電ファミのファンクラブ「世界征服大作戦」では、月額20万円の「ゴッドプラン」という協賛プランを設けており、その協賛者にはお礼としてインタビューを実施している。
本稿はその「ゴッドプラン」協賛者へのインタビューとなる。
その記念すべき一人目は、元女流プロ雀士という異色の経歴を持つ人物だった。
彼女の名前は、夏川七七氏。
かつて日本プロ麻雀協会に所属していたプロ雀士であり、セガのネット麻雀『MJ4 Evolution』や『MJ5』にもプロとして参戦。
2008年~2010年にかけて精力的に活動し、『近代麻雀』や『週刊アスキー』、ニコニコ動画にも出演していた。
タイトル戦決勝に進出するほどの活躍を残した夏川氏であったが、ネット麻雀界の強者たちと自身のプロ雀士としての実力との乖離に思い悩み、うつ状態にはまりこんでしまう。
2013年度からリーグ戦を欠場し、引きこもりとなり、2016年にはプロ資格を返上するに至った。
そのつらい引きこもりの時期に、自分を最も癒やしてくれたのはゲームだった、と夏川氏は語る。
とりわけ彼女の心の支えとなったのは、2013年にコーエーテクモゲームスから発売されたハンティングアクションゲーム、『討鬼伝』【※】だ。
※『討鬼伝』
コーエーテクモゲームスより2013年に発売されたPS Vita・PSP用ハンティングアクションゲーム。プレイヤーは特別な力を持ったモノノフの1人となり、世界を滅びの危機から救うべく、この世に現れた異形の存在・“鬼”に立ち向かっていくことになる。
夏川氏の『討鬼伝』へのハマり具合はすさまじく、トロフィーコンプリート(トロコン)や武器防具の全品作成では飽き足らず、他言語版にまで手を出し、そちらもトロコン。
『討鬼伝』に様々な要素が追加された改良版『討鬼伝 極』も含めると、総プレイ時間は3000時間にも及ぶという。
それだけでなく、彼女は『討鬼伝』が紡ぐ物語に自身の境遇を重ね合わせた。「たとえフィクションでも、『つらいのが自分だけではない』と思えたのはありがたかった」。
そうして彼女の気持ちは本当に救われたのだという。
これは、ひとりの女性がゲームに救われた話である。そして、ひとりの女性がゲームへの恩返しを志した話である。
どうして電ファミに20万円もの支援を?
──まず、どうして夏川さんがゴッドプランでの支援をしてくれたのか、その理由をお聞きしたいと思います。
夏川七七氏(以下、夏川氏):
まず第一に、昔からゲームが好きで、引きこもり中に自分を最も癒してくれたのがゲームだったので、ゲーム業界に自分が貢献できることがあるのであれば、何かしたいと思ったからです。
メディアとして、電ファミさんはとても素晴らしいと常々思っていたので、お金の問題で倒れてしまうのであればとても残念だと思いまして。
もうひとつ、「私の存在が電ファミの記事になる」ことを想像したら面白かったからです。
今後私がゲーム関係のイベントに行って、「あ、電ファミのゴッドだ」と思われるようになったら面白いな……と思ったり、今後の私の名刺になってくれないだろうか、という希望があったりします。
20万支援する余裕があるのは当月だけなのに、図々しい話でしたらすみません。
──いえいえ、まさしく夏川さんがそうしたように、ゴッドプランがいわば“ハック”されることもあるだろうな、と考えていました。それはそれで面白いかな、と思っていますのでお気になさらず(笑)。
まずは、初のゴッドプランの加入者が実はプロ雀士だったというところが、読者が驚くポイントかなと思いますが。
夏川氏:
はい、無名の一般人を装ってもよかったんですが、昔メディアに出てた身ですし、せっかくなので昔の名をまた出させてもらいました。
電ファミのDiscordに「ゴッド」で追加された時、「アイアムゴッド!!」って名乗るのもどうかと思って静観してたんですが、他の方が「God is nanatem」【※】って言ってくれたんで名乗った感じで。
「おれが!おれが神!!」という感じはあんまり出さずに、「パトロンの一人です」というスタンスです。
──なるほど。そういえば、他のユーザーさんからの反応ってあったんですか?
