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マーケティングゼロから10万人の日本人ユーザーを獲得した話題のMOBAホッケー『オメガストライカーズ(Omega Strikers)』。カジュアル勢にも競技勢にも受け入れられるゲーム性と魅力的なキャラクターの秘訣をインタビューで紐解く

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 良いゲームというものは、遊んでいるうちに「周囲の人にもこのゲームを遊んでもらいたい」と思わせてくれるものです。そんなとき、ある種の「ハードル」が立ちふさがることがあります。

 ありていに言えば、「見た目が好みに合わない」というやつです。もちろん、他人に勧めようとしているくらいですから僕は大好きなんです、好みにバッチリ合ってるんです、でも周りの友人が、知人が、ゲーム画面やキャラクターデザインをみただけで「あぁ……」と愛想笑いを浮かべた時の悔しさと言ったら。なんとも形容しがたいものがあります。

 遊んでさえもらえれば、このゲームの魅力を分かってもらえるはずなのに! と歯がみしてしまう経験は、何度味わっても慣れないものです。

 その点、この『オメガストライカーズ(Omega Strikers)』にはそのようなハードルは有って無いようなものですよ。可愛い、凛々しい、カッコいい、愛くるしい……それでいて、画一的にはならない。多彩な魅力にあふれたキャラクターたちが目白押しです。

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画像は『オメガストライカーズ』Steamストアより

 カナダに拠点を置くゲーム会社「Odyssey Interactive」(オデッセイ・インタラクティブ)によって開発・運営される本作は、3対3で遊ぶスポーツゲームです。プレイヤーはそれぞれ個性的なアビリティを持った「ストライカー」たちを操作し、ホッケーのように壁をバウンドする「コア」をゴールへ運ぶことを目指します。面白いのは、ストライカーたちの使うアビリティがコアだけでなく、敵のストライカーにも当たること。

 しかもアビリティを当てて相手を場外に押し出すと、一時的にゲームから退場させることができるんです。試合中に、隙を見て相手プレイヤーをノックアウトする……スポーツマンガでは完全にワルの所業ですが、本作では誰もが大手を振って相手をぶっ飛ばせます。

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穴に落として、13秒退場!

 そんな本作を開発したオデッセイ・インタラクティブは、かつてライアットゲームズに所属していた方々が独立して旗揚げした会社です。ライアットゲームズと言えば、『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、『LoL』)や『ヴァロラント』の開発・運営会社として、2010年代以降のネット対戦ゲーム界隈では知らぬものはいないほどの、超ビッグネーム。

 ライアットゲームズの元スタッフが作ったゲームということを踏まえて見ると、確かにレベルとかスキルとか随所に『LoL』の面影を感じますよね。

 『LoL』と言えば、筆者にとっては非常に思い出深いタイトルです。あれは2010年のこと……言語表記に日本語がなくて分からないし、「見た目も日本人には馴染めない」と言われて誰も一緒に遊んでくれなくて……。
 しかし、今回の『オメガストライカーズ』は違います。日本語にも対応しているし、見た目もとっつきやすい!

 ということで、今回電ファミでは『オメガストライカーズ』のマーケティング・ディレクターを務めるライアン・リグニー氏にメールインタビューする貴重な機会を得ました。

 本作のキャラクターたちを形作る秀逸なデザインはどこから生まれたのか。本作の未来とその展望について。たくさんのことを語っていただきましたので、ぜひ最後までお読みください。

聞き手・文/うきゅう
編集/実存

 

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ライアン・リグニー氏

※この記事は『オメガストライカーズ』の魅力をもっと知ってもらいたいOdyssey Interactiveさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


アニメ風でありながら、少しだけ西洋的。グローバルに通用するキャラデザの秘訣は開発チームが練り上げた“5つのコンセプト”

──2022年の10月ごろ、数多くの日本の配信者が本作を遊んでいましたが、実際のところテストの参加人数は配信者の影響を受けて増加しましたか?

