ありきたりの導入で恐縮だが、誰もが一度は「英語で会話ができたらなあ」と思ったことがあるのではないだろうか? 昔から話題になる議題のひとつではあるが、インターネットやSNSの普及、個人の発信力拡大により、言語の異なる海外の方とコミュニケーションをとる機会は着実に増えている。
たとえば、ゲームやマンガ、映画など、エンタメ作品について、各国の反応や感想を確認したり、SNSで意見を交換したり。とくにゲーマーであれば、「オンラインゲームで海外の方といっしょにプレイしている」という方も多いだろう。最近ではAI翻訳が高性能化し、一般的になったことで、海外の方とのコミュニケーションは以前よりも気軽に行える印象がある。
とはいえ、流暢な英語で会話ができれば、それがいちばん。英会話教室に代表されるように、英語を学べる施設や場所は増え続け、現在はビデオチャットを用いて、家にいながら気軽に外国人と会話をすることも可能となっている。古くは“駅前留学”という言葉が一般化したが、英会話学習は進化を続け、より身近なものとなっている。
しかし、外国語で会話をするというのは、慣れないうちは気恥ずかしさも手伝い、なかなかにハードルが高いというのも事実だ。
そこで、ゲームメディアである弊誌がオススメしたいのが、2022年4月29日にでらゲーから発売されたNintendo Switch用ソフト、『ベティア ペラペラ英語アドベンチャー』(以下、『ベティア』)だ。
『ベティア』は、“イマージョン体験型”の英語学習ゲームをうたっており、ゲーム中の英会話監修には敬愛大学英語教育開発センター長、国際学部国際学科教授の向後秀明氏が携わっている。動画で向後教授が述べているように、“イマージョン”は“外国語が使われている世界に浸る”という意味で、海外留学のように英会話の世界に飛び込めるのが『ベティア』の特徴となっている。
『ベティア』で本格的な英語学習が行える理由のひとつに、プレイの際にはマイクが必須であることが挙げられる。マイクを使って英語を話すことにより、さまざまなキャラクターとコミュニケーションをとり、悩みを解決するなどしてゲームを進めていくことになる。モンスターとバトルで対決するシーンがあったりと、英語学習ゲームでは珍しく、ゲーム性を内包しているのも特徴的だ。
話しかける相手はゲームのキャラクターなので、当たり前だが気恥ずかしさを感じることはなく、いつでも好きなタイミングでプレイできる『ベティア』。先述した「外国語で会話をするというのは、慣れないうちは気恥ずかしさも手伝い、なかなかにハードルが高い」という問題を見事にクリアしている。
『ベティア』の想定ユーザーは、下記資格相当の方となるが、それ以上の方でも楽しめる内容となっているし、同時に英語初心者の方もプレイしやすい英語レベルになっているとのことだ。
<『ベティア』想定ユーザー>
英検®5級~3級程度
英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討をうけたものではありません。TOEIC® LISTENING TEST 110未満/TOEIC® READING TEST 115未満
TOEIC® SPEAKING TEST 90未満/TOEIC® WRITING TEST 30未満
TOEIC is a registered trademark of ETS. This package ( advertising, Web site ) is not endorsed or approved by ETS.
本ソフトは、文部科学省が掲げる国際的ガイドライン『CEFR』(ヨーロッパ言語共通参照枠)のPreA1~A1相当に対応した内容となっております。
さて、前置きが長くなったが、『ベティア』のイマージョン体験とはどういったものなのか? また、プレイすることで実際にどの程度の英語力が身に付くのか? 学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校の生徒さんに1週間ほど『ベティア』をプレイしていただき、その触り心地について話を聞いてみた。
■プロフィール
N高等学校・立川キャンパスに通う高校3年生のしもひらさん。おもしろいことにはなんでも挑戦してみたいという積極的な性格で、今回の企画にもふたつ返事で承諾いただいた。将来の夢は、演劇に携わる仕事に就くこと。
※この記事は『ベティア ペラペラ英語アドベンチャー』の魅力をもっと知ってもらいたい、でらゲーさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
新たな英語学習のツールとして手に取った『ベティア』
──『ベティア』のどういったところに興味を持ったのですか?