電ファミファンクラブの面々はわりとみんな大人なので、変に騒いだりってこともなさそうですが。
夏川氏:
特にないですねえ。名前の色が違うので存在が分かりやすいってくらいかと。
自分は麻雀打ちなので、金銭感覚がちょっと狂ってる友人が多いんですが、私は自分はマトモだと自負しておりますので。一撃20万の支援は、ボタンを押した瞬間ちょっと体温が上がりました(笑)。
──へえ、麻雀打ちって金銭感覚狂いがちなんですか? その辺のエピソードはちょっと気になるかも。
夏川氏:
麻雀プロの活動には意外とお金がかかるんです。
所属団体への年会費やリーグ戦のエントリー費用に、タイトル戦にエントリーする場合は運営費みたいなものを参加料として払わなきゃいけません。
プロを辞めて活動費の支出がなくなったおかげで、20万を出せた、みたいなところはあります。
──プロの方が支出が多いってのも面白いですね。じゃあ、そうとう上位じゃないと儲からないってことですか?
夏川氏:
そうなんですよ。
──へえ、まぁなんでもそうですけど、厳しい世界だ。
夏川氏:
これ麻雀界では常識なんですが──麻雀界の人間に周りが固められてるのでちょっと変な目線の発言かもしれませんが、麻雀プロは基本的に食えない職業なんです。
なので、「食えない肩書なのに「プロ」を名乗ってて恥ずかしくないの?」という話題は麻雀界のアマチュアから定期的に投げられます……。
──そもそも、プロ雀士の収入源って、何になるんですか?
夏川氏:
主な収入源は、サラリーマン、OLなどの本業がある人は本業で、会社勤めをしてない人は、だいたい雀荘勤めですね。
常勤の雀荘がない人は、いろんな雀荘にお呼ばれして日当をもらう「ゲスト」活動で稼ぎます。
これは余談なんですが、雀荘勤めからプロになった人は失踪というか、行方知れずになることが多いんですよ。いつの間にか消えてて足取りも分からない。
──えっ、失踪……?
夏川氏:
もちろん本気で探せば見つかる話だと思いますが、プロ団体から消えた後、誰も消息を知らない、みたいな。
若いころの道楽みたいな位置づけなのかな。短期間だけプロ活動してフェードアウト、その後の行方はようとして知れず……という人が雀荘勤めのプロだと比較的あります。
光の世界へ行ったのか、はたまた闇へ向かったのか、知るすべはない……。
──プロ時代の夏川さんはどのくらい麻雀をやってたんですか?
夏川氏:
私は元々大学生のバイトで、東銀座のコスプレ雀荘で働いていたんですが、「もっと強いメンツでバシバシ打ってみたいな」と思ってプロ試験受けたんです。
その頃はバイト先で麻雀、週末も人が集まれば麻雀、みたいな感じで打っていました。プロになってからは週末の麻雀がリーグ戦になりました。
まあその東銀座の雀荘はつぶれちゃって、その後は公式対局(リーグ戦)と、ネット麻雀の『天鳳』って感じです。
──なるほど。なんで麻雀プロを辞めたのか、は少し掘り下げたいですね。
夏川氏:
シンプルですが、ネット麻雀のみんなが強いからです!
ネットで鬼打ちしてる人たちって本当に強くて、リアルでしか打ってない人とは打数が比較にならないし、メンタルの強さも相応にあるし。
そういう人たちと自分を比べて、全然自分はダメだなって。
──ちなみに、聞きづらい部分ですけど、落ち込んだきっかけって何かあったんですか?
