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『ギ・クロニクル』End J

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 選ばれし異世界の亡霊が、
 人として生まれ変わる。

 その際に一瞬、
 垣間見えたものは──

「鍵の言葉」が書き換わります。

『あなたの想いは醜い』
→ 『想いを刃に切り拓く』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギ・クロニクル』End J_001

 ヘルドラ大陸、北方の雪原。

 寒風吹きすさぶ黎明(れいめい)の魔境(まきょう)を、
 ひとり横切っていく、
 旅人の姿があった。

「馬鹿。
 馬鹿。
 馬鹿だろ。
 
 不本意……
 
 肉体くれるなら。
 あったかいところにしろ。
 
 糞。糞青鳥」

「あー。糞。
 
 レイズルはともかく、
 ゴニヤも、
 ウルヴルも、
 ビョルカも、
 フレイグも、
 もういないとか。
 
 ……いなくは、ないか」

「……隣にはいないけど、
 胸の中には、いる。
 
 いつでも想えるし、
 それで迷うことは、もうない。
 
 『想いを刃に切り拓く』
 
 そうやって、生きられる。
 
 生きてみたい。
 
 めんどくさい……
 
 けど、やってみるか」

「感覚を、とりもどす。
 
 道具を、銃を、手に入れる。
 
 痕跡を見つけて、獲物を追う。
 
 できることを、やる。
 少しだけ、想いをのせて。
 
 それで一丁、
 『奈落』で狩りでも
 してみようか。
 
 柄にもないけど。
 
 血が騒ぐね」
 

『ギ・クロニクル』End J_002

少女は口をつぐみ、視線を上げて、より力強い、一歩を踏み出す。

長い旅路の果てに得た、自分だけの力と、希望を胸に。

やがて吹雪は止み、夜は明ける。

かくて、偽典もまた、祝福されたのでした。

めでたし、めでたし、ってね。

【ギ・クロニクル 完】

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