しもひら:
英語についてはもともと興味があって、「英会話ができたらきっと楽しいんだろうな」と思いながら英語学習を続けていました。でも、高校2年生のときのテストで、けっこう低い結果が出てしまい、そこから英語力のレベルを上げるために勉強しようという気になっていったんです。インプットばかりですけど、「英語っておもしろいな」って思いながら取り組めるようになっていって。
──どういった内容の試験だったのですか?
しもひら:
学校が指定する、筆記とリーディングの問題を30分ほどで解くものです。もともと勉強はそれなりにできるほうだったのですが、今回の結果は「ちょっとヤバイな」と火がついて。それで、ちょうど英語が勉強できる、教材みたいなものを探していたんです。
──そんなピッタリのタイミングでの声がけだったんですね。
しもひら:
学校から電話があり、今回の企画の話をいただいたのですが、「おもしろそう!」と思ったので、電話口でふたつ返事で受けさせていただきました(笑)。
──ちなみに、これまでは英語をどのように学んでいたのですか?
しもひら:
単語帳のように単語が学べる『mikan』というアプリがあって、それを使って勉強しています。1日の目標数を設定して、「この単語の意味は?」という問いに答えていくものです。このアプリは1年生のころから継続して使用しているのですが、ちょうど、もっと別な方法でも英語を勉強してみたいなと思っていたところだったんです。スピーキングが鍛えられる、ステップアップした教材がないかな、って。まさかその教材がNintendo Switchのゲームになるとは予想していなかったので、私自身、かなりおどろいています(笑)。
──しもひらさんは小学校で英語必修化が実施される前の世代ですよね。
しもひら:
そうですね。ただ、小学校低学年のときに、英語の先生がきて少し英語に触れるという授業はありました。本格的に授業としての勉強がスタートしたのは高学年になってからですね。
いまは小学校から英語の授業がありますし、どんな仕事に就こうと思っても英語に触れる機会が多い時代だと思っています。必須とまではいかないにせよ、できたほうがいいんじゃないかなと私は考えていますね。
──英語ができることによって、選択肢の幅も広がりますしね。しもひらさんが、学校の授業のなかでもとくに英語に力を入れようと思われているのには、何か理由があるのですか?
しもひら:
同じ学年の友だちにすごく勉強ができる子がいるんですね。「英検で何級をとる」と具体的な目標を掲げているのを見て、その姿勢がカッコいいな……と憧れていて。あと、私は演劇が好きなのですが、演劇は海外にすごくレベルの高い劇団がいくつもあって、文化としても非常に浸透しているんですよね。進路というか将来を考えたときに、海外で働いたりとか、留学をしてみたいなと思っているので、それなら英語を話すことができないとダメだなと。
もともと外国には興味があったので、進路の話を両親と話していたら、父も母も留学の経験があって、私も留学したいと思っていたんですけど、やっぱりこのご時世もあるし、自分自身の学校でのスケジュールもあるし、ってことでなかなか進められずにいて。
──コロナ禍がなければ留学していたかもしれないわけですね。
しもひら:
外堀を埋められたら行っちゃうようなタイプなので、自分がどこにいきたいとか、どんなこと学びたいとか、詳しいことをなかなか決められずにいたので、それさえ固まっていてれば、2年生のとき行っていたかもしれませんね。
英語で話す人が世界でいちばん多いとか、英語で読める本は日本語のものよりはるかに多いとか言いますよね。私は本を読むのが好きなので、そういうことを知ってしまうとそわそわしちゃって(笑)。英語ができればより多くの経験ができたり、より多くの知識を得られることに繋がるので、英会話はできるようになりたいなと、いつも思っていました。そういう前のめりな気持ちはずっとありましたね。
──ちなみに、これまで英会話を能動的に行う場面や経験はあったのですか?
しもひら:
中学に上がる前だと思うんですけど、父親の会社関係で我が家にホームステイにきた外国の方がいて、英語を話す機会はあったんですけど、そのときはみずから進んで話すタイプではなかったので……。
──たしかに、小学生だとなかなか難しいですね。気恥ずかしさがなくても、どう話していいかわからないですから。
しもひら:
そうなんです。挨拶くらいしかできなくて。いまだったらいろいろ話せると思うんですけど。そういう悔しさもあって、英語力を身につけたいなと。
スピーキングって、聞き慣れないとか、英語で話している人が周りにいないとか、身近でありながら身近でないという問題がありますよね。いざ英語を話そうとしたときに、反射的に固まってしまうというか、身構えてしまったり。『ベティア』でそれを払拭できればと、企画の話を聞いたときにとてもワクワクしました。
──英語を学ぶうえで目標みたいなものはあるのですか?