ライアン・リグニー氏(以下、リグニー氏):
はい。私たちは、日本のストリーマーがゲームをプレイしている時、普段より多くの日本人プレイヤーが『オメガストライカーズ』に手を出していることに気づきました。

 昨年のPC版オープンベータには世界中から140万人のプレイヤーが参加し、日本からの参加者は10万人程度でした。日本でのマーケティングは基本的にゼロだったので、この10万人のうちの大半は(配信や動画などの)コンテンツ制作者を介してゲームに参入したと考えています。

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140万人中の10万人はおよそ7%。Steam全体における日本語ユーザーの割合が1~2%程度であることを考えると、かなり多いと言えるだろう。画像はSteamハードウェア&ソフトウェア調査│2023年3月分より。

──本作のキャラクターデザインはかなり日本人受けのする、可愛いらしいものとなっていると感じました。こういったデザインは開発チームの好みとして選択されたのでしょうか。それとも想定する顧客へ確実にリーチするために選択されたのでしょうか。

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自我を持ち実体を得た元バーチャルアシスタント、アイ・ミー

リグニー氏:
 グローバルに通用するキャラクターであることは間違いありませんが、実は私たち自身がなりたいキャラクターを作っているだけなのです!

 オデッセイでは多くの社員がアニメに夢中になっており、世界的にもアニメが主流になりつつあることに気づいています。アニメをモチーフにしながらも、ほんの少し西洋の影響を感じさせるキャラクターをデザインすることで、何か特別なことができるのではないかと考えたのです。

 キャラクターを描く前に、私たちは自分たちのキャラクターがどのような価値観に忠実であってほしいかをじっくりと考えました。その結果、シンプルで感情移入しやすい、信頼性の高いキャラクターを目指すことにしたのです。

 加えて、「RELATABLE(共感できる)」、「HOPEFUL and ENERGETIC(希望と活力)」、「VISUALLY APPEALING(外見的魅力)」、「ASPIRATIONAL(憧れられる)」、「INCLUSIVE(包括的)」なキャラクターであることを求めました。

──その5つのコンセプトについて、少しかみ砕いて教えてください。

リグニー氏:
 ひとつずつ簡単に説明しますと、下記のようになります。

 RELATABLE(共感できる)……
 プレイヤー側がすんなりキャラクターにつながり、感情移入できることは重要です。

 HOPEFUL and ENERGETIC(希望と活力)……
 キャラクターたちは前向きに未来を見据えていて、夢を持っています。

 VISUALLY APPEALING(外見的魅力)……
 シンプルに伝えるなら「顔が良い!」となりますね。

 ASPIRATIONAL(憧れられる)……
 プレイヤーには、「このキャラクターのようになりたい!」と思ってほしいです。

 INCLUSIVE(包括的)……
 ストライカーたちを並べた時、世界中の誰もが「このキャラクターは自分だ(あるいは自分に似ている)」と思えるような顔ぶれにしたいと考えました。

 これらのキーバリューが、過去と未来のストライカーたちをデザインする際の指針となり、私たちのチームの中核的存在であるキャラクターデザイナーたちの手で具体的な形を得ていきます。

 アート部門のリーダーであるジェシー・リーや、キャラクターアーティスト筆頭のマディ・ケニヨンコーディ・バント、その下で働くスタッフたち。こういったアート部門と開発チームのほかのメンバーも連携して、キャラクターがゲームの他の部分と比べ不自然にならないように作業を進めました。

──今名前の挙がったお三方(リー氏、ケニヨン氏、バント氏)はみな、ライアットゲームズでもアート部門を担当されていた方ですね。オデッセイではほかにもライアットゲームズ出身の方がいるそうですが、ご紹介していただけますか?

リグニー氏:
 もちろんです。オデッセイの創設メンバーの多くがライアットゲームズの、特に『LoL』や『チーム・ファイト・タクティクス』(『TFT』)【※】のチームでリーダーを務めていました。

 ダックス・アンドラスリチャード・ヘンケルは『TFT』のリードプロデューサーを務めていましたし、デビッド・カプッロは『LoL』のチャンピオン(プレイヤーが操作するキャラクターの総称)チームのトップでした。

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※『チーム・ファイト・タクティクス』(TFT)……ユニットの購入と配置によって盤面を作り他プレイヤーの盤面との自動戦闘を見守る「オートチェス」というジャンルの『LoL』版。『LoL』のクライアントから直接遊ぶことができるほか、iOS/Android向けの専用アプリとしても配信されている。画像はTFT開発秘話(後編):リリースまで10週間│リーグ・オブ・レジェンドより。

──皆さんは、まさに『LoL』の中心で活躍されていたんですね。ライアットゲームズでの経験は、本作を開発するにあたってどのように機能しましたか?

