一時は不要論まで出たメインキャラクターの「アミーゴ」。“フェス感”というキーワードで方向性が決まる
──今回、Nintendo Switchで『サンバDEアミーゴ』を復活させるにあたって、注力した点についてお聞かせください。
天池氏:
いちばん最初は「当時のものを復活させる」と聞いて集まったのですが、いつのまにか丸ごとリファインするという事になっていました(笑)。最初のビジュアルを決めるのに苦労した印象です。
──最初に決まったビジュアルはどのようなものだったのでしょうか?
天池氏:
フェスの絵ですね。このビジュアルが決まってからは一気に進んだのですが、そこまでは悪戦苦闘でした。ちょっとカッコいい要素を入れてみようという話のなかで「アミーゴ君」がいなくなったりして(笑)。
──まさかの主人公不在の可能性まであったとは(笑)。それほどまでにネタ出しをされたというのは、やはり「心機一転で新しいものを作ろう」という意識が強かったのでしょうか?
天池氏:
そうですね。いろいろと試行錯誤を重ね、やっぱりこれまでの作品のコンセプトは外せないという話になり、「アミーゴ君は必要だ」となりました。そこから、中村さんの「フェス感」というキーワードに立ち返る形で、やっと作品のラインが決まった感じでした。
川瀬氏:
「楽曲のジャンルをどうするか」という議論もあったんです。最新作には42曲の楽曲が収録されているのですが、これを全部サンバでいくべきかどうかも検討の余地がありました。結果として、今回は他ジャンルの曲もしっかり収録されています。
中村氏:
最初にもちょっとお話しましたが、僕はサンバ系の音楽に詳しいわけではないんです。
当時は「日本から世界へゲームを送り出す」という意識はあまりなくて。サンバの方向性にしても本場のサンバというよりも日本人がイメージしやすいものに偏っていた面は正直ありました。でも、最新作はそういうわけにはいきません。
世界中の人に遊んでもらうことを目指したときに、「サンバ」で統一してしまうとターゲットが狭くなってしまうから、「いろんな音楽を取り入れられるとよい」、「いろんな音楽が一堂に会する場所ってどこだろう」と考えたところ、それは「フェス」みたいな場所なんじゃないかと思いました。
そこまで考えて、「あとはよろしく!」と試行錯誤してもらった感じです(笑)。
──なるほど、そういった方向性の結果として、サンバだけでなくEDMやゴスペルも収録されているということですね。
川瀬氏:
そうなんです。そのため「別ジャンルの曲ともマッチするようなステージを作らなきゃ」「でもオリジナルの雰囲気も残さなきゃいけない」という苦労もありました。
──ジャンルが多岐にわたるとなると、曲作りにも苦労があったのではないですか?
幡谷氏:
はい。全体のバリエーションのためにも内作で作る楽曲は、お借りしたライセンス楽曲の隙間を埋めるようなジャンルやノリ、プレイスタイルや1曲の中の構成など、役割を決めて揃えていきました。
──デザイン面でいろいろと試行錯誤をされたというお話ですが、方向性が決まってからはスムーズに作っていけたのでしょうか?
天池氏:
いろいろなシチュエーションを用意して、幅を出せるように考えて作っていきました。
中村氏:
さまざまなジャンルの曲を収録する以上は、ゲーム側でもいろんな受け皿が必要になります。とはいえ、もともとのコンセプトである「ちょっとお気楽な楽しさ」というノリが消えないように、どこに行ってもそれが感じられるようにというのは意識してもらいました。
天池氏:
デザイン面でひとつお話すると、アミーゴ君はカスタマイズが可能になっています。少ないなりに、プレイヤーによって幅は出せる設計になっていますので、皆さんなりのアミーゴ君に仕立てていただければなと。
川瀬氏:
カスタマイズのアイディア出しも楽しかったです。
中村氏:
カスタマイズ機能の幅みたいなものは昔の「自由にやろう」みたいなノリをもう一度できた感触があって、よかったです。
──自由と言われると逆にハードルも上がりそうな気もしますが、作っていてそのあたりはどうでしたか?