しもひら:
直近としてはこれからあるであろう英語の学力テストで目標のレベルに到達することなんですけど、野望として抱えているのは『ハリーポッター』を原書で読むっていうのがあって。その気持がはやるあまり、じつはすでに原書を買っているのですが、開かれないまま置いてあって(笑)。いつか原書で読んでみたいと思っています。
弟のNintendo Switchで『ベティア』をプレイ
──実際に『ベティア』をプレイしてみてどうでしたか?
しもひら:
ふだんはゲームを積極的にプレイするタイプではなかったので、こんなにゲーム機に触れたのは初めてで。生まれてはじめてテレビにつないでいないNintendo Switchをプレイしました(笑)。
──操作に戸惑ったりはしませんでしたか?
しもひら:
最初は戸惑いましたが、画面が見やすく、使用するボタンも少なかったので、30分くらいプレイしたらすぐに慣れましたね。
──ちなみに、Nintendo Switchはご自身のものですか?
しもひら:
中学3年生になる弟がいるのですが、Nintendo Switchは弟のものです。「使うから貸して」と言って弟から借りてきました。ふだんゲームを遊ばない私が「Switchを貸して」と言ってきたので、弟もびっくりしたと思います(笑)。
──だとすると、今回のゲームプレイはかなり新鮮だったのでは。
しもひら:
ゲームをプレイするという新鮮さもありましたが、マイクを使って英語でゲーム中のキャラクターに話しかけるというのは、これまでにない経験だったので、とても新鮮でした。
私はスピーキングがあまり得意ではないので「ちゃんとプレイできるかな?」と思ったんですけど、何を言えばいいのかは字幕で出てくるし、発音のお手本も明確なので、すごくプレイしやすかったです。基本的に登場する文章やボイスは全部英語なのですが、「どうすればいいの?」と途方に暮れることもなく、スムーズにプレイができました。
プレイする前は『脳トレ』のような、学習的な内容を想像していたのですが、『ベティア』はゲームっぽいシステムになっているので、とても楽しく体験できましたね。ビジュアルの雰囲気や登場するキャラクターのかわいさも「いいな」って(笑)。
──ふだんゲームをプレイしないしもひらさんでも、入りやすかったと。
しもひら:
そうですね。画面にヒントが出てくる場面もあるし操作も簡単なので、私のようなふだんゲームに触らないタイプの人でも、手軽に取り組めると思います。
──1週間、どういったタイミングでプレイをされたのですか?
しもひら:
用意されているミッションがけっこうな数があるので、「このミッションまでクリアーしよう」と、時間を区切ってプレイすることが多かったですね。
──まさに課題っぽい考え方、遊び方ですね。マイクを使ってプレイするということについて、もう少し詳しく聞かせてください。
しもひら:
スピーキングを人に聞いてもらう機会はなかなかないので、実際にフレーズやイントネーションが正しく話せているのかは、自分ではわかりにくい部分なんですね。でも、『ベティア』はそれをダイレクトに採点してくれるので、「これすごい!」と思ってプレイしていました。
相手が聞き取れなかったときはそう返してくれますし、そのほかにも「ここがダメだよ」って教えてくれるので、「自分のこの発音が間違っているのか」と明確にわかるんですね。
「聞き取れないよ」という英文にもかなり種類があって、「こんなにいろいろな言い方があるんだ」と驚きましたし、勉強になりました。
──そういった発見もあったんですね。実際に人と話す場合は気恥ずかしさがあると思うのですが、『ベティア』ではどうでしたか?