リグニー氏:
 ライアットゲームズで私たちは、プレイヤーが何年も遊んでくれる「ライフサービス」ゲームを作るために何が必要なのかを学びました。それは規律や長期的なビジョン、そして何よりも、「プレイヤーにとってより良いゲームを作り続ける」という不滅の責任感が必要不可欠だという事です。

 私たちはこの経験を活かし、『オメガストライカーズ』を次世代のプレイヤーのための全く新しい対戦型ゲームへと構築していきたいと考えています。

競技勢もカジュアル勢も…PCもコンソールもモバイルも!みんなで遊べるゲームを作る

──本作を先行プレイしていて、「このゲームは競技ゲームにもパーティゲームにもなりうる」と感じました。開発としては本作を競技的なゲームとパーティ的なゲーム、どちらだと考えていますか?

リグニー氏:
 競技志向のプレイヤーにも、カジュアル志向のプレイヤーにも、どちらにも楽しんでもらいたいと考えています。

 『オメガストライカーズ』を遊んだすべてのプレイヤーに自身の期待通りの体験をしてもらえるよう、ゲーム内にも複数のモードを用意しました。

 「クイックプレイ」では、わずか3分~5分という短さで、『オメガストライカーズ』の戦いをフルに味わうことができます。

 逆に「ランク戦」モードでは、試合時間が15分~20分と長く、いくつものラウンドに分かれて進行します。ラウンドの合間には各ストライカーを強化するギミックがあり、戦略性を高めています。

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ギアや覚醒によって、ストライカーたちは強化されていく

 『オメガストライカーズ』のベータテスト初期、アメリカやカナダの大学でeスポーツに取り組むプレイヤーが数多く参加してくれました。そのこともあり私たちは、高校や大学に通う世界中の競技プレイヤーをサポートすることに大きな関心を持っています。

 もちろん、日本もその対象です。日本のプレイヤーの競争心にも、火を灯したいのです!

──非常に情熱的な言葉をいただきました。ぜひ日本の競技プレイヤーにも、リグニー氏のこの情熱が伝わってほしいと思います。

 続いての質問ですが、本作はPCだけでなくコンソールやモバイルでのサービスも予定していますね。
 複数のプラットフォームに展開するというのは、それだけコストもかかるかと思います。本作は基本プレイ無料での配信を予定されていますが、マネタイズはどのような形で考えていますか?

リグニー氏:
 私たちは、マネタイズがゲームプレイの楽しさを邪魔してはならないと考えています。ですので、いわゆる「ルートボックス」(ガチャ)や「お金を払うことで力を得る」ような要素に関しては販売しません。

 逆に、ゴールを決めた際のアニメーションやエモート、ストライカーのスキンといった、見た目を華やかにするエフェクトやアイテムは絶対に販売します。
 ストライカーのアンロックも現実のお金で可能ですが、ほとんどのプレイヤーにとってはゲームを遊んで入手するゲーム内通貨「ストライカー・クレジット」でアンロックしていけるだろうと考えています。

 また、エフェクトやアイテムを無料でアンロックするイベントも定期的に開催する予定です。

──他機種との対戦が可能なクロスプレイは実装されますか?

