Switch版ならではの要素とは? ジョイコンを使うミニゲームが登場
──ついにSwitch版もリリースされますが、Switch版ならではの要素はあるのでしょうか?
ファン氏:
ジョイコンを使った料理やライブのミニゲームがあります。ジョイコンを実際に振ってもらって魚を捌いたり、サイリウムを振ったり、直接的な動作を楽しんでいただけると思います。
あとは、Steamのユーザーは20代の男性が多いのでSteam版を出すときには考える必要がなかったのですが、コロコロコミックの漫画連載を読んで買ってくれた子どもたちが字幕を読めなかったら悲しいので、字幕にルビを入れました。
──なるほど。その配慮は嬉しいですね。
ファン氏:
僕も寿司のネタが読めなかったりするので(笑)。日本のスタッフがいろいろと助けてくださっています。
──さかなへんの漢字は大人でも読むのが難しいですからね。開発面では、Steam版とSwitch版に違いや難しさはあったのでしょうか?
ファン氏:
Switch版はスクリーンの関係でSteam版のままだと字が読めなかったりするため、そういった部分の最適化が難しかったです。
『デイヴ・ザ・ダイバー』でファンさんが実現したかったこと
──『デイヴ・ザ・ダイバー』から少し離れてしまいますが、ファンさんご自身についておうかがいしたいと思います。先ほどから好きなゲームを挙げられていますが、影響を受けたゲームや映画などはありますか?
ファン氏:
僕は小学校のころ3年間くらい東京に住んでいたのですが、そのころから日本のゲームが好きで、JRPGもたくさん遊びました。日本のゲームは、先ほど挙げた『龍が如く』や『メタルギアソリッド』みたいに西洋のゲームとは違ったおもしろさがあると思います。
たとえば『トルネコの大冒険』のシステムはもともと西洋のローグライクゲームですけど、キャラクターを日本人に馴染みやすくしていると感じました。その工夫が日本っぽくていいなと思っていたので、『デイヴ・ザ・ダイバー』でもさまざまな要素を馴染みやすくするために日本のゲームを参考にしています。
そのほかに日本のゲームで好きなのは、昔のおバカゲーなんですけど、筋肉モリモリのマッチョが出てくる『超兄貴』です。最近は『超兄貴』みたいなおバカゲーが少なくて悲しかったのですが、ビンタゲームの『薔薇と椿』に感心しました。「こういうゲームがまだ出てくるんだ」と。こういったおバカゲーも、真剣に作っている感じが伝わるところが好きです。
──たしかに『薔薇と椿』と『デイヴ・ザ・ダイバー』は通じるものがあるような気がします(笑)。少し抽象的な質問となり申し訳ないですが、今回『デイヴ・ザ・ダイバー』のディレクションにあたって、ファンさんが実現したかったことというのはどういうことなのでしょうか?
ファン氏:
僕はクリエイターとして自分のIPを持ちたかったんです。IPの中心となるのはキャラクターですので、『デイヴ・ザ・ダイバー』でもキャラクターの話をたくさん扱いたかったのですが、まだ描ききれていないと思います。
たとえば、バンチョとヨシエの過去の話はゲームに出てくるんですけど、ちょっとオタクっぽいダフなんかは背景が描かれていません。
コブラに関しては『エビルファクトリー』という僕の過去作で登場したキャラクターだったりするんですけど、そういう裏設定があるとすごくおもしろいと思うんです。
──ゲームには盛り込めなかった裏設定は実際にあるのでしょうか?
ファン氏:
完成された設定ではないですが、あります。主人公のデイヴに関しても、もともとなにをしてた人なのかは描かれていないんです。
ゲームに登場するキャラクターを好きになってほしいですし、ゲームのキャラクターを通じて新しいストーリーを繰り広げたいと思っていたんですけど、小規模のチームということもあり、そういったところまではまだ手を伸ばせていません。
──今後のアップデートなどでそういったストーリーを入れる予定はあるのでしょうか?
ファン氏:
はい。新しいストーリーは今後のアップデートで肉づけしていきたいと思っています。キャラクターの裏話を全員が知る必要はないですが、ゲームのどこかにそれが残っていて、それを探すことができるという状態がベストだと思うので、『エルデンリング』みたいにゲームのあちこちにそういう要素を入れていければと考えています。
サンジがブルーホールに来てくれたら……!『ワンピース』コラボへの夢
──Steamで大きな反響があり、Switch版もリリースされたいま、『デイヴ・ザ・ダイバー』での目標はありますか?
ファン氏:
僕としては『デイヴ・ザ・ダイバー』の世界とキャラクターを好きになってほしいので、キャラクターのフィギュアやアニメ化ができたら最高だと思います。先ほど言ったようなキャラクターの過去もそこで扱えたらいいなって。
あと、パッケージ版を出してそれを家に飾っておきたいなって思っています。
──今後、予定している展開はありますでしょうか?
ファン氏:
今後も新しいコンテンツを作っていきたいと思っています。キャラクターのストーリーや新しいミッションについては、ライブ運営みたいに入れていきたいと思っていますし、コラボも考えています。
『デイヴ・ザ・ダイバー』 はなんでもアリのブルーホールが舞台の世界ですので、そこにはなにが出てきてもいいと思うんです。
──そのコラボというのは、ほかのゲームとのコラボですか?
ファン氏:
そうですね。たとえば、ほかのゲームのキャラクターが寿司屋に訪ねてきて頼みごとをしてきて、デイヴがブルーホールに入ってそれを解決する、とか。
──なるほど! そういったコラボのお話はすでに進んでいるのでしょうか?
ファン氏:
はい。実際に進めているものもあるので、おもしろいコラボが紹介できるのではないかと思います。
──ちなみに『デイヴ・ザ・ダイバー』には、次回作の構想はあるのでしょうか?
ファン氏:
次回作の前に、スピンオフを作りたいと思っています。バンチョの人気がすごいので、バンチョの話だけをまとめたゲームを作ってみるとか。そういった形でストーリーを広げられる状態になったら、次回作も考えていきたいと思います。
──それでは最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
ファン氏:
『デイヴ・ザ・ダイバー』は日本の文化を入れているんですけど、日本向けのゲームとは思っていませんでした。そのなかで、作品を好きになってくださって、本当に感謝しています。
Switch版もリリースとなりましたので、まだ始めていない方は難しいことは考えずにぜひ遊んでみてください。
そして、もしも『ワンピース』の関係者の方がこの記事を読んでいたら、ぜひコラボをお願いしたいです。サンジがブルーホールに来てくれたら最高なので……!
──(笑)。もともと『ワンピース』のオールブルーがゲームの出発点ですもんね。実現してほしいです。(了)
インタビューからはファン氏の誠実な人柄が垣間見え、作品へのこだわりと愛、さらにはおバカゲーへの愛も感じ取ることができた。
さまざまな要素が絡み合い、ほかのゲームにはない独自の魅力を持つ『デイヴ・ザ・ダイバー』は、しっかりとした計算の上に成り立っており、今後もファン氏が毎日Discordでファンと交流を重ね、さらにおもしろいゲームとなることが容易に想像できる。
作品に興味を持った方はぜひ、10月26日に発売予定のNintendo Switch版をプレイしてみていただければと思う。