しもひら:
そういった気恥ずかしさがまったくないのはいいですよね。ゲームだと割り切れますし。ただ、部屋に響き渡る自分の声にちょっと「うっ」となることもありましたが(笑)。これまでに経験したスピーキングの授業よりも、やりやすさややり応えをすごく感じました。
プレイしていて発見だったのが、自分のスピーキングの速度についてです。私の発音が早口すぎてゲームのキャラクターから「聞き取れないよ」と言われることがけっこうあったんですね。「私、意外と早口なのかも」と気づけたので、スピーキングに対する自分の課題が早くも見つかった気がしています。
──「ここが難しかったな」と感じたところはありましたか?
しもひら:
やさしく作られているのが伝わる内容でしたから、とくに難しかったところは……。あえて言うなら、アイテムや世界観の説明で長文が流れてくるときに、若干わからないところがあったくらいかな? でも、それは私の英語力の問題ですので、ゲーム的には難しいところはなかったですね。
日本語訳が出てこないゲームなので、ある程度基礎を固めた、中学生くらいの人ならプレイしやすいかなと思いました。
──ふだんはゲームを遊ばないお姉さんがNintendo Switchを、しかもマイクで英語を話しながらプレイしている姿を見て、弟さんはどんな反応だったのですか?
しもひら:
「英語学習のゲームをプレイする」といった説明はしていなかったのですが、とくに何も言われませんでしたね。「何してるんだろう?」とは思っていたのかもしれませんけど(笑)。
──弟さんに勧めてみたら、ハマるかもしれませんね(笑)。
しもひら:
「英会話のゲームだよ」って勧めると遊ばないかもしれませんが、中学3年生くらいになればわからない単語が出てきても進められると思うので、意外と向いているかもしれませんね。
──『ベティア』はRPGの要素もあるので、ゲーム好きなら一度プレイしてみてもいいかもしれません。
しもひら:
キャラクターの悩みを解消して、ミッションをクリアーして、報酬をもらって、っていうのがすごくゲームっぽいですよね。RPGをプレイした経験はそんなにないのですが、「これがRPGの魅力なのかな」と感じるところはありました。
ミッションの数も多いですし、プレイしていったらどんどんできることが増えていくので、主人公の成長を見届けていきたいなって思いました。終始“勉強”という感覚がなくプレイできたので、ゲームが好きな人で英語をもっと学びたいという人には、本当におすすめですね。
──これからもぜひプレイを続けてみてください。テストの点数が上がること、『ハリー・ポッター』の原書を読むときが訪れることを期待しています。
しもひら:
ありがとうございます。あと、我が家は父が英語ができるほうなので、映画を観るときに「吹き替えじゃないほうがいい」って言うんですよ。それにつられて私も日本語字幕で見ていて、「この言い回し、こういう言い方するんだな」っていうのをちょくちょく聞き取るとか感じるとか、そういう瞬間はすごくおもしろくて。私がいちばん好きな映画は『グレイテスト・ショーマン』なのですが、『ベティア』で英語力をあげて、英語字幕で観たいと思います。
──ありがとうございました。(了)
駅前留学が流行った昔も、ネット英会話が当たり前になったいまも、英語は大事だと思いつつ、なかなか一歩が踏み出せない。筆者自身もその例にもれなかったわけだが、しもひらさんも「外堀を埋めてくれれば」というタイプだっただけに、『ベティア』はピッタリのゲームだったと感じるインタビューだった。
インタビュー中、しもひらさんにモニター用に渡したソフトで今後も遊べると伝えた際、「すごくうれしいです! これからもプレイを続けて英語力を上げます」と笑顔で答えてくれたことが印象深い。「では数ヶ月後にどれだけ英語力が上がったのか、改めて取材をしてもいいですか?」と伝えたときにも、しもひらさんは笑顔で「はい、ぜひ!」と答えてくれた。
いわゆる学習系のゲームでこんなによろこんでもらえることは、あまりないように思える。冒頭で述べたように、『ベティア』がうたうイマージョン体験は“外国語が使われている世界に浸る”というもの。ゲームというバーチャルな空間だからこそ、海外に行かずとも、そのシチュエーションが生み出せるというわけだ。
ゲーマーがキャラクターのレベルを上げ、武器や防具を買い揃えてクリアを目指すのと同じく、しもひらさんが自身の英語力を向上させ、単語や文法、言い回しを学んで『ベティア』のクリア、そして自分の「演劇関連の仕事に就く」という目標を叶えることを心から応援したい。そう思うインタビューだった。