リグニー氏:
 はい。『オメガストライカーズ』はサービス初日からPC/モバイル/コンソールのすべてでクロスプレイが可能です。それぞれの操作体系に合わせ、ゲームをスムーズに操作できるように設計されているため、プレイヤーが友人と遊ぶ際、それがどんなプラットフォーム間でのプレイであっても、一緒に楽しめると確信しています。

──複数のプラットフォームでゲームを出すにあたって、それぞれのユーザーの体験が等しくなるよう調整した部分や、逆に特色を出した部分などがあったら教えてください。

リグニー氏:
 私たちは、プラットフォームの区別なく、プレイヤーが平等な体験を得られるように務めています。マウス・キーボード/コントローラー/タッチパネル、どの操作方法であっても、ストライカーたちの能力が発揮できるように設計されているのです。

 もちろん、それぞれのデバイスごとに特色は存在します。モバイルでのタッチ操作なら、様々なスキルを異なる方向へ打ち分けるのは簡単でしょう。WASDキーで移動するプレイヤーは移動方向に若干の制限が掛かりますが、遠距離攻撃の際には対象を正確に狙うことができます。

 ベータテストの際は、ランキング上位にコントローラーとマウス・キーボードのプレイヤーが混在するという興味深い結果が得られました。モバイル版のプレイヤーも、同じ高みへ到達してくれることを期待しています!

ゴールキーパーは責任重大……だからこそ、強くなれる!

──テストプレイに参加していて印象的だった点に関して、いくつか質問させてください。ひとつめは、ゴールを閉ざす障害物の存在です。形にも種類があって、色々とプレイしていて工夫する余地がありとても楽しかったです。あれはどのような経緯で実装されたのでしょうか?

リグニー氏:
 楽しんでいただけて嬉しいです! ほかのプレイヤーからも「ゴールバリアシステム」は好評でした。このシステムは、ベータテストでのフィードバックを踏まえて設計しました。

 たとえば、「何度も遊んでいると、試合の展開が似たようなものになってしまう」という声や、「ゲーム開始直後に他プレイヤーがアビリティを連打するだけでコアがゴールに入ってしまう」という試合があり、そういったものを改善したいと考えたのです。

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ハートの描かれた角丸長方形が、このステージのゴールバリア。ゴールを決めるには、まずここにコアを当てる必要がある

 ゴールを守るバリアはゲーム体験に多様性を持たせるとともに、プレイヤーがより思慮深く、より巧みにコアを動かすように促すでしょう。

──逆に、こちらは気になった点なのですが、ゲームをプレイしていてキーパー役のプレイヤーとそれ以外のプレイヤーとで獲得できる経験値の量に差があるように感じました。
 キーパーに限らずですが、チーム内で発生する経験値配分量の差というものは、今後なくしていく予定ですか? それとも、ある程度差があったほうが良いというゲームデザインなのでしょうか?

リグニー氏:
 素晴らしい質問ですね。私たちは、ゴールキーパーとフォワードがともにゲームのなかで重要な役割を持ち、どちらもそのプレイが報われると感じられるようにしたいと強く思っています。

 現在のゲームでは、コアを攻撃する、オーブを回収する、相手プレイヤーをノックアウトする、得点を挙げるなど、さまざまな行動でプレイヤーは経験値を獲得します。なので、相手チームがゴールキーパーに対して十分にプレッシャーを掛けられるほどコアを支配できなかった場合などには、キーパーがフォワードほど経験値を得られない可能性があります。

 この経験値獲得システムに関しては、ゲームが発売された後も、しっかりとチューニングしていく予定です。

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意識的に経験値の入る動きをしていないと、けっこうな差が開くことも

──キーパーに関して、もう少し質問させてください。
 私は個人的な経験から、キーパーという役割に苦手意識があります。みながボールを追いかけている間もじっとしていて退屈だし、ボールがゴール前に来ると重圧を感じます。本作では、このようなキーパーの難しさに対してどのように取り組んでいますか?

