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『ギ・クロニクル』End B

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 選ばれし異世界の亡霊が、
 人として生まれ変わる。


 その際に一瞬、
 垣間見えたものは──

「鍵の言葉」が書き換わります。

『私はいらない』
→ 『夜明け前の我が道を行け』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギ・クロニクル』End B_001

 ヘルドラ大陸、北方の雪原。

 寒風吹きすさぶ黎明(れいめい)の魔境(まきょう)を、
 ひとり横切っていく、
 旅人の姿があった。

「……うう、
 旅立ち早々に情けないですが、
 やはり少々、一人旅は、
 心細いものですね……
 
 これまで自分がいかに、
 守られていたのか、
 痛感します……
 
 同胞たちに、信仰に、
 光り輝く偽りの全てに」

「光しか知らぬ日々は幻と消え、
 これから身を晒すは、
 最も深い寒さ、闇、孤独。
 見通しもない。
 道しるべもない。
 ちょうど、この道のように。
 
 そこにひそむものを学び、
 見極め続けていきたい。
 その姿勢にのみ、真なるもの、
 善なるものは表れる」

『夜明け前の我が道を行け』
 
 この言葉から、
 我が新たな信仰は始まる。
 そう決めたのですから。
 
 ね、フレイグ。
 
 ……よし!
 元気出てきました!
 改めて、
 騎士団の砦に向かいます!」

「時に人と正面からぶつかり、
 時に泥にまみれ、
 試み、傷つき、疲れ果てても、
 己を磨いてゆきましょう!
 
 やっぱり、そんな生き方が、
 不器用な私には
 お似合いですから!
 
 ──さあ、本当の、
 信仰の旅が始まりますよ!
 
 頑張りましょう、皆さん!」

『ギ・クロニクル』End B_002

巫女は口をつぐみ、視線を上げて、より力強い、一歩を踏み出す。

長い旅路の果てに得た、自分だけの力と、希望を胸に。

やがて吹雪は止み、夜は明ける。

かくて、偽典もまた、祝福されたのでした。

めでたし、めでたし、ってね。

【ギ・クロニクル 完】

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