夏川氏:
これだ、というものがはっきりあるわけではないんですが、きっかけのひとつは「タイトル戦の決勝に残ったこと」だろうなあと思います。
タイトル戦と言っても、自団体の女流雀士だけが出られるものだったので、勝ち残りやすかったんです。優勝すればタイトルホルダーになって、箔が付くわけですね。
──ふむふむ。
夏川氏:
ハクが付いて、やったーおめでとう、で済ませられれば話は単純なんですが、自分の場合、麻雀界に何を還元できるのか、貢献できるのか、っていうことをその時考えてしまって。
麻雀がつたない自覚はあったので、もしタイトルを取って、「女流雀王に解説していただきます!」みたいな機会が来たとき、「こいつ麻雀全然ヘタなのにタイトル取っちゃったやつか……」とか視聴者に思われたら死ぬな、と思って。
──ふーむ。
夏川氏:
とにかく、自分に自信がなかった。応援してくれた人に怒られると思って黙ってましたけど、決定戦に残ったのにタイトルが欲しくなかった……。
「自分が麻雀業界を牽引できるのか?」「無理!」という。
井の中の蛙でいられたら幸福だったんだろうとは思うんですが、ネット麻雀の存在を無視できるほどアンテナ低く生きることもできなかったんです。
「ゲームに没頭している間はゲームのこと以外に集中しない。雑念が消えるんです。」
──もっと気楽に考えられたらいいんでしょうけど……。ともあれ、そんな流れでプロ雀士から身を引いて、しばらく引きこもってしまうわけですけど、そこからゲームを遊べるようになるまでに、結構時間かかったりしました? それとも割とゲームはすぐにいけたのかな。
夏川氏:
むしろゲームしかしなかったですね。
最近、ツイッターで「孤独な人に最後まで寄り添えるのがゲームだ」っていう言説があったんですけど、まさにその状態。
──世間一般のイメージだと、「孤独にゲームを遊んでいると余計ダメになる」みたいな感じはあると思うんですが、夏川さんの場合は逆にゲームで癒やされた、立ち直った感覚があるんですよね?
夏川氏:
ですね。
──そのあたりの話を、できるだけ具体的に聞きたいです。
夏川氏:
鬱というのは見たまんま、めちゃくちゃ画数が多くて込み入った字をしていますが、状態としても頭の中が考えなくてもいいようなことでゴチャゴチャなんですよね。
だからまずは心のありようをもっとシンプルにしたほうがいい。
で、ゲームに没頭している間はゲームのこと以外に集中しない。雑念が消えるんです。
これは本当にすばらしく、ありがたいことです。
──なるほど、分かりやすい。最近、「うつ病とゲームに相関性はなく、SNSとテレビにはある」という記事が出ていましたけど、SNSなんかは雑念増えそうですもんね。
夏川氏:
「うつ病とゲームに相関がない」っていうのは、いいぞもっと言ってくれ、と思いました。
SNSはかなり狭い範囲でツイッターだけやってますが、キラキラしてる友人を見てられなくてフォロー外したりとかは普通にしてますね!
ちなみに、病んでいるときに一番ハマったゲームジャンルは「time management」です。日本語にすると「時間管理」とかにされて、なんかすごいつまんなそうに見えちゃうんですが(苦笑)。
──知らないなぁ。
夏川氏:
たとえばスイカは60秒で実るけど、クローバーは15秒で実る。このステージのクリア目標がスイカ2個とクローバー4個の納品だった場合、動線としては真っ先にスイカを植えるべき。
といった感じで、時間あたりの効率を追求していくゲームですね。買い切り型の農場ゲーで結構あるジャンルです。
具体的なタイトルを上げると、『Ranch Rush』とか。スマホ用のタイトルだと『Hobby Farm Show』、『Farm Mania』あたり。
──なるほど。パズルっぽい感じなのかな。なんか結構面白そうだ(笑)。
夏川氏:
たしかに「time management」にはパズル的な要素がありますが、貯めたお金で道具や施設をアップグレードできるんです。
だから、正解を見つけないと詰まるパズルゲーと違って、「主人公の足を爆速にする」などの脳筋打開が可能なところも魅力です。動線とか効率とか無視したクリアが案外可能ですね。
──これを遊んでると雑念が消えるってことですか?