天池氏:
確かに “自由” というのは良し悪しで、取り留めもなくなりそうではあるんですよ。でも「ダメ」と言われなければいいやという感じで、広げられるだけ広げていきました(笑)。もちろん完全に自由というわけでもなく、制限のある範囲でではありますが。
巖本氏:
サブキャラがいっぱいいるのも楽しいですよね。
天池氏:
そうですね。このサブキャラは、ゲームが盛り上がってくると観客やダンサーみたいな感じでステージに出てくるようになっています。これも幅広く、いろんなキャラクターを出せるようにアイディアをひねりました。
中村氏:
ドリームキャスト版と比べて、サブキャラは超絶進化しています。
天池氏:
当時のものはポリゴンっぽすぎて持ってこれなかったので、完全新規に起こしました。
Nintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeという超変則マルチプラットフォームは「ゲームを3本作るようなもの」
──本作はNintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeというかなり特殊なマルチプラットフォームとなっています。こういった形式でゲームを作られてみて、いかがでしたか?
中村氏:
今回は超変則的なマルチプラットフォームとなりました。我々は『ソニック』シリーズを作っているということもあり、ある程度キャリアのなかで「マルチプラットフォーム」という形には馴染みがあります。それでも今回は特殊で、いろいろ大変でした。Meta Questは今回初めて触ることになりましたし、Apple Arcadeの操作方法もまるで違います。
そのためどのプラットフォームも、とても同じようには作れません。一方で、ぜんぜん違う作品にしてしまうわけにもいきませんから、プログラマーも企画も僕も、やりとりを繰り返しました。チームだけでなく、セガという会社の視点からも、かなり大きなチャレンジとなったように思います。
天池氏:
表示ひとつ取っても、たとえばNintendo Switchは3D部分もありつつ基本的には2Dで表示しています。ところが、Meta Questの場合はすべてを3Dで作らなければなりません。そうなると、2Dの部分というのをそのままにはしておけないので「じゃあゲーム中にどう表示しよう」とずっと苦労しながら作り上げていきました。
──労力が3倍かかるようなものだったわけですね。
中村氏:
実際、3本のゲームを作ったようなものだと思っています。たとえばVRも出すにしてもいままで平面的に考えていたポーズを3D空間上での表現を考えなくてはいけなくて。
川瀬氏:
デザイナーさんやプログラマーさんからも「本作のポーズは2Dなのか3Dなのか」と最初にかなり聞かれました。結局のところ、すべて3Dで作ることになりました。
──制作に関しては、最初から仕様をしっかり決めて作り始めたということでしょうか? それとも作業中にスクラップ&ビルドというか、試行錯誤しながら組み上げていった感じでしょうか?
中村氏:
プラットフォームごとに作業が進行していくなかで、「片方はこの仕様でいけるけどもう片方はそうはいかないぞ?」みたいなのが見つかってくるんです(笑)。そのたびにみんなで話し合うような感じでした。
川瀬氏:
仕様書も最初に書いている段階では「これで両方いける!」と思っていても、実際に作っていくと問題が出てきて、デザイナーさんやプログラマーさんに「それぞれ別で作ってください」とお願いするようなケースもありました。
天池氏:
最初はゲーム内で飛んでくるノーツ【※】も2Dだったのですが、最終的に3Dにしました。
※ノーツ
ゲーム内に流れてくるリズムのアイコン。配置されたノーツに合わせてタイミングよく操作していく。形はゲームによって異なり、矢印や○×△□などさまざま。
川瀬氏:
ノーツの見せ方も最後までずっと相談していましたね。
──ちなみに、チームは全部で何人ぐらい参加していたのでしょうか?
