
【ゲーム概要】
テレビ局のカメラマンとなり、報道クルーとともにクリーチャーの跋扈するシカゴ市内の様子を撮影していくインモラルアドベンチャーゲーム。仲間や生存者の救助を行うか、わざと見捨てて過激なシーンの撮影を行うか、はたまた性的なシーンを撮影するかの判断がプレイヤーに委ねられており、どれだけモラルを重視したかによって、エンディングが変化する。
編集部ひとことレビュー
本作を語るうえで、まず確認しておきたいのは、このゲームが“ホラーゲーム”であるということ。プレイヤーは作中のテレビカメラマンとしてファインダーを覗いた状態でストーリーを進めるわけだが、画面上の何にフォーカスを合わせるかを比較的自由に決められる。重要そうな手がかりに注目するのはもちろん、女性リポーターの胸元やヒップラインを狙うのも気分しだい。
その注視した先によって鳴り分けられるSEも、このゲームの魅力のひとつとなっている。シリアスなシーンや重要な情報で鳴り響くSEはもちろんあるが、セクシュアルな雑誌を発見したり、アダルトサイトが映ったPCのモニターにズームしたりすると漏れ出す、セクシーな吐息とお色気SE……。このような、どうでもいい情報の入手シーンに力の抜ける効果音が突拍子もなく鳴るあたり、かなり自由奔放な演出だ。このように、ホラーというフレームは崩壊寸前なのに、なぜかこのB級っぽさがクセになり、プレイヤーはグイグイとゲームに引き込まれていくのだ。
たとえばモンスターに襲われ、人ならざるものとなった女性が、倒れた脚をM字に開いたまま主人公たちに迫り来るシーンなど、笑うべきか怖がるべきか悶々とすべきか自問したくなる。また、音声スタッフやリポーターなど同行クルーのオーバーリアクションや台詞回しのとぼけっぷりは、このタイトルが“ホラーゲーム”であることを忘れさせる一員となっている。これらの要素が綿密な計算の上で作品に込められているなら、やはり須田剛一氏は天才なのだろう。
計算ずくなのか、ある種の天然なのかは定かではないが、ひとつだけ確信して言えることがある。それは、陰鬱なイメージを基調とするホラーゲームというカテゴリーの中で、『Michigan』は突き抜けた異彩を放つ作品であるとともに、サイテーでサイコーな突っ込みどころ満載の愛すべきゲームであるということだ。恐怖と笑いは紙一重。それらが渾然一体となった魅惑的な世界を味わわないのはもったいない。
(動画投稿:Kugaiさん)
michigan
発売年月日 | 開発元/発売元 | プラットフォーム |
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2004年8月5日 | グラスホッパー・マニファクチュア/スパイク | PlayStation 2 |
特記事項 | ||
なし |
(C)2004 Spike