最新鋭を謳うビデオゲームであるならば、その作品に収録される楽曲も「置き」ではなく「挑戦」をしてほしい。
これは非常に“贅沢なわがまま”かもしれないが、『サイバーパンク2077』の拡張パック「仮初めの自由」に際して配信された「アップデート2.0」では、本編の充実した収録楽曲に飽き足らず「更なる勝負」が展開される。前述の“わがまま”も問答無用で黙らせ、聴覚から更なる刺激を与える作品となる。
『サイバーパンク2077』といえば「加速し過ぎた未来」を描くシナリオやオープンワールドの描写、シナリオ、様々なアプローチを用意した戦闘など、もはや“過剰”なほどに各コンテンツを作り込んだ作風で大きな話題を呼んだ作品だ。
そんな“過剰な作り込み”のひとつとして、本作のサウンドトラックの存在も忘れてはいけない。
サウンドトラックに2010年代のHIPHOPを語るうえで欠かせないASAP Rockyや、イギリスの名門レーベル・4ADなどからオルタナティブなエレクトロポップを展開するGrimesなどの著名アーティストが参加。
そして、先進的なダンスミュージックからハードコアパンク、ブラックメタル、ブルータルデスメタル、マスコア、日本のアイドルユニットの楽曲なども収録され、「いかにも“解っている”」感を芳醇に醸し出すトガった選曲になっている。
いっぽうで、2018年にリリースしたアルバム『春と修羅』の時点では「自分の頭の中の日記」のように、自分だけが存在する日記のように制作していましたね。
──たしかに、『春と修羅』は「自分のことを語る」という私小説的なニュアンスが強いように感じます。
春ねむり氏:
どの作品も自分のために作っているものの、『春火燎原』からは「自分のためであり、結果として皆のためになる」というモードで制作するようになりました。
きっかけとしては、いわゆる“後輩”みたいな子と会ったり共演する機会が増えて、「大人としてしっかりしないと!」と感じる機会が増えたことです。
そういった環境の変化を考えていくうちに、今まで個人的な問題だと思っていた考え事を、「社会の構造の中で起きている出来事」であると捉えられるようになりました。
──納得の選択肢です(笑)。
春ねむり氏:
私はジョニー・シルヴァーハンドが大好きなのですが、宣誓するとジョニーがものすごい顔をするというお話を聞いて、製品版ではぜひジョニーの顔を確認したいと思いました(笑)