中村氏:
30人ぐらいですかね。
──ゲームを3本作るような労力を30人でしていたというのは、いま笑顔で話してらっしゃいますが本当にさまざまな苦労があったかと思います。
巖本氏:
そうですね。「VR対応が初めてだった」ことが多分にあるとは思いますが、それを加味しても大変な作業だったと思います。Nintendo Switch上で表示する3D物体とヘッドマウントディスプレイを被って表示する3D物体は別物ですから。
中村氏:
表示されたものが似ていても、操作や感覚もプラットフォームによって完全に違うんです。そこの擦り合わせは企画、デザイン、プログラムのみんなが苦労してやってくれました。
──それぞれのプラットフォームで出すにあたって、遊び方や体験の特色みたいなものはありますか?
川瀬氏:
Nintendo Switch版とMeta Quest版は「コントローラーを握って体を動かして遊ぶ」という体験の部分や根っこの部分は同じなので、それぞれのプラットフォームならではの体的体験を楽しんでもらいたいです。Apple Arcade版はタッチ操作などを用いて遊ぶので、譜面もガラッと変えて、画面に干渉しながら楽しむゲームになっています。
たとえば体を動かす場合、「左側にノーツがふたつ来る」みたいな “ひねる” 動作が楽しさに繋がっていたりするんですけど、指で操作すると両手がクロスして画面が見えなくなってしまうため仕様を分けています。
中村氏:
通常なら、マルチプラットフォームというとひとつ遊べばほかのプラットフォームでプレイした感覚もなんとなくわかると思うのですが、本作はそもそもデバイスがぜんぜん違うし、遊び方の環境も大きく異なります。都合上「マルチプラットフォーム」という言葉を使ってはいますが、ある意味ではそれぞれ別物と言えるかもしれません。
ぜひ異なるプラットフォームで遊んだ方と「こっちにはアレが入ってる、コレがちょっと違う」みたいな話をしていただければと思います。
幡谷氏:
おかげで僕は毎週締め切りに追われていました(笑)。
中村氏:
そうそう。スタッフは大まかにNintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeでそれぞれチームを作って分かれているのですが、幡谷さんは全てのチームに携わっているから、毎週なにかしらの作業の締め切りが来たり、うっかりすると同日だったり、なかなか終わりが来ない状態でしたね(笑)。
幡谷氏:
すごく大変でした(笑)。
──本作をNintendo Switchで発売するにあたって、低年齢層への訴求などは意識されましたか?
中村氏:
そのへんを特別に意識したということはないですね。ただゲームとしてはすごくシンプルなので、大人の方も、子供の方も、誰が遊んでも楽しんでいただけると思います。
──本作は最大8人でのオンラインプレイに対応しています。このオンラインプレイというのは、開発当初から実装を予定されていたのでしょうか?
中村氏:
新作を出すにあたって、いままでとの違いを明確に出せる部分がほしいと思いました。ここ数年はゲーム業界でバトロワ(『PUBG』、『フォートナイト』、『エーペックスレジェンズ』など)が流行っているので、それを音楽ゲームでやりたいなと。対戦だけどみんなで踊りながら楽しめることができたらおもしろいと思い、軽い気持ちで話を出したのですが、実際に実装するとなったら大変でした(笑)。
天池氏:
音楽ゲームでオンラインというのは「プレイヤー間で音を同期させるのかどうか」という部分から考えなくてはいけないんです。でも「そこまで厳密にはやらない」という方針を決めてから、なんとか実現することができました。
RPGやアクションゲームとはまったく違う「音ゲー」ならではの音作り
──いわゆる「音ゲー」とRPGやアクションゲーム的なものでは音楽を作る作業にどれくらい違いがあるのでしょうか?
