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『ギ・クロニクル』End G

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 選ばれし異世界の亡霊が、
 人として生まれ変わる。


 その際に一瞬、
 垣間見えたものは──

「鍵の言葉」が書き換わります。

『理を捨てよ』
→ 『理をもって愛せ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギ・クロニクル』End G_001

 ヘルドラ大陸、北方の雪原。

 寒風吹きすさぶ黎明(れいめい)の魔境(まきょう)を、
 ひとり横切っていく、
 旅人の姿があった。

「う~~~~
 
 おなかがすいたわ!!
 
 なにかしら、ここは!
 雪しかないし!
 アオイトリと別れたあとは、
 だれともあわないし!
 
 だれも……いないし……
 
 ううん……!
 
 ゴニヤは、ひとりじゃない!
 みんなそばにいるんだもの!
 それに……
 『理』だって、あるわ!」

『理をもって愛せ』
 
 ……うん。だいじなことね。
 
 かんがえることを
 やめてはだめ。だけれど、
 それでつめたくなってもだめ。
 あったかくするため。
 愛するために、かんがえるの。
 
 そうでしょう、ウルじい?
 
 ふふ!
 なんだか、
 あったかくなってきたわ!」

「とりでで何ができるかしら?
 つまみぐい?
 したいあさり?
 ……やみうち?
 
 ふふ、ゴニヤけっこう、
 いろいろできるわ!
 
 それに、この体はすぐに
 おおきくなる。『巡礼』では
 なかった、おたのしみね。
 
 みんな、どうか、みてて。
 
 さあ、きばっていきましょう」

『ギ・クロニクル』End G_002

娘は口をつぐみ、視線を上げて、より力強い、一歩を踏み出す。

長い旅路の果てに得た、自分だけの力と、希望を胸に。

やがて吹雪は止み、夜は明ける。

かくて、偽典もまた、祝福されたのでした。

めでたし、めでたし、ってね。

【ギ・クロニクル 完】

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