぞ、
本編をお楽しみください」