幡谷氏:
ぜんぜん違いますね。もっと言うと、家庭用ゲーム機の音ゲーとアーケードの音ゲーでも文化が違うんです。
『リズム怪盗R』とか『スペースチャンネル5』みたいなゲームはストーリーがあるため、「そのストーリーの進行に合わせた長いゲームプレイの中で手応えを得ていく、という楽曲を用意する」というトータルの設計が重要な作り方になります。
一方でアーケードの場合は、どちらかというと「曲とプレイありき」です。非常にテクニカルな部分を追求するものが多いと思います。楽曲も高難易度の譜面のためにすごく細かい音楽的ギミックやパッセージが求められたりもします。
そのうえで、それぞれのゲームで遊ぶ人たちの層の違いもあります。今回はもともとアーケードゲームだった『サンバDEアミーゴ』を作っていくうえで、「バカ楽しい!」に貢献すべく、さまざまなジャンルの曲の盛り上がりに、どう音の演出を合わせていくかを考えたり、オリジナル曲を作るならプレイヤーにどう遊んでもらうかの抑揚曲線を考えたり、そういった作り方をしていました。
中村氏:
幡谷さんと仕事をすると、抑揚曲線とかそういうことを細かく聞かれるから、スタッフには「答えられるように考えておいてね」と言っていました(笑)。
一方で、本作の「ポーズ」の概念は『スペースチャンネル5』などにも存在していて、幡谷さんの言葉を借りると「キメ」というものになるのですが、こういった部分はお互いに似たような文化があったりもするんですよね。
制作スタッフのなかには過去にアーケードの『maimai(マイマイ)』を作っていた方もいるし、家庭用ゲーム機で『初音ミク』のゲームを担当されていた方もいて、いろんな音楽ゲーム、リズムゲームの知見をミックスしながら作っています。
とはいえ『サンバDEアミーゴ』は音楽ゲームとしてかなりアウトローなので、「これでいいのかよ!?」みたいな事を言われたりもしましたが(笑)。
天池氏:
ビジュアル的にもアウトローですよね。音ゲーのセオリーを無視して作っている部分があるというか(笑)。
中村氏:
そうですね。たとえば「ノーツを見せる」という観点だと、音ゲーのセオリー的には「ラインの前の方がうるさい」のはふつうダメなんです。でも私としてはそこが盛り上がってる方が大事というか。
川瀬氏:
「音ゲーらしさ」との乖離に関しては、レビューなどの場でも工夫が必要でした。単にリズムゲームとしての部分だけを見てもらうと、とてもストイックなフィードバックが返ってきてしまうんです。
「これはパーティゲームなんだ、エンジョイするタイトルなんだ」と理解してもらうために最初に「マラカスを引き抜く儀式」を入れたりしました。ユーザーが画面に対して真顔で立つのではなく、「遊ぶんだ、楽しむんだ」という意識で向き合ってもらえるように作っています。
そうした部分から、ハイスコアを狙うだけではないリズムゲームの楽しさを感じてもらえたらなと思います。
中村氏:
本作にはゲーム中にルーレットが回って、「ハプニング」が起きるというランダム要素があります。「譜面通りにいかに正しくコマンドを入力するか」というリズムゲームの考えからすると、こういうランダム要素はあり得ないと思うんです。あり得ないんだけど、『サンバDEアミーゴ』にはある(笑)。
なので、本作は「突然なにかを振られたときにどうパフォーマンスを返すか」みたいなある種の “アドリブ” が大事なタイプのゲームです。
CD音源は、いつも同じ音が流れるじゃないですか。でもライブにいくと、ちょっと違った弾き方だったり、盛り上げのコールが入ったり、そのステージならではの変化によって高揚感が生まれたりすると思うんです。その感じをゲームのなかに取り入れたいと思っていろいろと工夫しました。
──「音を楽しむ」と書いて「音楽」ですが、まさにその言葉を体現したようなゲームになっているということですね。
中村氏:
後付けすると、そういう話になります(笑)。「音楽を聞いて体を動かす、それが楽しい」というのは楽器が弾けない僕のような人間でもわかるので、人間の本能的な部分なのかもしれません。『サンバDEアミーゴ』でその楽しさをうまく引き出したいと思っています。
「マラカス」と「Joy-Con」は似て非なるもの
巖本氏:
昔はマラカス型の機器を振ってもらってたわけですが、最新作ではNintendo SwitchのJoy-Conを両手に持つ形となります。Joy-Conはマラカスを題材とした『サンバDEアミーゴ』にピッタリなので、復活させるにはいい機会だと思って取り組み始めたのですが、じつはここが思った以上に大変でした(笑)。
いつまでたってもJoy-Conでマラカスの仕様が再現できず、企画の方とプログラマーさんと長いあいだ試行錯誤を繰り返していました。
──Joy-Conとマラカスは相性がいいように思えますが、実際にどういった部分が難しかったのでしょうか?