夏川氏:
めちゃ忙しいので雑念が消えます!! 1秒もムダにしたくない(笑)。
とにかく忙しいので雑念が消えるのが最高なのですが、やることは作業なので、「考えることの多い書経」と言ってもいいかもしれません。
「time management」は短時間で1面が終わるので、「うまくできた」という成功体験が短時間でガンガン積みあがっていくのが快感でもあります。
自己肯定感の少ない鬱状態には結構効果が高いのではないかと思います。私個人に限らず。
──一般的に、エンタメって「非日常」であることとか、現実からちょっと離れるところに価値があるって言われていますけど、夏川さんの視点というか指摘も面白いですね。雑念がなくなる効果か。
『討鬼伝』を3000時間プレイ。トロフィーコンプは当然、他言語版にも手を出す
──雑念が消える以外に、ゲームで癒やされた感覚って、ほかにあります?
夏川氏:
『討鬼伝』はお話も操作性もどストライクで、本当に癒されました。『討鬼伝』にハマった経緯はかなり個人的なものになるんですが……。
もともとは『モンハン』にハマってたのに、PSPで『モンハン』の新作発売が絶望的になってしまって。
しかし、こっちはめちゃくちゃやり込んだので、狩る技術はある。
──ああ、『モンハン』がWiiやDSにいってしまった時期ですか。
夏川氏:
モンハン持ち余裕!なのに、このPSPの特殊な持ち方はもう生きる機会がない。
その時に現れたのが『討鬼伝』ですね。
そもそも『MH4』が2013年の3月に発売予定だったのが、半年伸びて9月になったんです。『討鬼伝』はその空白を埋めるかのように、6月に発売されたので、『MH4』が予定通り発売されていたら、『討鬼伝』には出会ってなかった。
麻雀はもうあかん、『モンハン』も3DSだからPSPの技術はいらん、という時に救ってくれたのが『討鬼伝』だったんです。
「まだ生きる場所があったよ!」という、すごく個人的なハマり方です。
──ちょっと面白い(笑)。確かに個人的なハマリ方ですね。『討鬼伝』はどれくらいやり込んだんでしょう?
夏川氏:
トロフィーコンプは当然として、武器・防具も全て作りましたね。
『討鬼伝』はたび重なるアップデートで、装備に作ったことがあるかどうか、チェックボックスが付くようになったんです。「じゃあ全部チェック付けるわ!」と。
──それをやるのにどのくらい時間かかるものなんでしょう?
夏川氏:
『討鬼伝』無印はプレイ時間としては500時間くらいなんですが、『討鬼伝 極』【※】に引き継いでからさらにプラス1000時間くらい。ちなみに、トロコンにかかるのは200時間くらいです。
プレイ時間を全部足したら、3000時間はいってますね。PSP版だけじゃなく、PSVita版もPS4版もやってますので。
あと、『討鬼伝』が好きすぎて、知り合いの台湾土産に中国語版の『討鬼伝』をリクエストしました。で、中国語版もトロコンしています。
※『討鬼伝 極』
コーエーテクモゲームスより2014年にPS Vita・PSP、2015年にPS4向けに発売された。『討鬼伝』の全内容に加え、続編となる新規シナリオや新たな“鬼”、新種の武器などを追加した改良版タイトル。
──ほうほう。
夏川氏:
あと『討鬼伝 極』をトロコンして、やることがなくなってつらくて、北米版をアマゾンで個人輸入しました。これも当然トロコン。
日本以外のバージョンはDLCに対応してないので、素材集めが楽になるDLCが一切使えない縛りでのトロコンでした。でも、めちゃくちゃやってて楽しかった。
──そこまで遊んで貰えると、作った人も嬉しいでしょうね。
たとえフィクションでも、「つらいのが自分だけではない」と思えたのはありがたかった
夏川氏:
それともうひとつ、『討鬼伝』のストーリーにはすごく励まされたんです。これは震災が絡むウェットな話になってしまうのですが……。
──というと?