リグニー氏:
 『オメガストライカーズ』にはゴールキーパーとして活躍できる様々なストライカーが用意されていますから、ゴール前で待つのが苦手なプレイヤーでも、きっとプレイスタイルにあったキャラクターを見つけられると思います。

 例えば、相手を攻撃するのが好きなプレイヤーにとって「エステル」や「ルナ」は素晴らしい選択肢となるでしょう。

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遠距離攻撃を得意とするストライカー、エステル

 逆に「守る」タイプのプレイヤーならば、「アトラス」と「デュブ」を使ってバリアを展開し、味方が安全にプレイできるような空間を作り出せます。

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韓国の豆腐料理「スンドゥブ」が名前の由来になった、ドゥブ。スンドゥブを並べてエリアをブロックする

 ゴールを守りながらも素早くマップ上を移動したいプレイヤーには、「Kai」と「アイ・ミー」がお勧めです。

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ストライカーの家系で育ったエリート、Kai。エステルとは因縁も

──なるほど、確かに移動スキルなどがあるキャラクターなら、ある程度前に出てほかプレイヤーと遊びながらもゴール前にも戻れて、自分に向いてる気がします。ただ、このゲームのゴールってとても大きいので、守れる自信が正直ないんですよね……。この大きさにはどんな意図があるんでしょうか?

リグニー氏:
 ゴールを大きくすることで、プレイヤーがポジショニングを工夫しつつプレイできるようにしたいと考えました。確かに、この大きさではどんなに優秀なキーパーでも永遠にゴールを守ることはできないでしょう。

 それでも、ハイレベルな試合を見るとゴールキーパーは幾度となく相手のシュートを阻んでいて、私たちを驚かせました。きっとこの「ゴールを守る」ことの難しさが、キーパーを鍛えたのでしょう。そして高いスキルを持つキーパーの活躍によって、試合の勝敗が決したのです。

 もちろん、プレイヤーがあまりにも簡単にゴールを決めてしまえるようであれば、開発チームはゴールの大きさなどをすぐに調整できます。ゲームバランスをどうしていくかについて私たちなりの信念はありますが、それが間違っていると言われたなら、プレイヤーの声に耳を傾けて調整していけるのがライフサービスゲームの強みなのです。

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──ここまで、いろいろと質問に回答していただきありがとうございました。最後に、日本のゲーマーに向けてメッセージなどがあれば聞かせてください。

リグニー氏:
 日本のプレイヤーに私たちのゲームを楽しんでもらえたら、どれほど光栄な気持ちになるかを知ってもらいたいです。

 私たちは、ゲームへの情熱に突き動かされてゲーム開発者となった、小さなチームです。そしてその情熱の大半は、任天堂、ソニー、カプコン、スクウェア・エニックス、セガ、アトラス、バンナムなど、日本の伝説的なゲーム会社やデザイナーによって育まれてきました。

 私自身、スーパーファミコンでJRPGに夢中になりました。両親からのプレゼントで人生最高のものは、1996年のクリスマスにもらったNintendo 64です。

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幼少期のリグニー氏を写した貴重な写真を送っていただいた

 私たちの作ったゲームが日本の皆さんに楽しんでもらえるなら、それは夢のようです。そうなるべく、私たちはベストを尽くします!

──ありがとうございました!(了)


 「競技志向のプレイヤーにも、カジュアル志向のプレイヤーにも、どちらにも楽しんでもらいたい」、「プラットフォームの区別なく、プレイヤーが平等な体験を得られる」といったリグニー氏の言葉からは、キャラクターを作り上げる際のコンセプトとして言及された「包括性」が、決していい加減な建前ではない、本作を貫く極めて重要なテーマなのだと伝わってきました。

 そしてそのテーマ通りに、カジュアルでありながら深みのある面白いゲームを作り上げたわけですから、本当に凄いことだと思います。

 実際、筆者もテストプレイをしていて、ついつい時間を忘れてしまうほど熱中しました。キーパー周りについてちょっとしつこく聞いてしまったのも、筆者自身がレビュアーやインタビュアーの垣根を越えて、ひとりのプレイヤーとして向き合ってしまうぐらいに本作が魅力的だったことの証左だと捉えていただければと思います。

敵ごとボールをゴールにシュートする、3対3の新感覚MOBAホッケー『オメガストライカーズ』は4月28日より、PC(Steam)、Nintendo Switch、PS5、PS4、Xbox、iOS/Androidにて基本プレイ無料で配信が開始される予定です。

© 2023 Odyssey Interactive Inc. All Rights Reserved. OMEGA STRIKERSはアメリカ合衆国および他の国におけるOdyssey Interactiveの登録商標です。

ライター
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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