巖本氏:
マラカスはもちろん振るものなのですが、ポーズとの兼ね合いもあるので「どの向きからどう振るか」という大きな動きに加えて3次元的な認識も求められるんです。そのあたりで精度をあげるために、判定調整に苦労しました。
──なるほど。その苦労の多かった調整が、最終的に満足のいく実装になった決め手というのは、どういった部分にあったのでしょうか?
巖本氏:
とにかく愚直に調整し続けた結果です(笑)。「どのぐらいの角度なら振ったと認識するのか」、「遊ぶ人がどういう動きをするのか」などひたすらプレイテストを繰り返して、データを積み重ねていきました。
川瀬氏:
『maimai』などアーケードのリズムゲームを作っていたプログラマーの方にも助言をもらいまして、遊んでいる人に「振った!」と実感を持ってもらうにはどういうタイミングで判定を拾えばいいのかなど、いろいろと勉強になりました。そういった調整を入れ続けたおかげで、プレイヤーの方が「マラカスを振っている」と実感してもらえるようなゲームに仕上げられたと思います。
中村氏:
Nintendo Switchが発売される前に任天堂さんから実機を見せてもらった段階で「これなら『サンバDEアミーゴ』やれるじゃん」と思いました。そのときに川瀬さんと一緒に音楽ゲームを作ろうと別の企画を立てて動いていたんですけど、まさにJoy-Conの仕様の部分でつまづいていたんです。
だから、『サンバDEアミーゴ』は私たちにとってのリベンジでもあるんです。しかしながらリベンジでもやっぱり大変で、いろいろと苦しみはありましたが、前の経験も活かす形でよいところに落とし込めました。
川瀬氏:
当時は「企画のアイディアでなんとかしよう」という面が強かったのですが、今回はプログラマーさんとの二人三脚で問題へ挑めたおかげで乗り切れました。
──その気持ちよさはぜひプレイヤーの皆さんに楽しんでもらいたいところですね。
巖本氏:
そうですね。ぜひJoy-Conを振っていただいて、直接的な感覚で楽しんでいただければと思います。
川瀬氏:
Nintendo Switchは二人対戦のモードのなかに「アピールバトル」という、戦って負けた方がアピールをするルールがあります。平たく言うとルーレットに従って罰ゲームが出るんですけど、結局それを実行するかどうかはユーザーさんに委ねられている部分ではあって……。チーム内でも「これをわざわざ入れてもユーザーさんは本当にやるのか?」みたいな(笑)。
中村氏:
「それはリズムゲームではないのではないか」みたいな(笑)。でもそれを入れるのがうちのゲームなんです。
川瀬氏:
最終的にはおバカな感じで、うまいことゲームのなかに取り入れられたのではないかと思います。ぜひ家族や友だちと遊ぶときは楽しんでほしいです。
──その罰ゲームは具体的にどのような感じのものなのでしょうか?