夏川氏:
震災が起きる前、まあ鬱々としていたわけなんですが、天変地異が起きて、多くの方の命があっというまに消えてしまって。
「ここに死にたい人間がいるのに、どうしてそうじゃない人が死ななきゃいけなかったんだろう」っていう辛さがあったんです。
震災後しばらくはその状態を引きずっていたわけなんですが、『討鬼伝』は、たぶんある程度意識してると思うんですけど、「オオマガドキ」という災厄で日の本の人口がどーんとなくなった世界で、震災後の日本と重なる設定なんですね。
──なるほど。
夏川氏:
それで、出てくる主要なNPCたちが、「自分は置いていかれた」という意識を持っているキャラが多いんですね。
「私だけじゃないんだ」という思いが投影できて、ぐっとのめり込んだし、たとえフィクションでも、「つらいのが自分だけではない」と思えたのはありがたかったんです。
4章でメインの出番がある「息吹」なんかは自分を指して「役立たずが生き残った」というようなことを明言してるし。
『討鬼伝』は、そうした「生き残ってしまった人たち」の物語である一方で、とりわけ「桜花」がメインになる5章では、「残された命を粗末に扱う」ことを諫めるお話でもあるんです。
「自分が犠牲になればみんな良くなる」という、ある種の独り善がりな思想に対し、「死んで英雄になられるより、生きてずっとそばにいてほしい」というストレートな思いを主要キャラが伝えるシーンは、ベタで王道的な内容ではあるのですが、非常に心打たれました。
このメッセージは、「死ぬことで自分を美化したい」思いを抱いたことがある人、とくに多感な10代の子に届いてほしいと思います。
──なるほど。そこまで汲み取って遊ぶ力があるというのは、ひとつの才能ですね。
夏川氏:
創作からアレゴリー(寓意)を汲み取ることは常にやってますね。大学の専攻がそんな感じの内容だったので……。
──でも、『討鬼伝』の作者が、本当に震災のことを踏まえてそういうシナリオを書いてたのだとしたら。そして、それが夏川さんの気持ちを救ったのであれば、それは素敵な話ですね。
夏川氏:
そうであってくれると私も嬉しいです。
──それこそ、エンターテインメントの役割そのものだって気がします。
夏川氏:
『討鬼伝』のやり込みには、「もしまた起きる震災を自分が防げるのなら、頑張りたい」という投影もありました。
──『討鬼伝』のインタビューをしなければいけない気もしてきました(笑)。電ファミに支援金を出してくれたのも、遠回し(?)だけど、そういったゲームやゲーム業界に対しての恩返しがしたい、みたいな意図だってことですかね。
夏川氏:
そうですね! 支援金の20万円には、電ファミさんへのご祝儀という面だけでなく、引きこもりを卒業して新しいことを始める自分への景気付けの面も持たせています。
最後に、『討鬼伝』に絡めてひとつだけ。
『討鬼伝』の主人公は「ムスヒの君」と呼ばれる、人と人を結ぶ(繋ぐ)キャラクターなんですよね。
私も「ムスヒの君」になれるものならなりたいのです。
とはいっても、実際に人と人を結ぶような活動はしてないので、そこはTAITAIさんに、電ファミさんに託すということで、どうかよろしくお願いします。(了)
作品にはそれを作ったクリエイターの想いが込められている。だからこそ、夏川氏のようにそれを受け取る人がいる。
同じ作品を3000時間遊び、これほどにまで純粋に、それに込められたものを受け取る人がいるということは、作品にとっても、クリエイターにとっても幸福な関係だと言えるのではないだろうか。
エンターテインメントの意義が、その語義どおり人を楽しませ、喜ばせ、そのことで落ち込んだ気分を癒やしてくれるものであるとしたら、夏川氏にとって『討鬼伝』というゲームはまさしくエンターテインメントそのものであった。
彼女が語った体験は、ゲームが単なる暇つぶしや商品に尽きるものではないことの証左でもある。
そうしてゲームに救われた夏川氏は「ゲームに恩返しをしたい」と思い立ち、その想いを電ファミに託した。
その切なる願いを、我々は責任をもってゲーム業界へと“結び”たいと思う。
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