川瀬氏:
基本的にはルーレットがふたつ出てきて、それぞれにお題みたいなのがあり、組み合わせを楽しんでもらう感じです。「変顔で」「動物のものまねをする」とか「すごい勢いで」「〇〇する」みたいな。
中村氏:
ゲームプレイに熱中してもらうだけじゃなくて、ゲームへの反応という形でプレイヤー同士に会話が生まれる、コミュニケーションを取る、というのが本作の目指す楽しさでもあります。制作にあたり、「大変」とか「本当に必要ですか?」とか言われてしまいましたが、「これはやらないとダメだろう、やるしかないだろう」と実装にこぎつけました(笑)。
巖本氏:
でも、レビュー会だとなかなかやってもらえないんですよ。みんな恥ずかしがってしまって(笑)。
川瀬氏:
みなさんビジネスモードで来てますからね。
中村氏:
さっき「マラカスを抜く儀式」の話があったと思うんですけど、海外の方に遊んでもらうと大体マラカスを抜いたあとにポーズを取るんです。日本の方はマラカスを抜いたあとにおどおどする。このへんは国民性を感じる部分でもあって、「そんな恥ずかしがり屋の日本人の心をどう動かすのか」はひとつの課題でした。
そこを考えたとき、日本人は指示があるとなんとなく「やらざるを得ない」みたいになる感覚があり、「これやって!」と提示することで日本でもやってもらえるのではないかという思いからルーレットの仕様にしました。
──ここまでお話を聞いていて、みなさんがすごく楽しそうに話されているのが印象的でした。作り手側が楽しんで制作しているゲームなんだな、ということを強く感じました。それでは最後に、本作を楽しみにしている方々へひと言ずつメッセージをお願いします。
川瀬氏:
本作のNintendo SwitchはJoy-Conを簡単に振るだけで遊べるようにしっかりと調整してありますので、「パーフェクト取ろう」という遊び方だけではなく、好きなだけ自由に振って楽しんでいただけたらと思っています。ぜひ家族や友だちと遊んでください。
幡谷氏:
僕が学生時代に流行ったJ.ガイルズバンドの『Centerfold』のような80年代の名曲から現在のEDMまで、ワールドワイドに時代を彩ったさまざまな曲の強力なリフやメロディとともにプレイすることができます。僕自身もすごく楽しく制作しました。きっといろんな世代の方々に喜んでもらえると思っています。
巖本氏:
僕ら世代で流行った曲がたくさん入っています。複数世代でプレイしながら「こんな曲があったんだね」と話題にしてもらえるような作品になってるといいなと思っています。
天池氏:
僕が好きな曲として「Bang Bang」という曲があるのですが、娘がNiziUのコンサートでその曲を聴いていて、知っているみたいなんです。だから、発売後に一緒にその曲をプレイすることをいまから楽しみにしています。一方で、ひとりでじっくりとゲームを突きつめていくモードもあり、そちらもやりごたえがあるのでいろんな遊び方で楽しんでもらえたらと思います。
中村氏:
本作はNintendo Switch、Meta Quest、Apple Arcadeという変則マルチプラットフォームに対応しており、会社としてもかなり冒険しながら出したタイトルです。
『サンバDEアミーゴ』は初代の始まりから「誰かと一緒に遊んで嬉しい、楽しい」という部分で受け入れてもらえたゲームだと思っているので、暗い話も多い昨今に明るいタイトルを届けて、遊んだ方に笑ってもらえたらいいなと思っています。
現代は音楽の好みも非常に幅が広くなっていますし、「サンバに絞らないならこのさいなんでもかんでもやってしまおう」ということで追加ダウンロードコンテンツもいろいろと用意しております。そちらの方もぜひ楽しみにしていてください。(了)
ストイックに楽しむだけではなく、誰かと一緒に遊ぶ「パーティーゲーム」としての音楽ゲームを目指し、ゲームの歴史に名を刻んだ『サンバDEアミーゴ』の精神。15年ぶりとなる最新作も制作陣は「マラカスを振ること」に愚直に向き合っている姿勢が印象的でした。
サンバの枠に留まらず、さまざまな音楽に合わせて踊りまくるゲーム『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』は2023年8月30日に発売を予定しており、対応プラットフォームはNintendo Switch。税込価格は通常版がダウンロード/パッケージともに5489円、ダウンロード専用の豪華版が6589円となっています。また、Apple Arcade版は、同じく2023年8月30日にリリース、Meta Quest版は秋発売となります。